前国会以前で継続、または今国会で提出された内閣提出法案は30本。そのうち採決し成立したものが23本で成立率76・66パーセント、うち民進党が賛成したものは20本で賛成率86・96パーセントとなった(4・5面記事参照)。反対した主な法案は、TPP関連法案、年金カット法案、消費税引き上げ延期法案など。(2016年12月9日現在)
■重要議案の国会論戦■
年金カット法案「その場しのぎ、将来世代にツケを回すだけ」
「年金カットの新ルールが発動されると、1度下がった年金は2度と物価に追いつくことがなく、受給開始後の年金の実質価値は、一方的に下がり続ける。現在の高齢者だけではなく、将来世代の年金が下がってしまう」
「新ルールでいくら年金が減るのかという初歩的な質問にも答えられないのであれば、十分な法案審議はできない」
「将来世代がまともな年金額を受け取るためには、年金制度の抜本改革が必要だ。その場しのぎの年金カット法案で今の制度を温存することは、改革の先送りであり、将来世代にツケを回すだけ」(井坂信彦衆院議員11月29日 衆院本会議)
衆院厚労委員長解任決議案、厚労大臣不信任決議案
「最優先で取り組まなければならない喫緊の課題である長時間労働と相次ぐ過労死の現実を前にして、それを是正するために野党が提出した法案を放置したまま、年金カット法案の審議を優先させた」(阿部知子衆院議員 11月29日衆院本会議で厚労委員長解任決議案の賛成討論)
「最低保障機能を強化し、将来世代が生活できる年金を受け取れるようにするには、年金制度の抜本改革が必要不可欠。しかし、塩崎大臣は年金改革を避け続けた。年金カット法案が成立してしまえば、制度改革は放置され続ける」(郡和子衆院議員 11月29日 衆院本会議で厚労大臣不信任決議案の趣旨説明)
TPP協定「日本だけ軌道修正せず手続きを進めることは理解できない」
TPP脱退を表明しているトランプ氏が米国大統領選挙で勝利したことを踏まえると「TPPが発効されない可能性が極めて高くなった。今、政府がすべきことは、国民や金融・マーケットに対し、日米関係の今後の展望について、政府としての明確なメッセージを発信することだ」
「民進党はTPPの全体像や国民生活へのメリット、デメリット両面を明確にする。将来に禍根を残すことのないよう、国民目線で徹底的に、とことん審議していく」(浜口誠参院議員 11月11日 参院本会議)
外交「総理の説明があまりにも不十分なため、国民は不安の中にある」
「安倍総理の説明、政府の情報開示があまりにも不十分なため、国民は漠然とした不安の中にある。総理がトランプ次期米大統領を『信頼できる』と判断した根拠は何なのか。ロシア交渉の窓口であったウリュカエフ経済発展相の逮捕、イギリスの国民投票、パリ協定、アメリカ大統領選挙の予測など、日本の外交の触角は、今どこかおかしいのではないか。対外情報収集能力に疑問符が付されていると言わざるを得ない。常に想定外の出来事に右往左往して大慌てしている政府の姿は異様に感じる」(伊藤孝恵参院議員 11月25日 参院本会議)
消費税引き上げ延期「『社会保障と税の一体改革』の精神は、2度にわたる増税延期によってズタズタだ」
「そもそも消費税の10%への引き上げは、将来世代へのつけ回しを極力避けるためのもの。多大な政治資源を使い、国民に多大な負担をお願いしてまで実現しようとした『社会保障と税の一体改革』の精神は、2度にわたる増税延期によってズタズタに踏みにじられた」
「今回の消費増税再延期は、7月の参院選を考えたポリティシャン(政治屋)の政治の極みだったのではないか。そんなことで、果たして次の世代に責任を持てるのか」(杉尾秀哉参院議員 11月9日参院本会議)
外国人の技能実習「本当の意味で『日本は素晴らしい』と称賛される国に」
「技能実習制度は、国内外から『現代の奴隷制』といった批判がある。ちまたにあふれる『日本はスゴイ』という自画自賛と現実との乖離(かいり)を直視すべきだ」
「今、社会はますます複雑化し、多様化している。その多様性が国家の力になることも、否定できない事実だ。本当の意味で『日本はスゴイ』『日本は素晴らしい』と、日本人も外国人も胸を張って称賛できる国にすることが政府と国会の責務だ」(真山勇一参院議員10月28日 参院本会議)
パリ協定「政府の失態、猛省を」
「(条約の批准が遅れた)政府対応の失態に対して強い不満を表明し、政府に猛省を促したい」
「(パリ協定は)地球の気温上昇を産業革命前から平均で2度以下に保持、また、1・5度に抑える努力を追求することに途上国を含むすべての国が合意した点で、歴史的意義のある協定だ。目標を達成するために、わが国も環境立国として技術と政策を総動員して、世界をリードしていかなければならない」(神山洋介衆院議員 10月28日衆院本会議)
補正予算「子どもたちへの手当てが極めて不十分」
「(安倍内閣は)国債を発行して財政を悪化させ、子どもや孫の負担を増加させる。子どもたちへの手当てが極めて不十分だ。日本全国から、貧困などで苦しんでいるたくさんの子どもたちの悲鳴が聞こえているが、総理はその声にきちんと応えようとしていない。今の安倍総理からは、日本の子どもたちへの本気の愛を感じない」(宮沢由佳参院議員 10月11日 参院本会議)
代表質問「尊厳持って働き、安心して生活できる社会を」
「働く意欲を持つ人が尊厳を持って働き、安心して生活できる社会づくりに貢献したい」
「ホワイトカラー・エグゼンプションの制度は、労働者が一定の条件にあれば、時間外・休日労働の割増し賃金を不払いにしてもよいというもの。対象労働者が長時間労働を強いられることが想定される」(矢田わか子参院議員 9月29日 参院本会議)
(民進プレス改題18号 2016年12月16日号より)