民進党は4日に開催した第54回常任幹事会で、「党の戦略・組織・運営に関する改革本部中間報告」(たたき台)について、今後の党内議論に付すことを了承。その後、成案取りまとめに向けた議論を重ねている。中間報告(たたき台)内容とともに、取りまとめに当たった同改革本部検討会の中川正春座長に話を聞いた。
冒頭に「私達自らの抜本的かつ発展的な改革を実現する」とあり、改革の基本的な方向について「党は生まれ変わらなければならない」とあるように、民進党はこのままの姿ではなく、変革をして新たな形で挑戦する姿を見せていかなければいけません。それが大塚耕平代表の思いです。これを具体的に打ち出していくために、さらに議論を重ねていって2月の党大会で国民に訴えていきます。
改革に至る過程ではあらゆる選択肢を柔軟に示さなければなりません。選択肢のベースになるのは地方組織であり、地方組織を生かした改革こそが基本ですから、たたき台では「地方組織を存続、発展させることで足場を固める」と明記しています。
その先にあるのは、統一自治体議員選挙で第1会派に持っていくことであり、参院選を経た衆参ねじれであり、衆院選での政権交代です。それらの目標達成のため、野党勢力、支持団体との協力・連携態勢を作り、勝てる候補者を擁立して当選させていくことを目指します。
分かれてしまった民進、立憲、希望を含め、野党連携を模索していくなかで、さまざまな選択肢を視野に入れて新しい局面を生み出していく。具体的に言えば選挙区での候補者調整を行っていくような流れを作ること。これは大きな勢いにつながります。地方、中央ともに他党とさまざまなチャネルで話し合い、それぞれの地域にあったチームを作ってほしいとたたき台では問題提起しています。議論して民進党案を他党に選択肢として投げかけられればいいと思います。統一自治体選、参院選、衆院選にどう勝利するかが大事。そのあとに続く政権運営も意識しながら選挙に勝つために何をするかという視点で改革の議論を一段と深めます。
■党の戦略・組織・運営に関する改革本部 ―― 新たな挑戦への指針 ――
中間報告(たたき台)■
真の民主主義を確立するために、新たな政策目標を掲げ、国民の再結集を図る。
来年2月には党大会を開き、党としての新たな姿とその道のりを明確にする。
1.私達自らの抜本的かつ発展的な改革を実現する。
[改革の基本的な方向]
①政権交代を目指す野党の中心として貢献するために、解党的出直しをし、党は生まれ変わらなければならない。
②形式的な生まれ変わりではなく、党のガバナンス、カルチャーを含め、実質的に生まれ変わらなければならない。
③ 政策的な方向性は、旧民主党、現民進党の蓄積を継承しつつ、時代や社会の環境変化に合わせ、不断の見直しを行わなくてはならない。
④どのように生まれ変わるかについては、前例や固定観念に囚われず、あらゆる可能性を模索すべきである。
⑤これまでの党運営に関する経験、経緯、反省等を踏まえ、地方組織や支援団体の意見を十分に聞いたうえで進めることが必要である。
以上の改革の基本的な方向に基づき、引き続き具体的な検討を行う。
2.将来のあらゆる改革の選択肢に対応することが可能となるように、
まず民進党の地方組織を存続、発展させることで足元を固める。
県連、総支部の運営の在り方
◎政権交代をめざす政党として地方組織を維持し、必要な改革を行う
*地方自治体選挙、参議院選挙、総選挙を戦う政党として再出発する。
○まずは民進党としての地域基盤再整備へ
*総選挙対応に端を発した民進党組織、議員、党員・サポーター、支持者の困惑と混乱を収束させ、新たな歩みを始めるために、まず足元を固めなおす。
*その際に、党を取り巻く厳しい現状を踏まえ、新しい道を切り拓く決意を持って必要な改革を断行する。
