山井和則国会対策委員長は18日、国会内で記者会見を開き、TPP承認案や年金カット法案の審議について語った。

 TPP承認案の審議については、衆TPP特別委での採決のための前提の一つとなる地方公聴会を24日に開きたいと与党から提案があったが拒否したことを明らかにした。このことについて山井国対委員長は、「今は総括質疑をやっている最中。国会での審議が始まったところ。それにもかかわらず地方公聴会の日程を決めたいと言うのは論外。月内にTPP協定を衆議院を通過させたいという声が出ているが論外。様々な論点があり、情報開示が不十分で農家の方の健康にも大きな影響があるTPPを月内に承認したいと言うのはあまりにも強硬で拙速。我々は国民や農家の方も理解できる丁寧で慎重な議論を求めていきたい」と語った。

 年金カット法案については、政府・与党に求めていることを2点挙げた。一つが、無年金の高齢者を救済する法案と年金カット法案を別々に審議すること。もう一つが年金カット法案の試算について責任のある数字を出すこと。「昨日、政府の試算が出てきたが、極めて問題のある試算。政府試算では将来的には7%年金がアップする。年金が増える前提は今後永遠に賃金が上昇し続けて、年金カット法案は1回も発動されないという仮定で、非現実的と言わざるを得ない。永遠に年金カットを発動しない、賃金が永遠に上がり続けて1回も落ちないことは、ほぼありえない。それが現実であったら、年金カット法案はいらない」と政府が出した年金試算が不十分だと断じた。

 衆院厚生労働委員会筆頭理事の柚木道義衆院議員と次席理事の井坂信彦衆院議員が同日朝に与党が職権で同委員会の理事懇談会を開いたことに関連して状況を説明した。柚木議員はこの理事懇で、山井国対委員長が挙げた年金カット法案の審議に関する2点の要求を伝えたことを報告した。柚木議員は、「政府の試算と法案を分離して審議するかを見たうえで審議に応じるか判断する」と強い口調で語った。井坂議員は政府の出してきた試算について、「国民をだます数字を意図的に出すのは絶対に許せないので、ただしていきたい。それが厚労委で議論する最低限の条件」と述べた。

 なぜ厚労省はそういう試算を出したのかという記者からの質問に対して、山井国対委員長は、「もともと試算を出したくなかったのだろう。出さざるを得なくなって、その時に考えたのはカット分は少なく、増える額は多くと与党と根回しした。もともとはカット分は大きく、増える額は小さかったと噂を聞いている。ところが、この法案を通したい一心で鉛筆をなめたら、減額するより増える額が多くなって、年金アップ法案になった」と自身の推測を前提に述べた。