民進党は28日午後、党本部で両院議員総会を開き、前原誠司代表が執行役員会、常任幹事会で了承された「総選挙の対応について」とする方針文書を提案、(1)今回の総選挙における民進党の公認内定は取り消す(2)民進党の立候補予定者は「希望の党」に公認申請することとし、「希望の党」との交渉及び当分の間の党務については代表に一任する(3)民進党は今回の総選挙に候補者を擁立せず「希望の党」を全力で支援する――の3項目の提案を両院議員総会として承認した。

 前原代表は提案承認後、「はじめにお話ししたように、とにかくもう一度政権交代を実現する。安倍政権を止める。そのために力をあわせて頑張りたい」と力を込め、全議員とともにガンバロウ3唱で締めくくった。

 総会の冒頭では、今期で引退することを表明している横路孝弘、川端達夫、髙木義明、大畠章宏、鈴木克昌各衆院議員の功労を称え、記念品を授与した。

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 前原代表のあいさつの要旨は次の通り。

 私は当選8回でございまして、初めて当選をした時に、大畠先生とは政治改革特別委員会でご一緒させていただきました。ちょうどバブルの頃で、経済がいい状況でありましたけれども、その時にずっと「政治とカネ」の問題、これが国政の大きなテーマでございまして、中選挙区というものがカネのかかる大きな問題である。そして同じ党で競い合う、そのことがより金権政治を助長している。こういったことによりまして、細川連立政権において小選挙区・比例代表並立制というものが導入をされて、その時に「政権交代可能な仕組みをつくる」と。

 私は今でも覚えていますけれども、特別委員会でそれが130時間前後の議論でございましたけれども、衆議院の第1委員室でそれが成立した時には、大畠先生やほかの先生方と、大畠先生はその時は社会党でいらっしゃいましたけれども、涙を流しながら喜び合ったことを今でも私は鮮明に覚えております。われわれは、「政権交代可能な2大政党制をつくる」ということで、この小選挙区・比例代表並立制というものをつくらせていただきました。そのことによって、2009年、民主党政権ができたわけでありますが、残念ながら3年3カ月でそれが幕を閉じることになりました。

 私は、「1強多弱」と言われている今の状況というものに、じくじたる思いを持っています。この5年余り、安倍政権が何をしたか。日銀に大量に国債を買わせて、無理やり金利を下げて円安にし、株価は上がったかもしれない。しかし、所得は上がっていません。そのことによって実質賃金は下がり続け、そして企業の利益は増えたけれども国民の生活は困窮するという、そういったいわば資金が個人から企業に移転するような仕組みをつくって、また株式も、GPIFのポートフォリオの24パーセントから50パーセントへの引き上げ。日銀にはETF(上場投資信託)を買わせて、要は見せかけで株価を上げて、アベノミクスがうまくいっているということをずっと引きずっているだけではありませんか。

 まさに、国民の生活は何もよくなっていない。そして見せかけだけ、株価だけの取り組みというものが行われて、それに国民は目くらましをくっている。この延長線上に日本の将来がありますか。私は、ないと思う。「この道しかない」だけではなくて、この道は変えさせなければいけないんです。

 しかも、安保法制。仮に百歩譲って日米同盟を強化することが必要であったとしても、憲法違反の法律はだめでしょう。必要だからといって憲法違反の法律をつくったら、全て憲法違反でもいいということになって、国家の土台が崩れるではありませんか。こんなことを平気でやっている政権が、皆さん、5年近くも続いています。許すわけにはいきません。

 また、森友・加計の問題。皆さん方に一生懸命に取り組んでいただいた。そのことによって内閣支持率は下がりました。森友問題一つ見ても、総理の奥さんが絡んでいるということは明々白々ではありませんか。そして、あの問題について、9億円以上の土地の値段が8億円もの値引きをされて、国民の血税というものが無駄に使われた。それをしっかり答弁した理財局長が国税庁長官になる。冗談のような人事配置ではありませんか。誰がまともに税金を払おうとしますか。

