参院予算委員会では14日、「社会保障・国民生活等」をテーマとして集中審議が行われ、小林正夫議員が質問に立った。

安倍内閣の経済政策の問題点

 小林議員は、「安倍総理の国民生活の現状の認識について尋ねる」と切り出し、「安倍内閣には『国民の安心を確保する』『国民の生活を守り抜く』という視点が欠けているように思う」と安倍内閣の本質を突いた。その一例として厚生労働省が行った2014年の「国民生活基礎調査」の結果を引き、「生活が苦しい」と感じている国民が20年前の4割から6割以上に増えていることを指摘し、安倍総理に対し「『生活が苦しい』と感じている国民が増えているという実感はないのか」とただした。

 これに対し安倍総理は、団塊世代が定年を迎え正社員から非正規労働者に転換すると以前より生活は苦しくなるなどという例を挙げ、言い訳に終始した。そこで小林議員が「かつてのわが国にあった社会の一体感や価値観の共有が損なわれてきたのは、2000年代初頭の、小泉改革が始まった頃ではないか。規制緩和や自由競争が進み、企業が派遣労働者を使うようになって、格差が顕著になった」「安倍総理も官房副長官として小泉改革を支えた1人だ。格差社会を生んできたという自覚はあるか」と迫ったが、安倍総理は人口構成の変化や経済のグローバル化などを理由に、小泉改革を正当化した。

小林正夫議員

 小林議員は、「格差がさらに進んで社会が分断されている。非正規労働者はいくら頑張っても正社員になれない、中小企業の労働者はいくらいい仕事をしても大企業の労働者のような賃金や処遇は望めない、貧困家庭の子どもは頑張っても貧困の連鎖から逃げられない。格差は縮めることができても、分断され二極化された社会では、その溝を埋めるのは大変なことだ」と語り、安倍内閣の政策では国民生活を軽んじていると断じた。

電力の小売り自由化、固定価格買い取り制度など

 続いて小林議員は、4月1日から始まる電力の小売自由化について、国民の中には「3月中に手続きしなければ電力の供給が止められるのではないか」などの誤解があることを指摘。これについて政府から「何もしなくても電力の供給は止まらない」「他社への切り替えは4月以降いつでもできる」との確認を取った。

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度について質問した。この制度は、2012年の7月に始まり、10キロワット以上の太陽光発電は電力会社が全量を買い取り、それを国民が負担していくというもの。小林議員は、2015年度の買い取り費用は1.8兆円で、賦課金(国民負担)は標準家庭で474円/月と「前年の2倍以上」であるとして、電気を多く使う事業所ほど賦課金の負担が大きくなっている現状があると指摘した。「太陽光発電は大いに拡大していくことが必要だ。しかし、いろいろな課題も見えてきた。国民生活や経済活動への影響も考えて政策を進めるべきだ」と訴えた。

 さらに、太陽光発電の課題として、発電した電力の送電作業に関わる問題や、太陽光発電設備(パネル)が水害で水没した場合でも光があたると発電してしまうことで感電のおそれがあることなどを指摘し、対応策の検討を求めた。