民進党をはじめ野党6党は13日、「財務省『森友文書』改ざん問題 野党合同ヒアリング」を国会内で開催。決裁文書に14件の書き換えがあったことを財務省が前日12日に認め、書き換えの経緯等は人事当局の調査結果を見る必要があるとしたうえで、書き換えが昨年2月の下旬から4月に本省理財局で行われたと報告したことを受け、財務省、法務省、国土交通省、警察庁、最高裁判所の担当者への確認作業を行った。財務省の矢野官房長、同理財局の中村稔総務課長、人事調査の担当者は出席要請に応じなかった。
自殺した近畿財務局の職員が「文書を書き換えさせられた」旨のメモを残したとの報道が出ていることについて事実関係を尋ねたが、財務省の担当者は「職員本人のことなのでコメントは差し控える」と回答。誰の指示で書き換えが行われたかに関連する重要な問いだと重ねてただしたが、「調査中を理由に答えは差し控える」旨の大臣官房からの回答を読み上げるにとどまった。また、自殺した職員の遺族から「職員の妻の行方が遺書の所在とともに分からなくなっている」旨の発言がされていることを懸念する声も出席議員から出された。
小西洋之議員が物理的に書き換えをしたのは本省職員かを確認。これに対して財務省の担当者は「本省理財局が中心になって必要に応じて近畿財務局に指示をして対応している」「近畿財務局の職員に指示をして書き換えをしている事例がある」などと回答。小西議員は人事当局の調査より国政調査権が優先するとして、物理的な改ざんを行った人物の所属と名前の開示を求めたが、捜査対象者数も人事当局の調査態勢も含めて明確な説明はなく、調査結果発表もスケジュールのめどは立っていないとの回答だった。
財務省が大阪地検に提出した決裁文書が書き換え後のものであったため、地検の指摘を受けて書き換え前のものに差し替えたとの報道が事実かと出席議員が確認を求めたのに対し、財務省の担当者はかみ合わない答えを繰り返したうえ、大阪地検への文書の提出は1度かとの問いに「回数は言えない」と回答。これを受けて杉尾秀哉参院議員が「改ざん後の文書を提出したら地検から『それは違う』と言われ、改ざん前の文書を提出したとの報道がある」と指摘したところ、記事も含めて認識していないとの回答だったうえ、「改ざん後の文書を大阪地検に提出したのは事実か」の問いにも財務省の担当者は明言を避けた。これを受けて、任意提出である以上、目録があり、提出時期も内容も明記されているはずであることから、14日のヒアリングまでに詳細を提出するよう財務省に要請した。
参院の求めに応じて実施された会計検査院の検査の際に、財務省は書き換え後の文書を提出する一方、国土交通省は書き換え前の資料を提出したため、会計検査院がそれらの食い違いを認識していたことが12日のヒアリングで明らかになったことに関して、神本美恵子参院議員が事実関係の確認を求めた。会計検査院の担当者は12日のヒアリングで、「財務省に確認したところ、財務省から提出されたものが最終版であるという説明を検査の過程で受けた」旨を説明していた。13日のヒアリングでは、この点について国交省に確認していなかったことを明らかにした。
財務省から契約直後に決裁文書を渡されていた国土交通省が、5日の時点で財務省に「自分たちは違う文書を持っている」と書き換え前の文書のコピーを渡したとの報道に関して、事実関係の確認を求める声があった。これが事実であれば、財務省は書き換え前の別文書の存在をすでに5日時点で把握しながら、8日の時点で「文書はこれしかない」と国会に書き換え後の文書を提出したことになり、出席議員からは財務省の対応を問題視する声が相次いだ。
福田昭夫衆院議員は、書き換えがあったと財務省が認めた14件の決裁文書について、起案日、決済日、最終決裁権者、いつ発見されたか、調査の手法と規模の一覧――の提示を求めた。