 加計の問題。総理の長年の友人が獣医学部をつくる。それについて最近まで知らなかったと、見え見えのうそをつく。そんなことあり得るわけないではないですか。しかも、そのことによって行政がゆがめられ、本来であれば徹底して情報公開をして国民に明らかにされるべき情報が全て遮断されて、政治がゆがめられ、行政が不信感を持たれている。

 いろいろ挙げましたが、皆さん、これをこのまま本当に、皆さん方、続けていいでしょうか。われわれはどんな手段を使っても安倍政権を止めなければいけないのではないでしょうか。もう一度政権交代を実現して、身勝手な、自分勝手な、政治をゆがめる安倍政権を退場に追い込みたい。それがきょう皆さん方にご提案する根本にある私の問題意識であります。

 この間ご逝去された羽田孜先生。政治改革に一生懸命に努力をされて、政権交代可能な2大政党制をつくるために自民党から出てこられました。この間、会津に行きました。渡部恒三先生、85歳、お元気でいらっしゃいました。小熊さんと一緒に行かせていただきましたけれども、私の手を握り、「前原君、自分がどういう思いで自民党を出てきたのか、分かっているよな。とにかく2大政党制で政権交代可能な状況をつくるために自分は政治生命を賭けたんだ。もう一度、自分が元気な間にそれを実現してくれ」、恒三先生はおっしゃっていただきました。私はそれをやり遂げたいと思います。

 皆さん、今回提案させていただいたことについて、いろいろなご意見があると思います。民進党の現状を考えたときに、どうすればもう一度政権交代を起こせるか。それを考えて考えた末に、私は皆さん方に提案をさせていただいております。これは、他党に合流するということではありません。一つは、政権交代を実現する、もう一度大きなプラットホームをわれわれ自身がつくるということなんです。そして、われわれ自身がプラットホームをつくるということは、皆さんどういうことですか。皆さん方と一緒に今までで議論に議論を重ねてきて、われわれ民進党がつくるべき社会像というものを皆さん方と共有してきたのではないですか。

 自己責任型で、将来不安、誰もが将来に怯えている、この状況を変えるために、安心を持てる社会をつくる。枝野さんのお言葉を借りれば「お互いさまの支え合い」、私の言葉を使わせていただければ「All for All みんながみんなのために」。今までの自己責任型社会ではない支え合いの社会をつくi ために、もう一度衆議院の皆さん方が当選をしていただき、そしてこの5年間、われわれの仲間がバッジをつけられずに、地域を歩き回って、もう一度この国のために働きたいと思っている仲間がたくさんいます。その仲間にもう一度国会に戻っていただくために、そしてその仲間と理想の社会をつくるために、私は決断をいたしました。

 維新の皆さん方と合流をし、民主党から民進党になりました。ようやくなじんできた。ちょっと前まではまだ民主党と言っていましたけれども、ようやく民進党と言えるようになった。名前も、私は皆さん方のことも大好きです。仲間を大切にしたい。皆さん方とこれからも一緒に行動していきたい。そして地域で頑張っている自治体議員、党員・サポーターの皆さん方と一緒に、もう一度われわれの理想の社会をつくる。そのために、名を捨てて実を取る。その決断をぜひ皆さん方にご理解をいただきたいと私は思っています。

 われわれの理想の社会をつくるためなのです。そして好き勝手の安倍政権を終わらせるためなのです。もう一度2大政党にするためなのです。どうか皆さん、きょうご提案をしたことについて徹底的なご議論をいただき、どうか満場一致で新たな方向性にともに進ませていただき、皆さん方と一緒に進むのです。誰かを排除するということではない。皆さん方と一緒に進み、そしてもう一度政権交代、安倍政権の退場、理想の社会の実現、それを皆さん方と一緒にやりたい。そのために、ぜひ徹底的なご議論をいただき、そして両院議員総会としてのご決定をいただきたいと思っております。

 心から皆さん方のお気持ちに感謝を申し上げ、まずは代表としての冒頭の提案とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

政権交代の実現に向け全議員でガンバロウ3唱

政権交代の実現に向け全議員でガンバロウ3唱