参議院予算委員会で5日、働き方改革・内外の諸情勢に関する集中審議が行われ、民進党・新緑風会の2番手として質問に立った石橋通宏議員は、(1)働く者の雇用の安定と暮らしの安心についての課題認識(2)裁量労働制に関わる諸問題――などについて、関係閣僚に質問した。

 有効求人倍率と雇用の安定を取り上げ、「安倍総理は都合のいい数字を掲げて自慢をしている。私はその(有効求人倍率が高いという)数字自体を否定している訳ではない。しかし(うわべの数字だけではなく)中身を見ないとダメだと言っている」と述べた上で、自動車運転手の労働実態について、「この10年間で求人倍率はかなり高くなっている。それは過去の行き過ぎた規制緩和、それによる過当競争で料金競争が起き、労働条件が悪化し長時間労働がまん延し、若者がこの自動車運転手、運輸業界に入ってくれないから。今回自動車運転手は一般則(時間外労働の上限規制720時間以内)適用を5年間猶予された。ちゃんと一般則を適用して魅力ある産業とすることが本当の働き方改革だ」と訴えた。

 裁量労働制に関わる諸問題で、「法律案要綱にある企画業務型裁量労働制に関する部分を全部削除するということだが、第2~6項の規制強化策にあたる部分までなぜ削除するのか」とただした。加藤厚労大臣は、「もう一度実態を把握してその上で対応していく。政府・与党の議論の中では裁量労働制に関しては全面的に削除する方向で議論させていただいている」と答えるにとどまった。

 石橋議員は、「現行のさまざまな問題に対応するために必要な改革が含まれている。それを削除してしまう。今まさに裁量労働制で過労死が発生している。これを置き去りにするのか。それが働き方改革か。ぜひもう一度検討してほしい。総理がこの部分は喫緊の課題に対して必要だと決断すれば残せるはずだ」と、働く者のために規制強化策を盛り込むことを強く求めた。

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