民進党は8日午後、党代表選挙管理委員会(神本美恵子委員長)主催の東海ブロック候補者集会を静岡市内で開催した。会場には500人を超える党員・サポーターや自治体議員らが会場を埋め、玉木雄一郎、蓮舫、前原誠司の3候補の熱い訴えに耳を傾けた。集会後にはJR静岡駅南口で街頭演説を行い、それぞれが目指す社会像などを語るとともに、民進党代表として党をどうリードしていくかについて訴えた。

 集会では冒頭で各候補がそれぞれの所信を表明し、続いて各候補の質問に他の2候補が答えた。蓮舫候補は「玉木候補が訴える『子ども国債』と前原候補が語る『ALL for ALL』の具体的な中身」、前原候補は「クオータ制など女性議員増に向けた取り組みと地方組織強化策」、玉木候補は「党の改革創生プランは何度がまとめられているがその改革創生が前進しない理由をどう考えるか」等を尋ねた。

 「人にやさしいまちづくり、人がやさしいまちづくり」を掲げて活動するNPO法人ゆめ・まち・ねっと代表の渡部達也氏がゲストスピーカーとして登壇した。渡部氏は、地域での子どもの遊び場づくり・若者の居場所づくりに取り組むなかでの課題と現状、そこから見えてくる日本社会の問題点等を報告し、民進党が掲げる「未来を生きる次世代への責任を果たす社会の実現」に期待するとしたうえで、3候補に子どもの貧困対策等に関して質問した。

前原誠司候補

前原誠司候補

 前原候補は、子ども時代に虐待に受けて成長した人の中には、成人してもなかなか社会に出て行けない人も少なくないことや、児童養護施設で育った子どもが18歳で施設を出た後のフォローが不十分であるために1割がホームレスになっている現実などを問題視、「18歳や20歳までは守りながらその後は知らないという冷たい社会を変えていかないといけない。地域でこうした子どもたちをサポートする仕組みづくりに向け知恵を絞るのが大事で、そうした役割を担うNPOは重要だ」などと指摘し、NPO税制の拡大などで、多くの人が活動に共感し支援しやすい仕組みづくりを行うのが重要と語った。

玉木雄一郎候補

玉木雄一郎候補

 玉木候補は貧困の連鎖にあえぐ子どもたちへの公的支援には限界があると述べ、役所に支援を求める際に自身の現状を告白させる行為は時に子どものトラウマになってしまう可能性もあると指摘。渡辺氏の活動について「民間でこうした活動をされていることに敬意を表する」と語り、子どもの育ちに関わるNPO活動への支援等について、事業だけを対象にするのではなく人件費にこそ出していくべきだと主張。人の確保が活動の継続につながるとの考えを示した。また、1人親家庭の貧困の回避につながるよう、離婚後の養育費の支払いの徹底に向けた施策や、夫婦間の問題の相談に乗る行政窓口の設置などを提案した。

蓮舫候補

蓮舫候補

 蓮舫候補は「少子化なのに居場所のない子どもたちが日本中に増えているのはおかしい」と訴え、家族や社会の本来の在り方が失われたからであり、地域で解決しなければならない問題だと語った。貧困家庭の子どもたが貧困の連鎖に陥ってしまうケースが少なくないこと、貧困のなかで進学をあきらめ、行く行くは社会に出ることも拒んで引きこもりになる危険性もあると述べた。「早い段階で手当てしなければならない」として、民主党政権時につくった「住民生活に光をそそぐ交付金」に言及し、「問題に取り組む人がいて仕組みができたら、そこにお金を出す。地方主権の取り組みに中央が交付金を出す仕組みが必要」と問題提起した。

会場からの質問に答える3候補

会場からの質問に答える3候補

 会場の参加者からは「民進党代表として民進党政権を担う際の目指す日本のあり方」「他の野党との連携の在り方」「身を切る改革への取り組み意識」「憲法改正と日本の防衛に対する考え方」「憲法9条に対する考え方」等について質問が出され、それぞれの候補が考えを述べた。

 集会後には共同記者会見を行った。