*同時に、各党の地域組織の構造・地方議員の意識は、党幹部・党本部レベルの政党間関係に強く影響することから、地域基盤の再整備に当たっては3党連携の糸口をつくることにも留意する。
[ 都道府県連 ]
*引続き、民進党の都道府県拠点として議員、党員、サポーター活動を支えるとともに、総支部活動の総合調整機能を担う。
*加えて、友党の輪を創り、発展させる地域センター任務を担う。
都道府県連それぞれの地域事情に応じた友党による連携モデル例を提示する
□ 地域政党(ローカルパーティー) □ 統一会派(共同会派) □ 連絡協議会(連携協議会)□ 懇談会(情報交換会)
国会議員不在県連は、参議院比例議員やブロック内国会議員による、国政との連携などの協力体制をつくる。
[ 総支部 ]
*引続き、民進党国会議員、内定国政候補者の支援を行うとともに、地域の地方自治体議員活動のプラットホームとなる。
*加えて、友党の輪の連携活動の最前線を担う。
《総支部長選任原則》
■民進党国会議員がいる場合は総支部長とする。 ■国政候補者が内定した場合は総支部長とする。
■上記不在の場合は、都道府県連と党本部の協議に基づき、当該地域の地方自治体議員等から総支部長を選任することができることとする。
あるいは、都道府県連の役員による暫定総支部長を選任することができる。その際に、県内に国会議員がいる場合はその中から、
不在の場合は参議院比例議員やブロック内の国会議員による、チューター制度などの協力体制をつくる。
《総支部長代行の選任》
■党籍を有する、あるいは党籍を復した惜敗者で、再挑戦の意思が有り、都道府県連及び党本部が認める場合は、正式な公認内定手続きの前に
「総支部長代行」に選任する。但し、「総支部長代行」は、別に公認内定者が決定した場合はその任が解かれるものとする。
[ 統一自治体選挙対応(案) ]
*地方自治体議員選挙において、
■ 公認候補の擁立を進める ■ 会派入りを前提に無所属・各党推薦スタイルの立候補を認める
■ 地域政党名、あるいは統一会派名による立候補を可とする ■ 相互推薦を進める(※公認料、推薦料の在り方は別途検討)
○地方組織への財政支援
*都道府県連
※財政支援額は全体の財政状況の中で代表・幹事長が判断する。
◎実際の査定は個々の都道府県連事情に応じてきめ細かく対応。
*総支部
①民進党国会議員が総支部長 ②民進党国政内定候補者が総支部長 ③左記以外を基準に支援額を定める。
※財政支援額は全体の財政状況の中で代表・幹事長が判断する。
3.統一地方自治体選挙、参議院選挙、衆議院総選挙に、
野党勢力並びに支持団体との間で協力、連携を構築し、候補者の擁立を図る。
地方、中央ともに様々なチャネルで話し合いの糸口を模索し、具体的な協力連携の道筋を立てる。また、それぞれの動きを包括的に把握し、有効な活動に結びつけるために、幹事長のもとに戦略チームをつくる。
4.その他の課題
■地方重視の観点から党の意思決定プロセスの見直しをする。
■新たな制度を前提に党員・サポーターの見直しをする。
■目標管理、プロジェクト志向の党活動を可能にすべく、党本部と事務局の在り方について検討する。
5.以上の考え方に基づいて改革を果断に進めるとともに、統一地方自治体選挙、参議院選挙、衆議院総選挙において、友党と協力連携し合える関係構築に向けて、本部・地方組織、議員一丸となって努力しなければならない。
以上
改革本部役員構成
□ 本部長 大塚耕平代表
□ 本部長代行 増子輝彦幹事長
□ 座長 中川正春衆院議員
□ 副座長 桜井充参院議員、榛葉賀津也参院議員、篠原孝衆院議員
□ 委員
吉川沙織参院議員、難波奨二参院議員、浜野喜史参院議員、古賀之士参院議員、伊藤孝恵参院議員
(民進プレス改題32号 2017年12月15日号7面より)