民進党は第9回となる「待機児童緊急対策本部」を開き、18日に政府が公表した「教育・保育施設等における事故報告集計」について説明を聞くとともに、「赤ちゃんの急死を考える会」の小山義夫副会長、寺町東子弁護士から保育所等での乳幼児急死の実態、必要な対応などについて意見を聞いた。
山尾志桜里政務調査会長は冒頭のあいさつで、「国会で保育の問題を取り上げたのは、質と量を両立させた良い保育を増やしたいから。質の落ちた保育が増えたら意味がない。子ども1人、赤ちゃん1人の命の重さをかみしめながら、必要な対策を前に進めたい」と述べた。
政府の報告によると、昨年4月から12月までの間の死亡事故は14件で、そのうち7件が0歳児、5件が1歳児だという。小山副会長が、死亡事故は「0~1歳児」「睡眠中」「認可外保育施設」という特徴が顕著だと解説し、また、亡くなってから数時間放置されて発見される場合も多いとして、「抜本的にメスを入れてほしい」と要望した。
また、寺町弁護士は「死亡事故を『数』ではなく、『一人ひとりが大事な赤ちゃんだった』ということに思いを致してほしい」と遺族の気持ちを代弁し、その上で「睡眠中のリスクは明白で、以前から言われていたこと。その対策が現場で実行されていないことが問題。赤ちゃんが泣いていると抱っこもしないでうつぶせにしたり、毛布を被せたりということが行われている。その理由は職場に余裕がないからだ」と、人員配置の不足を指摘した。
安倍政権は、待機児童問題の広がりを受けて3月28日に「待機児童解消に向けた緊急対策」を打ち出したが、予算措置のない対策であるため、人員配置を緩和してより多くの児童を受け入れることも盛り込んでいる。これでは保育士1人当たりの負担がさらに増え、より事故のリスクを高める結果になりかねない。
さらに、会議を傍聴していた、お子さんを亡くしたお母さんがたまりかねて苦しい胸の内を語り、「保育士を増やすと言うが、保育士さえいればいいという感覚なら間違っている。自分が子どもを預けた保育園は、園長も含めて保育士経験の浅い保育士ばかりだった。給料が安く定着しない」と問題提起した。
山尾政調会長は「まずやるべきは、保育の質を落とす緊急対策を撤回するべき」と訴えた。蓮舫代表代行も「厚労省もこうした事故をなくしたいという立場のはず。待機児童問題がクローズアップされ、予算措置がない中で考えた緊急対策だと思うが、何ができるのかもう一度考えてほしい」と要請した。山井和則衆院議員は「財源をつけて処遇改善をすることが必要だ。われわれは『質を落とさない待機児童対策』を目指す」と述べ、会議を締めくくった。