安住淳国会対策委員長は5日、定例記者会見を開き、本日の衆院本会議で審議入りとなるTPP関連法案について記者団の質問に応じた。

 安住委員長は、民進党など野党が要求する資料の提示などが一切ないままに審議入りとなる状況について「『資料を出さない・見せない・教えない』、とにかく審議を始めろという態度は容認できない」と述べた。民進党は、「黒塗りの資料でもいいから提示を」と求めているが、政府は一切応じていない。こうした姿勢は、甘利前大臣の疑惑追及に当たり、都市再生機構(UR)がほとんど全部を黒塗りにしながらも資料を提示した対応よりも不誠実だ。

 安住委員長は、2013年のTPP交渉への参加表明に際し、衆院農水委員会で与党を含めて全会一致で合意した決議では「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行」うよう求めていることに触れ、「この態度が続くのであれば、すんなりとは審議に応じられない」と述べた。

 記者団から、政府が「出さない・見せない・教えない」という姿勢を変えない理由について見解を問われ、「(政府は)甘利前大臣とフロマン代表との交渉に細部をすべて委ねていた、他の人間は全く知らないと言っている」と説明。「そうであれば、甘利前大臣に来てもらうしかない。睡眠障害であっても出てきて話す責任がある」と述べた。さらに米国では既にフロマン代表が議会での質疑に応じているとし、「日本は、交渉担当者が一切国会に出てこない。本人がいないので答えられない、資料はない、教えない、示せないと。こんなばかなことがあるだろうか」と怒りを込めた。

 TPP関連法案の評価や賛否の見通しについては、法案は、交渉プロセスや合意の細部がはっきりせず、TPP協定の発効がいつになるのか、どのような影響があるのかも分からない段階であるにもかかわらず、農業対策予算はすぐにも使える内容だと紹介。「国民の税金の使い方として、そういうやり方は正しくない。なぜその協定やその中身が必要で、どんなプロセスでこれが生まれたのかを開示するのが普通の国で、これでは社会主義国家そのものだ」と述べ、現状では「賛否も何も、事前の党内手続きを踏めない」と切り捨てた。