衆院予算委員会で12日午前、2015年度補正予算に関する2日目の基本的質疑が行われ、民主・維新・無所属クラブの2番手として大西健介議員が質問に立ち、(1)宮城県内への指定廃棄物最終処分場建設(2)男性国会議員の育児休暇取得(3)米軍普天間飛行場の辺野古移設問題(4)就学支援金不正受給問題――等について取り上げた。
大西議員は冒頭、臨時国会の開会を野党が一致して求めたにも関わらず開会を拒み続けた安倍内閣の政治姿勢を批判したうえで、看過できない大臣の資質の問題を列挙した。
まず、宮城県内への指定廃棄物最終処分場建設をめぐり、本来であれば大臣自らが現地を訪れて関係者に説明を行い、建設への地元の理解を求めるべきであるにもかかわらず、その労を惜しみ、宮城入りに後ろ向きな丸川大臣に「月内に行くと宣言してほしい」と大西議員は強く迫った。しかし丸川大臣は「どのような判断があるか検討している」などと答弁。大西議員は昨年11月に現地調査の年内着手断念を伝えに宮城県庁を訪れた井上環境副大臣に対し、村井知事が声を荒らげ、候補地3市町の首長や住民からは怒りや失望、候補地の返上を強く求める声が上がったことを報じる記事を取り上げ、「政治がリーダーシップを発揮しないから、こうなった。大臣が住民に頭を下げて初めて熱意が伝わるのに、望月義夫前環境相からは何の連絡もなく、今の丸川環境相は福島に来たのに宮城には来ない」との知事の発言にも触れ、早急に宮城入りするよう再三求めたが丸山大臣は明言を避け続けた。大西議員は候補地3市町の首長から候補地の返上を求める声が上がっていること等も踏まえ、「この問題を先に進めるためにも大臣の現地入りが重要」と指摘した。
米軍普天間飛行場の辺野古移設問題に関しては島尻沖縄・北方担当大臣が昨年12月15日の記者会見で、移設反対の翁長沖縄県知事の姿勢が来年度の沖縄振興予算に影響するか問われ「影響が全くないというものではないと私自身が感じている」と、基地移転と振興予算の確保がリンクするかのような発言をした点を大西議員は問題視。従来の政府は基地移転に関する沖縄県の政治姿勢が沖縄振興予算にリンクしないという立場を堅持してきたにも関わらず、島尻大臣の発言は基地問題をめぐる政治姿勢と振興予算をリンクさせた、恫喝(どうかつ)とも受け取れる発言とも言えるとして、発言の意図を大臣に確認した。島尻大臣は「振興予算と基地問題はリンクしないとこれまでも発言してきた。15日の会見でも明確に申し上げている」などと言いわけに終始。大西議員は、「歴代の担当大臣の姿勢とは全く違う」と述べ、沖縄県選出の参院議員として沖縄の民意を代弁する立場でもあるにも関わらず、また担当大臣として政治姿勢とリンクしない形での沖縄復興予算の確保に努めるべき立場でありながら問題発言を行った島尻大臣はその資質を疑うと批判した。
教育特区を利用して株式会社が2005年に開講した三重県伊賀市の「ウィッツ青山学園高校」に東京地検特捜部の捜査が入り「高等学校等就学支援金」の不正受給問題が明るみに出た件も取り上げた。同校では「学校の前で写真を撮れば高卒資格が取れる」「奨学金は8~9割返さなくていい」などと説明して生徒を勧誘し、生徒1人当たり国から最大30万円の支援金を得ることで運営されており、不正受給が指摘された。本来は就学困難者の就学を応援するために作られた支援金が金儲けのために不正受給されたことに大西議員は憤りを感じると表明。そのうえで安倍総理に見解を求めたが「捜査中でありコメントは差し控える」と述べるにとどまった。大西議員は同校の悪質性を指摘するとともに、同校を指導する立場の文部科学省が問題のある募集方法を当時から把握しながら放置していたとの指摘がある点を問題視した。さらには、同校の創立者の森本氏は下村博文前文科大臣の後援会「全国博友会」の会長であり、特区制度を活用して三重県伊賀市の「ウィッツ青山学園高校」の認可が行われた際の文部科学大臣政務官は下村前文科大臣であることを指摘。また、全国合同博友会の祝賀パーティが2006年3月に行われた際には当時官房長官だった安倍総理も出席し祝辞を述べていることを取り上げ、その関係をただしたが、安倍総理は答弁しなかった。大西議員はこの問題について下村前文科大臣にただす必要があるとして参考人招致を求め、理事会で協議されることとなった。