参院本会議が29日開かれ、2016年度政府予算や国税・地方税など歳入関連法案がいずれも与党などの賛成多数で可決され成立した。 一般会計予算の総額は96兆7218億円と過去最大。民進党は、政府予算などに反対した。

 野田国義議員が会派を代表して予算の反対討論に立ち、(1)政府は格差拡大を放置(2)新3本の矢は掛け声倒れ(3)政府は国民との約束をほごにした(4)財政規律を軽視している――等、政府予算案に反対する理由を述べた。

 さらに「あきらかに国民の消費は落ち込み、わが国の景気回復は遅れている。既にアベノミクスは、失敗に終わったのではないか」と安倍政権のかじ取りに疑問を表明し、「アベノミクスの失敗を放置し、効果の検証や反省も不十分なまま編成され、国民生活の安心につながらない今年度予算は認められない」と断じた。

 そして、「子ども、教育、雇用、男女間に、分厚く高い格差の壁がそびえ立っている」と現状を訴え、民進党は「一人ひとりがかけがえのない個人として尊重され、多様性を認めつつ互いに支え合い、すべての人に居場所と出番がある、強くてしなやかな、共に生きる社会をつくる」と立ち位置を宣言した。

礒﨑哲史議員

 予算とともに本会議に上程された歳入関連法案については、所得税法等改正案に対する反対討論を礒﨑哲史議員が、地方税法・地方交付税法改正案に対する反対討論を石上俊雄議員が、それぞれ会派を代表して行った。

 礒﨑哲史議員は、(1)消費税再引き上げに伴う軽減税率導入に反対(2)格差是正に対する視点が欠落している(3)自動車関係諸税の負担軽減、簡素化に何ら措置が講じられていない(4)国民に良質な医療を提供する観点などから、医療・介護等の控除対象外消費税の問題について解決策が示されていない――と指摘した。

 そして、「経済政策や社会保障政策のアドバルーンばかりを上げ、現場視点を持ち合わせず、実質的な成果を出せない安倍政権に、将来の日本を託せない。民進党は、生活者、納税者、消費者、働く者の立場に立って、公正・公平・透明なルールのもと、多様な価値観や生き方、人権が尊重される自由な社会を目指す。そして、未来を生きる次世代への責任を果たす社会を実現する」と訴えた。

石上俊雄議員

 石上俊雄議員は、地方税法等改正案、地方交付税法等改正案の2法案について「『ドヤ顔政治』を決め込む現政権が、深刻な地方財政の現状を前に『木を見て森を見ず』の情けない態度をとり続ける。消費税の軽減税率導入についても、代替財源の明示などは一切行わず、放置したままの無責任政治だ」と政府・与党の政治姿勢を痛烈に批判した。

 一方、民進党は「逃げず、ひるまず、きっちりと、地方の心に寄り添いながら、問題解決にしっかりと立ち向かう、真の国民政党たらん」と決意を示した。