民進、共産、自由、社民の野党4党の幹事長・書記局長は9日夕、国会内で会談。失言を繰り返した山本農林水産大臣の辞任要求や不信任案の提出も含めた野党共闘などを確認した。
山本農水大臣は批判を浴びて撤回したばかりの自民党議員のパーティーでの「強行採決」発言に関し今月1日、別の自民党議員のパーティーで「冗談を言ったらクビになりそうになりまして」とちゃかして発言。加えて、「明日農水省に来ればいいことがあるかもしれない」と利益誘導とも取れる発言もしている。
野田佳彦幹事長は会談終了後、記者団に、(1)国会が不正常に陥っているのは山本農水大臣の一連の失言が原因によるもので、正常に戻すには山本農水大臣の辞任が必要であり、これを強く要求していく。その上で、政府・与党の対応が不誠実であれば不信任案の提出も視野に共闘していく(2)衆院議院運営委員会で委員長職権により10日の衆院本会議が立てられたことに対し、強く反対する(3)沖縄県での大阪府警の機動隊員による「土人」発言を容認するかのような発言をした鶴保沖縄・北方対策大臣の責任追及等も連携しながら国会で取り上げていく。年金カット法案や南スーダンのPKO駆けつけ警護、4党で共同提出している長時間労働規制法案の実現などを含めてさらなる共闘をしていく(4)次期衆院選挙に備え既に合意している「できる限りの協力」を具体的に進めるための協議を加速していく(5)安倍政権に対峙(たいじ)する4野党と市民連合に参加しているグループとの意見交換会を早急に再開する――ことを確認したと報告。これら合意事項は、野田幹事長から提案し、各党が応じたもの。
TPP(環太平洋経済連携協定)の採決を行う10日の衆院本会議が委員長職権で立てられたことには、「ちょうど米国の大統領選挙で新たに選出される見込みのトランプ氏が勝利宣言をしたばかりだ。トランプ氏はTPPからの撤回を強く言っている方であり、その時にわざわざTPPを強行採決までやるという。本当にそんなことをやっていいのか。茶番ではないか。新しい大統領にケンカを売るような話にもなりかねない」と指摘。もし開かれた場合の対応については、「国対間の連携のなかで考えていきたい」とした。
米国の大統領選挙の結果については、「誰がなっても日米関係の強化につながるような方向を模索しなければいけないと思うが、選挙期間中にどれだけ具体的な政策が出てきたかというとよく分からない部分がある。そういうことも含めてこれから注視していかなければいけないだろう」「イギリスの国民投票の結果によるEU離脱を含めてよく想像していない結果が生まれやすい状況だ。これからイタリアやオーストリアでも選挙がある。この動きがどう出てくるかよく見ていかなければいけないと思う」などとコメント。米国大統領選挙の開票に伴う金融市場の乱高下には、「今日はかなり荒っぽい動きだったが明日はどうなるのか。よく見ておかなければならない。だとすると、TPPの議論を無理して進めるのではなく、経済情勢、金融情勢を含めた議論の方が今国会には求められているのではないか」と述べた。