安住淳国会対策委員長は14日、定例記者会見を開き、今後の国会運営について見通しを述べた。

 国会は、同日の衆院本会議から正常化し、15日には衆院TPP特別委員会(以下、TPP特)での審議が再開される。これを踏まえ記者団から、委員会での審議にどう臨むかと問われた安住国対委員長は「政府の情報開示のあり方が、いちばん大きい(論点だ)」との認識を示した。「こちらには情報開示をせずに黒塗り資料を出して、西川(TPP特)委員長は政府の協力を得た暴露本を出すというのは矛盾している」「政府は審議に入る際に、『(交渉は)結果がすべて。プロセスはない』と言っているが、国会審議では、『なぜそう決まったのか』を議論せざるを得ない」とあらためて政府・与党の対応を批判。審議に当たっては「西川委員長のゲラを事実(=西川委員長本人の著作物であり、書かれている内容は交渉過程に起こった事実)とみなして審議に入る」との立場を明らかにした。

 また、13日晩に都市再生機構(UR)が緊急記者会見を開き、同機構職員2人が補償交渉中の建設会社から接待を受けていたことを明らかにした。こうした状況から安住委員長は「甘利問題はTPPに大きく関係する。焦点を当てざるを得ない」として、TPP特で甘利前大臣の問題を追及する考えを示し、TPP特での審議は「(TPP交渉過程と)甘利問題の2本立てになる」とした。

 記者団から、佐藤自民党国対委員長がTPP関連法案について「今月中の衆院通過を目指す」との方針を掲げる一方、与党内には「今国会での成立は難しい」との声があることについて、どう受け止めるかと問われ、「提案する側の方針が定まっていないのにコメントする立場にない」としつつ、5月末に伊勢志摩サミットが予定されていることから「実質的な会期末は5月20日頃」だとし、「それまでに、強行日程で無理やり熟議もしないで通すのか、という話は出てくるだろう」と述べた。その上で、「この問題は、国民生活に深く関係するのだから、できるだけ全国を歩いて、農家の皆さんや製造業の現場の皆さんの声を聴くなど、丁寧にやったほうがいい」「自民党も、官邸の言うがままに進めるのではなく、国民世論を受け止める国会運営をしてほしい」と述べ、性急な法案審議をけん制した。

 14日午後の衆院本会議で戦略特区法案が審議入りすることに関連して、記者団から、戦略特区のメニューが次々追加される一方、認定されたメニューが必ずしも実施されていない現状をどう見るかと問われ、「実のない、名前だけの政策だ。地方を本当に再生するには特区ではなく法律や規制そのものをなくすべき。役所の既得権をそのままにして特例を作るのではうまくいかない。結果的に失敗を重ねているのが自民党のやり方だ」と厳しい見方を示した。

 また、記者団から、衆院選挙制度改革法案の提出時期や審議の見通しについて問われ、13日には大島衆院議長の招きで各党国対委員長幹部が懇談したことに触れ、「昨日が1つの区切りだったと思う。(各党の案の)1本化ではなく、自民案、民進案をそれぞれ国会に提出し、国会の手続きを踏んで堂々とやってほしいという話だった。したがってここからは国会運営の中で対応していきたい」とした。その上で、民進党は「第三者委員会の答申に従って答えを出す」と立場だと強調し、この立場に基づいた法案を今週中に国会に提出する考えを示した。