民進党代表選挙の九州ブロック候補者討論集会が27日に宮崎市内で開かれた。党員・サポーター、自治体議員ら300人以上が会場を埋め、候補者の主張に耳を傾けるとともに、党立て直しへの覚悟、党運営、政権政策などについて質問。前原誠司、枝野幸男両候補は真剣に答えた。討論会終了後には同市内で両候補が街頭演説を行った。
代表選に立候補するに当たっての所信について前原誠司候補は、「この20年余りで国民所得は2割ほど、1世帯当たりでは120万円減少した。400万円以下の所得の家庭の子どもの4年制大学への進学率は31%。対して1千万円以上の所得の家庭の子どもの進学率は62%あまり。私はすべての子どもが4年制大学に行くべきとは思わないが、親の収入で子どもの(進学の)機会が変わるこういう国はおかしいと思う。4年制大学に行った子どもの方が生涯年収が傾向として大きくなる。つまり、親の収入が子どもの収入格差を再生産している。こういう社会をわれわれの力で終わらせよう」と訴えた。
枝野幸男候補は、「一刻も早く民進党を立ち直らせなければならない。しかし、リーダーが変わっただけで党を立て直せるほど甘い状況ではない。一人ひとりの国会議員、自治体議員や党員・サポーターの皆さんも含めて、党全体が生まれ変わる、そんな代表選挙にしなければならない。そのために私はボトムアップ型のリーダーシップを発揮したいと思う。民進党の旗を掲げ、厳しい中でも今の政治を地域から変えていこうと頑張って歯を食いしばって戦ってくれている仲間がいる。その皆さんを支えてくれる党員・サポーターの皆さんがいる。こうした地域の皆さんの力を引き出すリーダーとして民進党を立て直す」などと話した。
候補者間討論で、前原候補からの「11の国会議員のいない県がある。こうした国会議員の空白をどう埋めるのか」との問いに枝野候補は、「地域によって事情が違う。それぞれの地域事情を把握し、各地からさまざまな知恵を持ち寄って共有していく。地味だがそういうところから始めていかなければならない」と答えた。枝野候補からは「われわれの理念政策を選挙のために曲げてしまってはいけないが、次の総選挙でどう議席を増やすか」と質問。前原候補は、「政治家の命は理念であり政策だ。あるいはどういう社会像を作っていくか。他の野党におもねるのではなく、われわれに協力してほしい、政策理念はこれだと説得することも野党第1党のリーダーとして必要なことだ」と答えた。
会場からの質問、意見では、「1年間代表を守ることができなかったことを重く受け止めてほしい。両候補には民進党を立て直し続ける覚悟を聞きたい」「この代表選を通じて地に足をつけた国民政党に脱皮できるかが問われている」「女性議員をどう増やしていくのか」「消費税増税への態度」「地域の問題にどうぶつかっていくのか」などの質問が出された。「拉致問題の解決にしっかり取り組んでほしい」という訴えに前原候補は、「外務大臣時代に日朝間の交渉も含め、さまざまなことをさせていただいた。残念ながら結果が出ていないことを申し訳なく思っている。風化をさせずに問題を解決することは党派を超えた大事なテーマだ。今後もしっかりと取り組む」と述べた。枝野候補は、「一生懸命やっているつもりだがなかなか伝わっていない。このことは真摯(しんし)に受け止めて、みんなで全力を挙げて解決に努力する」と答えた。
最後の訴えとして枝野候補は、「一部のメディアは、また政界再編だとか野党再編だとか無責任なことを言っているが、また再編で党名が変わる、そんなことを言われている政党に誰が期待してくれるのか。昨年、民主党と維新の党がお互いにいろいろなハードルを乗り越えて民進党として再出発した。これまで皆さんに支えていただいたこの民進党という枠を大きくして政権を取る。目の前の風やブーム、メディアのあおりにふらつくことなく、地方の皆さんまで含めた本当の挙党体制を確立し、民進党政権を作る」と述べた。
前原候補は、「地域も大変かもしれないが、大都市から崩れていっているのがこの政党だ。この党を全国組織として保つためには、これが最後のチャンスだと思わなければこの党は空中分解する。しかし、今の自民党の自己責任型社会、国民が不安だらけという選択肢しかないことは国民の不幸だ。われわれが国民に対してしっかりと選択肢を示すことは歴史的使命だ。民進党の危機が日本の危機になる。それを防ぐためにこの代表選を反転攻勢にする。次に政権を取るという気構えで頑張ろう。その先頭に立たせてほしい」と訴えた。