参院予算委員会で4日質問に立った藤田幸久議員は、(1)マイナス金利付き量的・質的金融緩和導入の影響と評価(2)日本銀行金融政策決定会合のあり方(3)年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のハイイールド債購入(4)片目失明者の障害基準(5)河川の無堤防地域の河川改修(6)米軍海兵隊のヘリコプター部隊基地と地上部隊訓練場との関係――等について取り上げ、政府の見解をただした。
マイナス金利の導入をめぐっては、懸念されるマイナス面の影響をどう考えるかを追及。日銀の黒田総裁は、「貸出の基準となる金利や住宅ローンの金利ははっきりと低下している。一方、預金金利も低下しているがすでにかなり低い水準であったため、その低下幅は貸出金利に比べると小幅のものにとどまっている。地方銀行はすでにマイナス金利を採用している欧州諸国の例を見ても金融機関の個人向けの預金がマイナスになるとは考えていない」と強弁した。藤田議員は、「どこまでも下げ続けることはできない。長期の継続性がどの程度あるかは疑問だ」などとマイナス金利政策の継続性に疑問を呈した元日銀総裁の武藤氏の発言も紹介した。
藤田議員は、地方銀行や生命保険会社等は金融機関としての仲介機能が奪われてしまった、裁量権限が日銀に奪われてしまったという声があるとも指摘。これに対し黒田総裁は、地域金融機関の一部で業務純益が必ずしもはかばかしくないことを認めたうえで、「その点については銀行自身あるいは金融庁が、どのように地域の金融機関としての役割を果たしていくかは十分考えているだろう。私どもとしてもさまざまな手段を使って側面から支援していきたい」などと答えた。藤田議員は「メガバンクの収益は出せという話になるかも知れないが、地方銀行は金融庁にお任せということにはならない深刻な状況になっている。ますます地域間格差が広がっていく、ますます地方銀行が自律的な仲介機能ができない。地方銀行と生保は今までの収益とか言っていられない状況にあるのではないか。そんなことで済むのか」と黒田総裁の姿勢を批判した。