参院本会議で藤末健三議員が11日、2016年度地方財政計画、地方税法・地方交付税法改正案について質問した。藤末議員は、「民主党は、地方の多様な価値観を重視する。人に優しい経済を地域から実現し、地域に根ざした人材や資源、英知を生かす。その観点から法案を審議する」と宣言し、(1)地方交付税のトップランナー方式(2)臨時財政対策債(3)法人事業税の外形標準課税(4)中小企業の固定資産税(5)地方税・地方交付税の枠組み転換(6)郵便局ネットワークの維持・強化――等についてただした。
政府が地方交付税に導入しようとしている、地方団体の一定の業務について民間委託を前提とするトップランナー方式について、「経費節減が最優先、民間委託が最善という価値観に基づいている。しかし、地域住民にとって何が最適なのかを考えるのが地方創生・地方分権の核心であり、トップランナー方式はその理念に反する側面がある」と指摘した。
地方一般財源について、「その総額の中に、政策経費に充てることのできない過去の臨時財政対策費の償還分が多く含まれており、償還のめどが立っていない」と述べ、その計画的な償還について、早期に具体的な道筋を明らかにすべきだと提言した。
法人事業税の外形標準課税については、「外形形式に報酬給与額が用いられており、賃金課税である側面がある。雇用や給与水準に影響を与える懸念がある」と指摘した。
中小企業の行う生産性を高める設備投資について固定資産税を3年間半減する政策に関し、「国の政策の一環として行われる特例措置は、国税や国の補助金で対応すべきだ。財政状況の厳しい市町村の貴重な財源である固定資産税に、断固導入すべきでない」と批判した。
藤末議員は、「地方交付税が、(地方団体の)財政力格差是正に十分対応できないほど、税収格差が広がっている。地域経済の2極化がどんどん進んでいる。格差が格差を招く構造を、強い決意を持って打開すべきだ。地方税・地方交付税の枠組みを、大きく転換すべきだ。今すぐ検討を」と安倍総理に迫った。