衆院予算委員会で2016年度政府予算の締めくくり質疑が行われ、福島伸享議員は(1)アベノミクスの評価(2)G20を踏まえた経済運営(3)消費税増税――など経済問題を取り上げて質問した。
福島議員は、「アベノミクスに期待する声は当初は多かったが、最近は景気が悪いという声が本当に多い。飲食や小売りは軒並みだ。建設関係でも良くないという」「いろいろな方から、『安倍総理の答弁はあまりにも浮世離れをしている』という声を多く聞く。安倍総理は、もはやデフレではないというが、各種世論調査の結果にも表れている」と述べ、これらの声や調査結果についての感想を求めた。安倍総理は、「デフレではないという状況が、景気が良くなったということとイコールではないが、状況判断は回復基調にあると考えている。調査結果はしっかりと受け止めたい」などと答えるに留まった。
福島議員は、「国際的な視点として、経済成長をドルベースで見てみると、安倍政権では1人当たりの名目GDPで、日本はOECD加盟34カ国中で20位まで落ちている。しっかりと統計データで見ることが必要だ。『この道しかない』と粋がることではない」「グラフで見ると、企業倒産件数、完全失業者数推移や有効求人倍率など、民主党政権も含めリーマンショックからの回復トレンドにある。民主、自民のどちらが悪いということではなく、お互いにデータを見た上で何をするかを議論するべきだと思う」と述べ、安倍総理に見解を求めた。それに対して安倍総理は、「国民は円で生活している。数字を上げ続けていくことが大変だ。もはやデフレではないという状況をつくることは初めての試みだ」などとして、データに基づいた判断には程遠い答弁となった。福島議員は、「さまざまな統計はさまざまな見方がある。ドルで給料をもらっていないから関係ないと言うが、海外ではものを買いにくくなるということもある。それが国力が落ちるということだ。東京証券取引所には多くの外国人投資家が参加している。ドル建てでも見ないとちゃんと見ることは出来ない」などと指摘した。
消費税増税について福島議員は、「市場は消費税増税を注視している。安倍総理は消費税引き上げの判断の答弁を最近少しずつ変えてきている。『リーマンショックや大震災級の出来ごとがなければ引き上げる』と言っていたものが、『世界経済の大幅な収縮が起こっているかどうかを分析して判断』とか、『税率を上げて税収が増えなければ引き上げない』と言いだしている。そして世界経済の分析について会合がある。これは消費税増税延期への布石ではないか」と問いただした。安倍総理は、「予定通り引き上げを行っていく。賃金が上がるよう企業側にお願いをしている」と答えた。
「2016年度本予算が成立してすぐに補正予算を組むようなことはないのか」との質問に安倍総理は、「最大の景気対策は、本予算を1日も早く成立させていくことと考えている」と答弁。福島議員は、「仮に補正予算を組むことになれば、それはアベノミクスがうまく行っていないと認めることになる。ましてや7月の参院選前に補正予算を組むことは、いかにも選挙対策だ。仲の良い人の意見だけではなく、さまざまな意見を聞かなくてはならない。アベノミクスの現状を虚心坦懐(きょしんたんかい)に見なくては裸の王様になる」と指摘し、与野党の真摯(しんし)な議論を求めると述べた。