民主、維新、共産、社民、生活の野党5党の女性議員らが21日、北海道を訪れ、江別市内と北広島市内で街頭演説会を開いた。女性議員らは、立憲主義や民主主義、国民生活の危機をもたらしている安倍政権を倒し、流れを変えるため、衆院北海道5区補欠選挙に勝利し、参院選、衆院選へと大きなうねりを作っていこうと呼びかけた。街頭演説後には「不安倍増内閣!『私たちの声は政治に届いているのか』女性集会」と題して札幌市内で開かれたイベントで発言した。
民主党の辻元清美役員室長、維新の党の太田和美衆院議員、共産党の高橋千鶴子衆院議員、社民党の山内恵子元衆院議員、生活の党の森ゆうこ元参院議員が参加した。
■街頭演説会
演説で辻元役員室長は、「北海道5区が日本を変える。皆さんの怒りをしっかりと安倍政権に叩き付けていただくことで、この北海道5区から日本を変えてもらいたいという思いで私たちは北海道へ来た」と口火を切り、「5党勢ぞろいです」と訴えると大きな拍手がわいた。
近くに自衛隊の駐屯地があることにも言及し、「平和の問題も心配だ。世界中の戦争に日本が参加して皆さんの隣近所の方が亡くなるなどということが絶対ないように歯止めをかけなければならない。どうぞ皆さん、この北海道から日本を変える。北海道から安倍政権を倒す。そんな思いで力を合わせよう」と力説した。
補選に出馬を予定するフリー・ソーシャルワーカーの池田真紀さんは、日本が後戻りできない、危うい方向へと突き進む危険性を安倍政権が持つなか、それを止めようと決意した。自身はシングルマザーとして厳しい環境のなかで生きてきたが、それでも頑張ってくることができたのは憲法があったからだと表明。戦争をしない国であり、すべての人の尊厳を大事にする憲法を支えに「家庭環境に左右されず、障害があっても幸せになり、夢を持っていいはずだ」と確信を持ち、ソーシャルワーカーとして差別や偏見とずっと向き合ってきたと自己紹介した。
「安倍政権が進める安心できない国には希望の日が訪れない。主権者である国民が求める公正な社会の実現のためには、政治は希望でなくてはいけない。私は倒れない。声を上げられずに、生きづらさを抱えている人々の思いを受け止めて今回の戦いに立ち向かい、一人を大切にする政治を行っていく」と力を込めて訴えた。
街頭演説の最後には辻元役員室長の呼びかけで、詰めかけた聴衆も一緒に「北海道から安倍政権にノー」「北海道から日本を変えよう、池田まきと一緒にゴー」と気勢をあげた。
■女性集会
街頭演説後に「不安倍増内閣!『私たちの声は政治に届いているのか』女性集会」と題して夕方から札幌市内で開かれたイベントでは、さまざまな分野の課題について現場を担う女性たちから意見を聞き、約1時間半にわたって意見を交わした。司会は辻元役員室長が務めた。
集会では、子どもを保育園に預けるのに非常に苦労したという橋本美香さん、現場の保育士、シングルマザーの暮らしを支える取り組みを行う「しんぐるまざあずふぉーらむ北海道」の平井輝枝代表、現場の看護師、障害者自立活動運動家で作家の安積遊歩さん、19歳の学生、安倍政権の安保法制に反対するママの会北海道のメンバー、市民活動家で農家の安斎由希子さんらがそれぞれの思いを発言。
保育園の待機児童問題に関して発言した橋本さんは、第3子を保育園に預けられず、役所に相談すると「認可保育園は4月からの入園がほとんどで途中からは無理。とりあえず無認可保育園へ預けたら。預けるお金がないなら生活保護を」などと何度も突き放されたものの、あきらめずに相談して何とか道が開けた話を紹介し、「受けられる制度」を求める人に伝えきれていない実態や、そもそも入れる保育園の絶対数が少ないことが問題だと指摘した。
辻元役員室長は、子どもの預け先が見つからないことを訴える匿名ブログを民主党の山尾志桜里議員が国会質疑で取り上げたことで共感が日本全体に広がり、問題解決への機運が高まっているとコメント。衆院厚生労働委員会委員としてこの問題に取り組んでいる共産党の高橋議員に発言を求めた。高橋議員は、山尾議員が国会で匿名ブログを取り上げた際、安倍総理は「だれの発言か、発言が事実だったかもわからないので答弁できない」旨を述べ、それが全国のママたちの怒りに火をつけることになったと説明。また、塩崎厚生労働大臣が「私の孫も保育園が見つからずに20万円以上も払って無認可に預けた」と発言して、庶民の暮らしを理解しない認識ギャップが露見したと指摘、「安倍政権の姿勢が透けて見える」と語り、保育士の処遇改善など待機児童解決につながる取り組みを行っていくことの重要性について話した。
匿名で参加した保育士は、毎年更新する形で非正規で働き、雇用規定の関係で一度退職してあらためて雇用される形を取っている。何年働いても初任給のままで、日給払いのために休みを取れば減給となり、残業代も出ないと職場の実態を報告。子どもの育ちを見守る重要な役を担いながらも、保育士さんの処遇が非常に厳しいことが浮き彫りになった。
辻元役員室長は全産業の平均賃金と比べ、保育や介護従事者は年収が100万近く低いのが実情だと指摘、介護職員等の処遇改善法案を野党5党で提出したことを報告した。維新の党の太田議員は、全残業の平均賃金に近づける努力を政治が行い、処遇を変えて保育士を増やすことこそが求められると訴えた。自民党が補正予算に盛り込んだ、参院選前に高齢者に3万円ずつばらまく年金生活者支援給付3600億円の見直しなど、政治の判断が求められると述べた。
生活の党の森元参院議員は「選挙で勝って国民の思いを受け止める代表を国会に送るべきだ」と述べた。社民党の山内元衆院議員は「政治がやろうと思えばできるはず。悪い政治に甘んじていてはできない。安倍さんは上ばかり見ている」と安倍政治を批判し、「この社会を変えるには政権交代がなければいけない。そこに続く道を開くのは池田さんだと思っている」と語った。