参院本会議で31日夜、2016年度第3次補正予算の採決が行われ、与党の賛成多数で可決・成立した(写真上は、本会議で反対討論に立つ白議員)。
採決に先立ち反対討論に立った白眞勲議員は、本補正予算の問題点として(1)緊要性が疑わしい予算が相当計上され、財政規律がないがしろにされている(2)既定経費の見直しが不十分(3)財源の大部分を国債に依存し、財政健全化に真摯(しんし)に取り組む意欲に乏しい――の3点を列挙。わが国の経済状況について「実質賃金は低迷し、消費、設備投資も力強さに欠けているのが現状。総務省が27日発表した16年平均の全国消費者物価指数は4年ぶりの対前年比マイナス0.3%となり政府の目指すデフレ脱却は見通せない状況だ。本年度の税収についても、企業収益悪化による法人税の下振れなどから、7年ぶりに当初予算の見積もりを下回る事態となっている」などと指摘し、「このような停滞は、効果が限定的な金融政策や従来型の公共投資中心の財政出動を最優先で推し進めてきたアベノミクスが、いよいよ行き詰まったことの証左に他ならない」と断じた。そのうえで、保育士の待遇改善や教育への公的支援など「人への投資」の重要性を強調、「民進党は、中長期的な成長の基盤となる『人への投資』に向けた持続的な対策を最優先で、かつ全力で取り組む」と決意を表明し、討論を終えた。
参院本会議第3次補正予算に対する白眞勲議員討論原稿(予定稿)
■締めくくり総括質疑
参院予算委員会で採決に先立ち行われた締めくくり総括質疑に立った福山哲郎議員は、トランプ米大統領の政策について安倍総理の見解をただした。
福山議員は、トランプ米大統領が中東やアフリカ7カ国の国民の入国を一時禁止した大統領令を発したことを念頭に、「総理が言われた『日米は自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値で結ばれている』ことにはまったく異論はない」と述べつつ、アメリカのこうした入国政策を受けて、「日米同盟基軸は分かるが、こうした価値がひょっとしたら揺らぐのではないか」と懸念を表明した。福山議員は、「『アメリカの政策だからコメントする立場にない』と日本の総理が言ったら、世界は本当に失望する」と総理に迫った。
福山議員から考えを求められた安倍総理は、「米国がどのような出入国管理を行っていくかは注視しているが、いまその政策について直ちにコメントすることは差し控える」と明確なコメントを避けた。
福山議員は、「首脳会談の時もそう言うのか」と総理をけん制し、「その時、自由や人権や法の支配で日米同盟を確認したというコメントをしたら、世界中で日本はどう思われるか考えてほしい」「思い切った決断をいただくことをお願いする」と日米首脳会談でアメリカの入国政策に異議を申し立てることを依頼して、質疑を終えた。
■討論
参院予算委員会で討論に立った矢田わか子議員は、(1)緊要性が疑わしい予算項目が計上されている(2)不要と見込まれる予算項目を含め、既定経費の見直しが不十分(3)歳入の大部分が国債であり、財政健全化に真摯に取り組む意欲が感じられない――という3点を理由に第3次補正予算に反対を表明した。