山井和則国会対策委員長は12日、国会内で記者会見を開いた。山井国対委員長はパリ協定、TPP、年金カット法案についてコメントした。

 11日に閣議決定された温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定承認案について山井国対委員長は「パリ協定について日本政府の取り組みが非常に遅れている。このことは国際社会にわが国が前向きでないという誤ったメッセージを送りかねない。大きく国益を損ねたと言わざるをえない。安倍総理も所信表明演説で触れていない。わが党の細野代表代行はパリ協定にしっかり取り組むべきと指摘した。TPPよりもパリ協定を優先的にすべきと考えている」と表明した。

 TPPについては「連日、国対で農水省にヒアリングしているが、(提出されたSBS米の調査報告書は)調査の名に値しない。一歩間違うとアリバイ作りの作文ではないかと思わざるを得ない。根拠のあるデータも示されていない非常に不十分かつお粗末なもの。肝心の輸入米価格は調査できていないし、していない。こういう状況では審議の前提が整っていない」と断じた。

 年金カット法案については「議運の現場では与党から年金カット法案と年金者救済法案を別々の法案だが一括審議して欲しいとお願いしてくる状況。かねてから言っている通り25年の最低納付期間を10年にして60万人の無年金者を救済するのは民主党政権になって成立したもので、安倍政権になって施行が延期されている。一刻も早く60万人を救済せねばならない。年金がもらえない間に無年金のまま亡くなっている方も出ているわけだから、人道上の法案と多くの国民の年金をカットする法案、物価が上がっても物価の上がる率よりも賃金の上がる率が低ければ年金をカットするという年金カット法案、この二つの一括審議を求めてくる。これは非常に問題がある」と年金関連の法案を一括審議することに否定的な見解を示した。

 また、この日の衆院予算委員会で年金カット法案について審議することにも触れて山井国対委員長は「本日午後の質疑で年金カット法案により年金がいくら減るか玉木議員がわが党なりの試算を出す。将来のことは前提の置き方によって予測は難しいが、過去10年の物価と賃金の状況であれば、この10年でいくら減っているか、井坂議員の試算では5.2%と出ている。国民年金や厚生年金がそれぞれいくら減額になるのか、今日は額の試算を玉木議員が示す。年金という国民の関心が非常に高い法案を審議する以上は提案する側がいくらカットされるのか正々堂々と出すべきだが、それを出さないのならわれわれが代わりに出して質疑する」と年金カット法案によって具体的に減る額の試算を示すことを明らかにした。

 記者からの質問で、自民党の関係者がTPPの審議を14日からにしたいと述べていることについて受け止めを聞かれると「現時点では14日の審議入りは認められない。なかなか難しいと思う。自民党国対からは(そのような話は)一切聞いていない」と述べた。

 この日の予算委で民進党の質疑者が年金や待機児童の話を聞くにもかかわらず、答弁者に厚生労働大臣を要求していない理由を問われると「今日は総理入り。国民の皆さんは、年金や待機児童の厚労大臣の見解も知りたいだろうが、総理の見解も知りたい。通告を十分にして、総理の基本的な考え方を聞くということ。専門的なことは厚労委でさせていただく」と語った。

 TPP特別委を開く条件の話題になり、TPP特別委を開く必要十分な条件は、甘利前担当大臣の参考人質疑、誤訳問題への対処、輸入米価格の問題への対処、通常国会で行ったTPP審議のやり直しの対応が揃えば応じるのかを記者から問われると「主なものがそれ。他にもあるかもしれない。一番大事なことは、慎重丁寧に審議して間違っても強行採決しないこと」と述べた。