枝野幹事長は16日、名古屋市・四日市市でそれぞれ記者団の取材に応じた(写真は四日市市内。以下では愛知・三重での枝野幹事長のコメントをまとめて記述)。

【東京都知事選挙について】

 舛添都知事の辞職に伴う東京都知事選挙が7月31日になったことを受けて、民進党としての候補者擁立への考え方を問われ、「(猪瀬前知事・舛添知事と)2代続けて政治とカネの問題で任期をまっとうせずに辞めるということが続いた。まずそうした問題とは遠いクリーンな人で、なおかつオリンピックに絡んだ問題などのように、都政の〝よどみ〟が指摘されているので、そういう都政を大幅に刷新できる人が必要だ」との認識を述べ、加えて、「間違いなく言えるのは、この2代の都知事をつくった皆さん(=自民・公明両党)と相乗りをするような話ではない」とした。

 蓮舫代表代行を推す声があることについては「本人の意向や全体の状況を見極めていかなければならない」とし、候補者には高い知名度が求められるかとの問いには、「知名度はないよりあったほうがいいというはその通りだが、逆にこうした局面では都民の皆さんは都知事選に強い関心を持っているので、知名度が低くても短期間で周知できる環境になっている」と述べ、必ずしも知名度の高さを優先させるものではないとの認識を示した。

 都知事選でも野党共闘を進める考えはあるかと問われ、「野党共闘は『国政での安倍政治の暴走に歯止めをかける』ということで一致したもので、都政とイコールではない。一方で、2代の都知事を推してきたのは自公で、それに対して(国政で共闘している)野党4党は批判的な立場をとってきたので、近い部分はある」と前置きし、「ただ、枠組みだけで物事を決めるというよりも、まずは本当に都知事にふさわしい人を擁立し、それをこの間の猪瀬・舛添都知事にしっかりと対峙(たいじ)してきた幅広い皆さんに支えていただくというのが望ましいと思っている」と述べ、共闘・連携への期待感を示した。

【福島第1原発事故に関する第三者委員会の報告書について】 

 福島第1原子力発電所の事故で、当時「メルトダウン(炉心溶融)」の公表が遅れた問題について、東京電力が設置した第三者委員会が16日に報告書を提出。この報告書の中で、「炉心溶融」を「炉心損傷」と説明していたことについて「官邸から慎重な対応をするよう要請を受けていたと理解していたと推認される」などとされたことの受け止めを問われた枝野幹事長は、「当時からよく『官邸』と言われたが、具体的に言っていただかないと誤解を招く」と述べ、当時の官邸には、総理・官房長官などの政治家だけではなく、関係府省庁の職員、東京電力の社員、原子力保安院など、大勢のスタッフが常駐していたことを説明し、「むしろ私自身が炉心溶融を認める発言をしているのに、自分の発言にブレーキをかけるなどということはあり得ない」として、「官邸」という表現では不十分との認識を示した。

 この点についてさらに記者から、報告書では「徹底したヒアリングを行ったが、官邸からどんな要請を受けていたのかは具体的な解明に至れなかった」などとしていると知らされ、「『誰からどう言われたのか分からないが、そういうことを言われたようだ』とは、こんな無責任な話はない」と不快感を示した。

【愛知県選挙区について】

 愛知県選挙区には複数の党幹部が相次いで訪れていることから、党本部としての愛知県選挙区の位置づけを問われ、「(愛知は)わが党の基盤の強いところであり、今回、定数が4に増えたので何としても2つ取りたいし、それが十分に可能だ」と述べ、2議席獲得への強い意欲を示した。その上で、実際に訪れてみての手ごたえを問われ、「(全国的に)1年半前の総選挙の時とはだいぶ空気が違うと思っている。その中でも、名古屋はもともとわが党の仲間が頑張っているので大変好意的な反応をいただいている」と述べ、加えて「(候補予定者の)伊藤たかえさんが大変元気でアグレッシブに動いてくれているのが、さらに良い効果をもたらしている」と感想を述べた。

【三重県選挙区について】

 岡田代表の地元でもある三重県選挙区については、自民党が重点区に位置付けるなど早くも激しい戦いが予想されている。こうした状況について認識を問われ、「(芝さんは)現職であり、代表のお膝元でもあり、この間の実績などを考えれば、勝てなければおかしい」と前置きしつつ、「ただ大変な攻撃を受けているので、われわれとしても最重点区として全力で戦わなければいけない」と述べた。

 一方、野党統一候補として選挙戦に臨む上で市民に何を期待するかとの問いには、「細かいことを言えば違いがあっても『今の安倍政権の暴走に歯止めをかけるには野党第1党の党首のお膝元で実績のある人をしっかり勝たせることが何よりも大事だ』ということは、多くの幅広い市民の皆さんにご理解していただいていると思う。これが行動につながっていただければ」と述べ、市民の皆さんの具体的な行動に期待感を示した。