天皇の退位等についての立法府の対応に関する全体会議が17日午後、参院議長公邸で開かれ、衆参両院の正副議長が示した、国会の考え方の取りまとめ(「天皇の退位等についての立法府の対応」に関する衆参正副議長による議論のとりまとめ)案を正式に了承した。取りまとめは、特例法の制定で退位を可能とし、憲法違反との指摘を避けるため皇室典範の付則に、特例法は典範と一体を成すとする規定を設けるなどとするもの。民進党からは野田佳彦幹事長、小川敏夫参院議員会長、馬淵澄夫衆院議員、長浜博行参院議員が出席した。
野田幹事長は会議後、民進党として取りまとめ案を了承する考えを表明したと報告。自由党のみ「了承できない」としたが概ね各党賛成となり、このあと正副議長は立法府としての総意を安倍総理に手交するとした。
野田幹事長は、昨年8月8日の「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」を受け民進党の考え方の整理を行うため10月に皇位等検討委員会(委員長・長浜博行参院議員)を設置、有識者会議などでの議論を経て12月21日には「皇位継承等に関する論点整理」をまとめるなど、党として丁寧な議論を重ねてきた経緯にも触れ、「それに基づきこれまで強く主張し、全体会議の中でも多くの政党が理解を深めるきっかけとなる議論を多くやってきた。天皇の退位という最重要課題について与野党が歩み寄って1つの成案を得ることができたのは非常に画期的だと考えている」と意義を強調。(1)陛下の「お気持ち」という言葉をあえて記し、「おことば」から読み取れるご意思を忖度(そんたく)することができたこと(2)憲法上の疑義を払拭(ふっしょく)すべく、「皇室典範の改正」と位置づけて法律を整備すること、特例法は典範と一体をなすものとすること(3)恣意的・強制的退位を避けるべきという共通認識を共有し、そのための道筋を確立したこと(4)典範の付則規定に、将来に向けた一般的な事象として「天皇の退位」という言葉を明記したこと(5)与党側から示された「一代限りの退位」という表現を撤回させ、今般の法改正が将来の天皇の退位の先例となることを明らかにしたこと(6)天皇の退位につき、皇室会議関与の在り方を協議事項とすることなどを盛り込んだこと(7)「女性宮家の創設」という言葉を明記し、安定的な皇位継承の確保策を重要課題としたこと(8)民進党が示した法案項目をベースとして、別紙として法律の規定を整理したこと(9)政府に対し、法律案骨子を事前に各党・各会派、全体会議に提示するよう求めたこと――の9点を特に挙げ、議論を通じてこうした点が盛り込まれたことをもって了承したと述べた。
加えて、取りまとめには、政府は速やかに法律案の立案作業に着手し、その過程で骨子が出てきた時には事前に各政党・各会派に説明すること、要綱が出来上がった段階では「全体会議」に提示することも求めていることから、「この点についても立法府の意思がきちんと貫徹できるかどうかをチェックしていく役割は残る。きちんと詰めていきたい」と表明。「女性宮家の創設」については、取りまとめでは事実上両論併記状態だとして、「1年をめどに結論を出せるよう、引き続き活発な議論を行っていきたい」と力を込めた。
【談話】「『天皇の退位等についての立法府の対応』に関する議論のとりまとめ」について