安全保障、内外の諸情勢をテーマに安倍総理出席のもとで集中審議が行われた参院予算委員会で26日、民進党会派の2番手として白眞勲議員が質疑に立ち、(1)米朝首脳会談(2)日米首脳会談(3)前川前事務次官の公立中学校での授業の情報提供を求めた文部科学省による教育現場不当介入問題(4)財務省「森友文書」改ざん問題――等について安倍総理らに質問した。
白議員は米朝首脳会談に関連して、「トランプ大統領による政府長官の更迭が止まらない」として、外交・安全保障の司令塔のマクマスター大統領補佐官が解任され後任に保守・強硬派のボルトン元国連大使を起用したことは今後の米国の対北朝鮮政策に影響を与えそうだとの見方を示した。また、訪米した河野外務大臣がティラーソン国務大臣解任の影響で国務副長官と面談せざるを得なくなったこと、米国国務省では次官級ポスト10のうち8ポストが空席で、国務省全体でも91が空席となる同国史上前例のない事態を問題視。「もっと心配なのは朝鮮半島問題だ」として、東アジア太平洋担当次官補が昨年12月に指名されたものの就任に必要な聴聞会は1度も開かれておらず、ジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表の辞任、1年2カ月空席状態の駐韓米国大使の現状等、同盟国としての懸念される状況を列挙した。
そのうえで4月に訪米を予定している安倍総理に対し、トランプ大統領が北朝鮮との交渉の経験があまりないうえ、国務省が上記のような状況のなかで、交渉が大丈夫かという懸念があるとの見方を白議員は示した。「日本の拉致問題にまで話が及ぶかというと、いささか疑問。そういう意味で安倍総理は訪米した際、北朝鮮に対して(の対応について)しっかりとトランプ大統領とすり合わせをすることは意味がある」と指摘し、日米首脳会談で拉致問題について話し合う予定かを確認したのに対し、安倍総理は「明確に確認する」と応じた。一方、日本も対象として米国が鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課すとしている問題も取り上げるか確認を求めたのに対しては、「真剣に受け止めている。WTOのルールに基づいて貿易交渉すべきというのが日本の基本的立場」などと語ったが、日米首脳会談で取り上げるかについては「今担当大臣間で話はしている。その進展を見ながら判断していきたい」と述べるにとどまった。白議員は安倍総理に「こういったときこそ首脳会談が重要」だと指摘した。
財務省の森友文書改ざん問題に関しては、27日に佐川前国税庁長官の証人喚問が行われることに言及し、「私の今の思いは、改ざんが明らかになって以来この1年が何だったのかという思いだ。国民や与野党議員の多くが同様の思いだろう」と述べるとともに、証人喚問では佐川前国税庁長官にありのままに話し、真相究明に取り組んでほしいという気持ちを表明した。
そのうえで財務省から示された書き換え前と書き換え後の決済文書の一例を提示し、「どう見ても書き換えではない。書き換えというのは元の文書を一部変えることと認識するが、ところがこれは書き換え後は真っ白。改ざんではなく隠ぺい」と述べ、日本の戦時中「撤退」を「転進」と言ったり、最近オスプレイの「墜落」を「不時着」というのに共通するごまかしだと政府の対応を批判した。太田理財局長は「書き換えという言葉は改ざんという言葉に比べると中立的な印象を与える言葉だということはよくよく承知している。ただ、この書き換えという言葉を使うことによって、深くおわびしなければいけないということを紛らわせようとしているつもりはない。こういう言葉を使ってはいるが、一方で国会の審議に対して混乱を招き、国会の冒とくという批判を免れないと思っている」と謝罪の言葉を語った。安倍総理は「太田局長が答弁した通り、その観点から政府の答弁は書き換えということにしているが、改ざんでないのかと言われれば当然改ざんという指摘を受けてもやむを得ないと思っている」などと語った。