参院法務委員会で30日、共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)に関する質疑が始まり、民進党2番手として質問に立った有田芳生議員は、安倍総理ら関係閣僚を厳しく問いただした。
有田議員は、安倍総理が共謀罪について、オウム真理教による事件を例示して答弁したことを取り上げ、「1995年に地下鉄サリン事件が起きた段階では共謀罪はないが、もし共謀罪が当時あれば、オウム真理教はいつ犯罪集団に一変したと判断するのか」と質問。安倍総理は、「国民に分かりやすく説明するために、誰もが知っている事例を挙げた」と述べた上で、「個別具体的な団体が組織的犯罪集団に当たるかどうかは、捜査機関が収集した証拠に基づいて判断すべき問題。当時はそういう法律はないので、その観点からは捜査をしていない。にわかには言えない」として、答弁を避けた。有田議員は、「一変などしていない。最初からずっと同じ宗教団体として続いてきて、教義の教えに基づいて彼らは坂本弁護士一家事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件を起こした。それが歴史的事実だ」と述べ、共謀罪法案ではテロは防止できないとの考えを示した。
有田議員はまた、「普通の団体が組織的犯罪集団に一変する時に、その一変する流れを誰が監視して判断するのか」と質問。林刑事局長は、「リアルタイムで捜査・監視はしない」と答弁したが、有田議員は、「地下鉄サリン事件、松本サリン事件よりも前に神奈川県警はオウム真理教を徹底捜査し、一般信者8405人のデータをデータベース化した。それが事実だ。いったん捜査当局があやしいと思ったら一般人も調べている」と述べ、一般人が捜査対象にならないとは言い切れないと指摘した。