安住淳国会対策委員長は1日、定例記者会見を開き、TPP交渉の経過解明に向けた党の動きなどについて記者団の質問に答えた。

 党「TPP交渉過程解明チーム」は、前日から1日朝にかけて会合を開いて甘利前大臣とフロマン米通商代表の交渉過程に関する資料の開示を求めているが、政府からは、当初は存在しないとしていた資料について「記録はあるが出せない」と説明を変えた上で、「細部は甘利氏でなければ分からない」などとして資料の提示はなかった。

 記者団から、こうした状況を踏まえ、来週のTPP特別委員会での審議入りをどう考えるかと問われ、「『交渉した人がいないから分からない』と言うが、甘利氏は個人で交渉していたわけではないのだから、こういう言い方は通用しない。国民に開かれた場でこの交渉がどういうプロセスを経て、どういう結果をもたらすのか、農家や一般の消費者にどういう影響を与えるのかということを審議するのが国会だ。必要な資料を出してこなければ審議のしようがない」と述べた。その上で、「そう簡単に、すんなり審議に入れない可能性が出てきた」とし、「この国は独裁国家ではない。交渉のプロセスを明らかにできないのであれば、甘利氏を国会に連れてくるのは与党の責任ではないか」と述べ、国会審議には、資料の提示や甘利氏本人の出席が必要との認識を示した。

 また、この問題を今月行われる北海道5区、京都3区の補欠選挙や夏の参院選挙などでどう訴えていくかと問われ、「この問題は目先の選挙の話ではない。5年後、10年後の日本の農業や漁業、食の安全にどういう影響があるのかという問題だ」と述べた上で、「資料も出さない、『甘利氏しか分かりません』では、国民の皆さんは何を判断すればいいのか。こんな対応をしている政府は初めてだ。それで済むと思っているなら、数のおごり、役人の甘えだ」と、まずは政府が情報開示の責任を果たすべきだと、改めて強調した。