学校法人加計学園の国家戦略特区への獣医学部設置に関して調査を進めている民進党の「加計学園疑惑調査チーム」は19日、問題となっている愛媛県今治市の現地を視察した。
参加したのは、共同座長の今井雅人衆院議員、桜井充参院議員の他、衆院から木内孝胤議員、宮崎岳志議員、参院から斎藤嘉隆議員、平山佐知子議員。
一行はまず、愛媛県庁や今治市を訪問したが、知事や市長、担当者から聞き取りを行うことはできなかった。県と市には今後、文書による質問を行う予定。
その後、一行は特区に指定され、獣医学部の建設が進む今治市内の土地を視察。地元の市議会議員などから話を聞き、取材に応じた。
その中で桜井共同座長は現地での聞き取りから、市民の中に大学に対する期待がある一方で財政的な問題も大きいこと、計画ではバイオセーフティーレベル(微生物や病原体などを扱う施設の格付け)3の施設を建設するとしながら市民にはより危険度の低いレベル2の実験しか行わないと説明している問題などを把握できたと説明。さらに、国から愛媛県に対して国家戦略特区の制度を活用すべきという働きかけがあったが、今治市にも同様の働きかけがあったのかが最重要課題であり、確認したいと述べた。
今井共同座長は、官邸の意向が働き内閣府主導で話が進んだ疑念があるとし、今回の視察では確認できなかったが文書で質問し回答を待つ考えを明らかにした。さらに、森友学園の問題は忖度(そんたく)があったかもしれないが、加計学園の問題は官邸あるいは安倍総理が直接指示をしたのではないかと疑念を持っていると語った。
木内議員は、特区には京都産業大学も立候補しながら排除された経緯が不可解と指摘、公正中立な政策決定とは言えないと述べた。
宮崎議員は、委員会質疑で2018年4月開学という条件は特区の選定前にもかかわらず今治市と加計学園の都合にあわせて決まったことを明らかにしたと述べ、なんらかの不正・誘導の存在は否定できないと指摘。この特区が「国家戦略」に合致するのかきちんと考えなければならないと述べた。
斎藤議員は、現地を見て建設工事が進んでいるのは分かったが、学部設置は審議会で審議中であり最終的に文科大臣が判断することになり、来年4月の開校はかなり無理があるとし、文部科学委員会でもしっかり議論したいと述べた。