「保育園!!!詰め込みやめて!給料上げて!保育園つくって!私たち声をあげます!厚労省大作戦―保護者&保育士―」と題する集会が11日、国会内で開かれた。この緊急集会は、3月28日に政府が発表した待機児童解消のための緊急対策が、自治体に保育基準の緩和を迫り、保育の質を引き下げるという事態を悪化させるものだったことを受け、待機児童に直面している保護者や保育士らが集まり、保育をめぐる厳しい実態と安心・安全な保育のあり方について厚生労働省、内閣府の担当者に直接訴えるためのもの。民進党からは山尾志桜里政務調査会長や山井和則、柿沢未途の各衆院議員が参加した。
集会の冒頭、3月23日に国会内で開かれた「保育園!!私たち声をあげます!保育園落ちたの私と私の友だちだ。保育士辞めたのは私だ。国会大作戦」に参加したママやパパ、保育士を辞めた人たちの悲痛の声をまとめた冊子が厚労省の担当者に手渡された。山井議員は今回の集会で政府関係者が保護者らの声を直接聞く場を設けた背景について「あれだけ質の伴った待機児童対策を求めたにもかかわらず、今回の対策は子どもにとってマイナスだ。今度こそ、お母さんや子どもたちの声を踏まえて恒久財源で保育士の処遇を改善すべきだ」と語った。
神奈川県横須賀市から来た女性は、2010年5月に息子を出産、認可保育園に入れられず保育ママに預け、その4カ月後に預けている最中に子どもが吐いたミルクを詰まらせ死亡したと告白、「子どもを亡くすことは本当に地獄で言葉にしきるのは難しい」と声を詰まらせ、「待機児童の解消も決して数だけを解消すれば良いという話ではない。質を確保することが何よりも大事なのだということを理解していただきたい」と訴えた。さらに、自身が保育士の待遇を改善する運動に懸命に取り組んでいるのは「子どもの命を守ることに直結すると思うからだ」と話した。他の母親らも口々に「保育の基準引き下げは、子どもの生命と安全を脅かすために絶対に認められない」と訴えた。
山尾議員は「保育事故で大事な子どもを亡くされたお母さんが『保育士さんを大切にしないと子どもの命を守れない』と言ってくださっていることが心に重く響いている」と母親らの声を聞いた感想を語った。保育問題に火が付き動きが広がっていることは望ましいが、政府の緊急対策が質を下げて量を拡大する方向に向かったことは「不本意だ」と指摘。待機児童問題を根本的に解決するうえで、(1)自治体別に本当の待機児童数を公表すること(2)保育士の給料を上げることが王道であること(3)子どもが起きている時間に親が帰宅して遊べるよう長時間労働を規制すること――の3つが重要ではないかと提起した。
集会の最後に主催者のお母さんの1人が「一つ一つの声は全て貴重だった。私たちは保育所に子どもを預けたいし、だけど「詰め込み」は嫌だし、保育士さんが傷ついて辞めていくのを見たくないし、改善を求めている。これは全体の世論になっていると思う。その声を受け止め厚労省、内閣府の皆さんがんばっていただきたい」とあいさつし閉会した。