参院厚生労働委員会で17日、雇用・労働、特に長時間労働問題に関する集中審議が行われ、民進党・新緑風会の石橋通宏議員は、電通とその子会社での労働基準法等違反事案、それに対する厚生労働省の対応を中心に政府の見解をただした。

 石橋議員は、過労死問題で強制捜査が行われた電通では午後10時消灯にはなったが、午前5時から点灯しているため、結局17時間も労働している実態を取り上げ、「厚生労働省の指示にも従わない由々しき事態だ。これは労働基準法に基づく36協定があるから、合法的に過労死水準以上に働かせている。(合法だから)それを取り締まれない」と現行法制の欠陥を指摘した。

 さらに使用者側が合法的に過労死水準で働かせて、労働基準法違反等で送検・訴追された場合の罰則のあり方も問題視した。「(現行法上)使用者責任があいまいなため、現場の担当だけが罰せられ、本当は組織的に違法な労働を強いたにもかわらず、社長らトップは訴追を受けないことがよくある。これではだめだ。組織的に深刻な違反が認められれば、責任ある立場の者が訴追されるべきだ」と提起した。

 ところが現行法では訴追されたとしても、その罰則の上限が『6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金』であることについて、「(電通事例のように)これだけの違反を繰り返し、当局からの様々な指導にも従わない状況で訴追されたとしてもこれだけの刑しかない。これで本当に法の執行ができるのか。野党提出の長時間労働規制法案では、『1年以下の懲役または50万円以下の罰金』に罰則を強化している」と説明し、塩崎厚生労働大臣に野党案に賛成するよう求めた。

 石橋議員はまた、電通の他の子会社や孫会社・下請け企業等での長時間労働の実態調査の方針、違反が見つかった場合には親会社(発注元)たる電通の責任をただすとともに、パワーハラスメントなどさまざまなハラスメントの禁止に向けた立法措置の必要性、労働基準法改正による労働時間規制強化(総実労働時間の上限規制、勤務間インターバル規制、絶対週休を3点セット)で法規制強化をすることの必要性について説いた。