参院予算委員会で19日午前、2015年度補正予算に関する集中審議が行われ、斎藤嘉隆議員が(1)長野県軽井沢町でのバス転落事故(2)自公政権のバラマキ予算「年金生活者等臨時福祉給付金」等――の問題を取り上げた。
斎藤議員は大学生など15人が亡くなるという痛ましい事態に至った軽井沢町でのバス転落事故に関して、「二度と同じような事故を起こしてはいけないという思いを強くする」として、事故原因について(1)運転手の勤務体系・技量不足の問題点(2)法定価格を下回る額での運行受注――などを指摘する声も上がっていると紹介。あわせて「2000年の規制緩和でバスの事業者数が激増したことも原因の一つにあると言われている」と問題提起し、事故再発防止の具体策を石井国土交通大臣にただした。大臣から明確な答弁はなかったが、斎藤議員は「単なる会議体をつくっての形ばかりの付け焼刃の対応ではない取り組みが求められる」「規制緩和の弊害は非常に大きい。根本的な部分での具体的な対策を新たに講じてほしい」などと国交大臣に強く求めた。
2015年度補正予算に関しては「私たちは撤回のうえでの編成替えを求める動議を出した。財政規律の問題もあるが、看過しがたい大きな問題がいくつもある」と斎藤議員は述べ、所得の低い高齢者向けに参院選前の6月をめどに3万円ずつ配布される年金生活者等臨時福祉給付金と称する予算約3600億円の問題を取り上げた。斎藤議員は補正予算に入れなければならないという緊急性が見られないと指摘。また、本来であれば消費税を10%に引き上げる際に年金収入87万円以下の高齢者に対象を絞って年金生活者支援給付とする予定だったものを、今回の補正予算の措置では対象人数が2倍に増え、給付時期は参院選前の6月までとした点を問題視した。「対象が大きく変わっているし、本来の年金生活者支援給付とは完全に性質を異にする、税収上振れ分を活用した究極の選挙対策、バラマキだ」と政府の対応を厳しく批判。安倍総理に認識をただしたが「支援給付金の前倒し的な位置づけになる」との言い逃れの弁明が延々と続いた。
斎藤議員はこうした措置で手厚く処遇される高齢者に比較して、子育て世代への補正予算配分が手薄になっていると指摘し、消費性向を比較しても高齢者世代よりも子育て世代の方が高く、景気の下支えになることを考慮しても子育て世代への配分を高めるべきだと主張した。
また、OECD加盟国の幼稚園教諭・保育士の給与を比較すると日本は非常に低い額に留まっている状況を指し示し、給与が低いために保育士のなり手が少なく幼稚園・保育園では確保が困難になっている現状があると説明し、こうした状況改善のために、無駄なバラマキをやめて保育士の待遇改善を行うべきだと語った。
さらに、大学や大学院で学ぶために借りた奨学金の返済が就職後の若者たちの大きな重荷としてのしかかっている問題も取り上げた。OECD加盟国中で給付型奨学金がないのは日本とアイスランドの2国だがアイスランドは大学の授業料が無料であり、日本だけが世界と比較して「遅れた状況にある」と斎藤議員は説明。3600億円があれば、国公立大学の年間授業料を無料化できたり、給付型奨学金制度も確立できるのではないかと斎藤議員は指摘し、予算3600億円をばらまくのではなくの未来への投資こそ重視すべきだと主張した。