蓮舫代表は10日午前、「高プロ・裁量労働制の規制緩和に反対し、真に実効性のある長時間労働の規制を求める院内集会(主催は日本労働弁護団/過労死弁護団全国連絡会議/全国過労死を考える家族の会)」に出席。真に働く者のための働き方改革の実現に向けて、決意を表明した。

 安倍政権は、今国会で「働き方改革」を掲げる一方で、労働時間規制そのものを骨抜きにする「高度プロフェッショナル制度(いわゆる残業代ゼロ制度)」と「裁量労働制の拡大」を内容とする労働基準法改悪案の成立を狙っている。集会では、日本社会で働く全ての労働者の命と健康を守り、生活時間を取り戻すため、この労基法改悪案を白紙に戻し、真に実効性ある長時間労働規制を強く求めるアピールを採択した。

 蓮舫代表は、安倍政権が掲げる「働き方改革」について、「響きはいいが実態はどうなのか。本当に必要なのは規制の緩和ではなく強化だが、今政府が出している労基法改正は真逆だ。最も明確にしなければいけない勤務時間が分からなくなる」と批判。民進党など野党4党がすでに国会に提出している長時間労働規制法案は審議すらされず、「勤務時間のインターバル規制」の必要性を訴えても政府は「検討する」との返答しかないと述べ、「心身ともに健康で豊かさを実現できる社会をつくろうではないか。おかしい政治に対して正しい改革をしてもらえるよう、われわれも全力で挑んでいく。思いを一つにして、声を上げることが無駄ではないと感じられる成果を勝ち取るためにも民進党も全力で頑張っていく。ともに頑張ろう」と表明した。

 日本労働弁護団の棗一郎幹事長は開会のあいさつの中で、安倍政権が長時間労働の是正策として上限規制を設けるとする一方で、労基法改正には時間規制が及ばず24時間、365日働かせ放題の「高度プロフェッショナル制度」や、みなし労働制で実際の働いた時間を管理しなくていい「裁量労働制の拡大」を盛り込んでいることに、「規制緩和と規制強化とまったく矛盾した政策をやろうとしている」と指摘。「この矛盾を解消し、真に長時間労働を規制できる法制をつくっていただきたい」と訴えた。

「働く者の命が犠牲になる法律は絶対作らないで」と訴え

高橋まつりさんの母、幸美さんからは悲痛な訴え

 そのほか、過労死弁護団全国連絡会議の川人博幹事長、全国過労死を考える会寺西笑子代表、森岡孝二関西大学名誉教授、労働団体の代表者がそれぞれ過労死等防止対策推進法施行後も増え続ける長時間労働や過労死・過労自死の実態、長時間労働規制・過労死ゼロに向けての学生らに対する啓発教育、労働組合での取り組み状況等について報告。電通で過労自死した高橋まつりさんの母親、幸美さんからはビデオメッセージが寄せられ、「働く者の命が犠牲になる法律は絶対つくらないで」などと訴えた。

 集会には、民進党から蓮舫代表のほか山井和則国会対策委員長、阿部知子、井坂信彦、泉健太、大西健介、長妻昭の各衆院議員、牧山ひろえ参院議員が参加。過労死をなくすための実効性のある長時間労働の規制と労働基準法改悪の阻止に向けて決意を述べ、ともに取り組んでいくと誓った。