山井和則国会対策委員長代理は25日、定例記者会見を開き、甘利前大臣の国会欠席状況や最終盤となった国会運営などについて見解を述べた。

 山井代理は、甘利前大臣の国会欠席状況について時系列を追って説明(下記参照)し、5月16日以降の本会議の出席について診断書が提出されていないことを明らかにした上で、「もう甘利氏が病気だという診断書を書ける医者がいないのではないか。病気ではないのに、出てきたくない。そういうことが許されるのか」と甘利氏の対応を疑問視した。

 さらに24日の衆院議院運営委員会理事会で、自民党理事を通じて「早期に説明の機会をつくり説明責任を果たしたい」との「甘利氏の意向」が示されたとし、「もし、解散・ダブル選挙になった時に甘利前大臣が出馬をされるというのであれば、当然、国会が開いている間に、国会の場で説明責任を果たすべきだ。そうでなければ国民の理解は得られない」と述べた。

 山井代理はまた、25日11時に「消費税引き上げ延期法案」を民進党単独で衆院に提出することを報告し、「アベノミクスが失敗し、これだけ消費や実質賃金が低迷している以上は、10%への引き上げは国民の理解も得られず、先送りせざるを得ないという判断をした」「このような状況に陥った安倍総理の責任は非常に大きい」と述べた。

 これに関連して記者団から、政府が消費税引き上げを先送りする見通しとなったとして見解を求められ、「本当に政府が先送りするかどうかは総理大臣の口から聞くまで分からない」と前置きした上で、「誰の目から見ても消費増税ができる状況ではないことは明らかだ。同時に、政府が正式に消費増税先送りを決めるのであれば、アベノミクスの失敗を自ら認めることにほかならない。安倍総理は2年前に『再延期はしない、次は必ず上げる』と言って解散総選挙をした責任を取るべきだ」と述べた。

 一部報道で衆参同日選見送りの公算が高いと報じられたことについては、「安倍総理が判断すること」とした上で、「熊本の震災が深刻な状況が続いている中で、人道的にも常識的にも解散できる状況ではないと思う。しかし、安倍総理は常識的な方だとは思えないので、解散を決断する可能性はあると思う」との見方を示した。

 記者会見ではほかに、民進党などが提出している保育士処遇改善法案を与党が2カ月間審議拒否し続けていることや東京オリンピック招致に絡む不正送金疑惑などについて見解を述べた。

(参考)甘利明前大臣の国会欠席状況

  • 1月21日 週刊文春(1月28日号)で献金疑惑を報じられる
  • 1月28日 記者会見で大臣辞任を表明
  • 2月16日 衆院議院運営委理事会に診断書「睡眠障害のため1カ月の自宅療養が必要」
  • 3月17日 同理事会に診断書「さらに2カ月間の自宅療養が必要」
  • 5月16日 衆院本会議欠席届(診断書なし)
  • 5月19日 衆院本会議欠席届(診断書なし)
  • 5月24日 衆院本会議欠席届(診断書なし)