枝野幸男幹事長は17日夕、遊説先の福島市内で記者団の取材に応じた。
枝野幹事長はこの日の午前中、東京電力が16日に公表した福島第1原発事故に関する第三者検証委員会の報告書について緊急に記者会見を開き、その報告書の内容や東電・第三者委員会の対応に抗議を表明しているが、事故の被害の当事者である福島県を訪れる機会を得たことから、福島県民に向けてあらためて説明した。
枝野幹事長は、「原発事故当時、私も官房長官という立場で対応に当たらせていただいた。決して100点満点だとは思っていない。『こうしておけば、ああしておけば、被害を小さくできたのでは』という思いを今も抱き続けている」と心情を吐露しつつ、「一方で、事実関係をはっきりさせなければ、今後の再発防止や危機管理のあり方について、事実と異なる前提のもとに進めることになってはいけない」と強調した。
今回の報告書については、「残念ながらまったく第三者性のないもの」で「一方の当事者である東京電力の関係者の言い分を集めて整理したものにとどまっている」と切り捨てた。その上で、当時の状況について菅総理や福山官房副長官にも事実を確認し、「私どもから『炉心溶融という言葉を使うな』という指示や要請をしたことはまったくない」とあらためて言い切った。
今回の報告書では10年3月13日の午後に菅総理・枝野官房長官・清水東電社長が面会し、何らかの指示・要請があったかのようにされているが、枝野幹事長自身が官房長官として3月13日午前と翌14日の記者会見で炉心溶融の可能性に言及しており、「自ら発言していながら『使うな』ということはあり得ない」と重ねて否定。「当時の私の会見の発言は全部オープンになっているのに、それすら調べずに調査報告を出しているのならば、調査自体がずさんとしか言いようがない」と述べた。
さらに枝野幹事長は、原子力政策について東京電力と民進党とでは意見が異なることを踏まえ、「これだけ恣意的でいい加減なものが出されると、選挙妨害の意図があったのではないかと疑わざるを得ない」とし、また、今回の「第三者委員会」の弁護士は、小渕優子元経産大臣の疑惑の調査をし、かつ、舛添東京都知事の疑惑について調査に当たった人物だということも指摘した。
その上で「震災対応全体について言えば、当時の官房長官として福島県の皆さんに大変なご苦労をおかけしているということについては、大変申し訳なく思っている。私が政治の仕事をさせていただいている限り、そのことを忘れずに福島の再生に向けて最大限のことをやっていきたい」と述べた。