野田佳彦幹事長は20日、天皇陛下の退位等をめぐる法整備に関して、衆参両院の正副議長が各会派に意見陳述を求めたのに応じ、衆院議長公邸で民進党の考え方を説明した。小川敏夫参院議員会長、長浜博行参院議員(党皇位検討委員会委員長)、馬淵澄夫衆院議員(党皇位検討委員会事務局長)も同行した。
意見陳述後に野田幹事長らが記者会見して内容を説明した(写真上)。意見陳述の中で野田幹事長は、先般の各党の代表者実務者の協議の場で「議長・副議長のもとでの議論も行っていくが、国会での審議を妨げるものではない」との申し合わせがあったにもかかわらず、実際には憲法審査会でこの問題の議論を民進党が提案しても「いま議長・副議長のもとで静かな議論が行われているから、それを妨げてはならない」などと政府・与党が主張し、憲法審査会での議論が行われない状況にあるとして、「議長・副議長のもとで静かな議論を行うが、憲法審査会を含め国会での審議を妨げるものではないと、あらためて確認を取りたい」と要請。これに対し大島議長からは「妨げるものではない」と発言があった。
野田幹事長はまた、「各党間で全体会議を何回か行って、お互いの党の意見に真摯に耳を傾けて疑問をぶつけあい、成案を得るような場が必要なので、全体会議の場を積極的につくってほしい」と求め、これについても大島議長から、「そういう運びでいきたい」との話があった。
民進党の基本的な考え方については長浜皇位検討委員長が説明し、「大事な点は、8月8日のお言葉をどう受け取るのか。陛下の公務の軽減という受け止め方をする人もいるが、私どもはもっと本質的な問題だと思っている。日本国憲法、現行の皇室典範のもとではじめて即位、皇位継承された今上天皇陛下が長年にわたって体現してこられた象徴天皇制の本質を国民に問いかけたのが8月8日のお言葉という受け止め方をし、検討を重ねた」「象徴天皇制が安定的にこれからも続いていくために、どう考えたらいいか。唯一の立法機関、国権の最高機関に籍をおく人間として民進党は考え、整理させていただいた」などと、昨年12月21日に民進党が発表した党の論点整理を提示して説明した。
民進党の論点整理では(1)天皇の退位を認めるべき(2)皇室典範か特例法かに関しては皇室典範の改正によるべき(3)皇室典範改正の基礎的論点については皇室典範第4条の改正が中心になる。「天皇は、皇嗣が成年に達しているときは、その意思に基づき、皇室会議の議により退位することができる。」との規定を新設すべきである――等の項目を提示している。
野田幹事長は記者団の質問に答え、「安定的な皇位継承についても、今後検討課題としてわれわれは女性宮家の創設などを訴えていることも含めて説明した」などとも話した。