衆院予算委員会で28日、2日目の基本的質疑が行われ、民進党会派の無所属の会を代表して原口一博議員が質問に立ち、(1)難病対策(2)金融政策と財政政策(3)安全保障(4)加計問題――等について安倍総理らの見解をただした。
難病を公表している原口議員は、自らの国会での仕事ぶりを通して「多くの難病に苦しむ人たちの勇気になりたい」と表明。そのうえで「難病の数は多いが、指定されている難病の数は限られている。その研究費もまだまだ少ないがために難病認定が困難な状況にある」と問題点を指摘。昨年病床に就いていた原口議員にお見舞いのメッセージを送った安倍総理に対して難病政策にかける思いを確認した。
安倍総理は、「難病に対する理解を深めつつ、難病患者の方々が長期にわたり療養生活を送りながら尊厳をもって安心して暮らせるよう総合的な対策を進めることが重要だ」との考えを示した。政府が進めている難病対策については、医療費の助成対象疾病を56から330に拡大したり、難病治療方法の開発に役立てるために診断書内容を集積したデータベースを構築したりしていると説明した。
金融政策に関連して日本銀行が大量の国債を保有している問題について、3カ月物米国債の金利が3年前の0.1%から1.2%まで12倍も上昇した事例を引き合いに出し、「諸外国の中央銀行が利上げを進める中で、日本でもいずれ超低金利政策を終焉し、金利が上昇していく局面がないとも限らない。超低金利を前提に経営している人たちにとって、0.1%が0.2%になるだけでも返済が2倍になり、これは塗炭な苦しみだ」と述べ、日銀が大量に国債を保有する問題に警鐘を鳴らした。
安倍総理は「日銀には、デフレ脱却に向けて2%の物価安定目標を実現するための政策を遂行してもらっている。その中で金融緩和政策をとっている。国債の買い入れ等については、日銀が手段として選択するわけだから、これは日銀にお任せしている」と答弁するにとどまった。これに対して原口議員は「ETF(指数連動型上場投資信託)等の買い入れを通じて日銀が多くの企業の最大の株主になっている。このような状況は、市場をゆがめてしまう」とその危険性を指摘した。
また、原口議員は、安全保障に関連して国や国民を脅かす脅威が伝統的な陸・海・空・宇宙からサイバー攻撃に変わってきているにもかかわらず、それへの備えが不十分であると指摘。「防衛の中心を変えるべきではないか。サイバーの危機に対してしっかりと予算を付けて国民を守るべきではないか」と総理の見解をただした。
これに対して総理は「陸・海・空・宇宙と並ぶ第5の領域とも呼ばれているサイバー空間において国家の機密情報の窃取(せっしゅ)、基幹的な社会インフラの破壊、軍事システムの妨害等を意図したサイバー攻撃によるリスクが深刻化しつつある」と述べ、サイバー攻撃対策の重要性を認めた。現段階での政府の取り組みについて「国全体としてサイバー防衛対応能力を強化するため、関係機関の連携強化を図っている」等と説明した。