衆院で17日、政府提出の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(TPP11協定)承認案の趣旨説明と質疑が行われ、民進党会派である無所属の会の福田昭夫議員が質問に立った。
同協定は、アジア太平洋地域での物品・サービスの貿易自由化や投資の自由化・円滑化を進めるとともに、知的財産、電子商取引、国有企業、環境等幅広い分野で新たなルールを構築するという環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの米国の離脱表明を受けて、米国以外の11カ国で環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11、CPTPP)として早期発効を目指すもの。
福田議員は、米国トランプ大統領がTPP脱退を表明し、米国抜きの11カ国で締結しようとしていることについて、「11カ国での締結を急ぎ、その結果、22項目が凍結され、その締約国全体の経済規模も、経済連携のレベルも当初と随分変容し、取るものがますます取られておらず、守るべきものがますます守られなくなっている問題の多い内容」と批判した。米国のタフツ大学が出した「TPPの現実コスト」を引用し、「すべての国において格差が拡大する。労働者の購買力の低下は総需要を低下させ、経済成長を減速させる」「再交渉を求められたら大変なことになる」と指摘した。
トランプ大統領が発した鉄鋼・アルミニウムに対する輸入制限措置が日本も制裁対象とされていることについては、「明らかに不自然であり、日米関係を考える上で深刻に受け止めるべき」と主張。安倍総理とトランプ大統領の信頼関係に疑問を呈し、「大統領に総理自ら、面と向かってきちんと抗議すべきだ」と訴えた。河野外務大臣や世耕経済産業大臣が米国に対して日本を輸入制限措置の除外対象にするよう働きかけを続けてきたがこうした結果になっていることについて、「ひたすら例外扱いを求めるのではなく、EUのように、保護主義は認められないと毅然とした態度をとった方が良かったのではないか」と政府のとってきた対応に疑問を投げかけた。他にも、パリ協定や拉致問題、北方領土問題や北朝鮮問題などで日本の外交が後手に回っていることに触れ、「ことごとく読みが甘く、日本政府の外交力が落ちてきているのではと危機感を感じざるを得ない」と厳しく河野外務大臣に質した。
公文書の改ざんや隠ぺいなど安倍政権がスキャンダル続きであることについては、「安倍独裁政権の腐敗極まれり」と述べ、「米国やロシアとの首脳会談を花道に総辞職する事が、(総理)本人のためでもあり、国民と日本のためだ」と内閣総辞職を促した。