衆院本会議で11日、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案」の趣旨説明・質疑が行われ、民進党・無所属クラブの松田直久議員が質問に立った。

 同法は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図るため、希少野生動植物種の捕獲等や譲り渡し等の禁止、生息地等の保護、保護増殖事業の実施等の措置を講ずることを定めている。今回の改正では、クメジマボタル等の33種(うち特定国内希少野生動植物種5種)の国内希少野生動植物種への追加等を行うとともに、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)第17回締約国会議での条約付属書の改正を踏まえ、国際希少野生動植物種の追加や削除等を行うとしている。

 松田議員は、(1)前回改正時の付帯決議や対応状況(2)海洋生物の種の保存のあり方(3)国内の希少野生動植物種の規制と保全(4)特定第2種国内希少野生動物種にかかる規制の運用(5)科学委員会の法定化と会議の公開(6)国内希少野生動植物種の指定や解除(7)象牙の国内市場の管理――等について取り上げ、山本環境大臣の見解をただした。

 2014年4月に策定された絶滅の恐れのある野生生物種の保全戦略では、16年度をめどに海洋生物のレッドリスト(絶滅の恐れのある野生生物の種のリスト)の作成を目指すとしていたにもかかわらず、ようやく3月末に公表されたばかりで、この内容が今回の改正案に反映されていないと問題視。「海洋生物の種の保存のあり方も十分に検討した上で、種の保全法の抜本的な改正を行うべきだったと考える。なぜ公表が遅れ、今回の法改正が抜本改正に至らなかったのか」と迫ったが、山本大臣は「当初より16年度を目指し作業を進め予定通り。現行法でも海洋生物の国内希少野生動植物種への指定が可能であるなど、すでに海洋生物も含めて対応可能な法制度となっている」と強弁した。

 松田議員は、「この法律の究極の目的は、絶滅を危惧されている種が、その危険を脱し、本来の生息数を取り戻し、この法律の対象から外れていくこと」との認識を示し、「保全戦略にある、個体数の回復によりレッドリストカテゴリーから外れた際の指定の解除について、今回の改正で新設される科学委員会の学識経験者の意見を聞いて科学的に決めるのか」「指定の目標とともに、解除についての数値目標も必要ではないか」などと質問。山本大臣は、「野生動植物の種に関し専門の学識経験を有する者の意見を聞いて行う。保全対策にはさまざまな要因が関係しており、その効果が現れる時期など単純に予測することができないことから指定解除の目標を数値として示すことは困難だ。1種1種の保全を着実に進め指定解除の実績を積み重ねていきたい」と答えるにとどまった。

 松田議員は最後に、「私たちは、少なくとも次世代にかけがえのない生物多様性という生物資源を残す義務がある。民進党は、今後も、生物多様性の確保に全力を挙げることを誓う」と表明し、質問を締めくくった。

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