財務省が学校法人「森友学園」へ国有地を売り払う際の決裁文書を改ざんしていた件で、参院予算委員会では27日午前、昨年理財局長として国会答弁していた佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問が行われた。民進党・新緑風会からは小川敏夫参院会長が尋問を行なった。

 証人喚問は、憲法62条により国会の各議院に与えられた権限で、証人は虚偽の証言をした場合、議院証言法に基づき3カ月以上10年以下の懲役が科される。

 小川会長は主に、(1)政府答弁を作成する際の官邸との打ち合わせ(2)安倍昭恵総理夫人付谷査恵子氏と田村嘉啓国有財産審理室長(当時)のやり取り(3)会計検査院の指摘に対する認識(4)改ざんに対する責任――について尋問を行った。

 小川会長は、「今回の改ざんは、証人の答弁に基づいてそれに合わせるように書き換えが行われたという経過でいいのか」と質問。佐川氏は、「書き換えられた決裁文書に関わる話であると私自身がそこにどう関与したか、いつ決裁文書を認識したかとかそういうことにかかってくるので、今私は捜査を受ける身なので刑事訴追の恐れがあるということでそこの経緯については答弁を差し控える」と証言を拒否した。

 総理大臣も答弁するため、事前に官邸の答弁担当者と打ち合わせをしていたのではないかと質問をすると佐川氏は、「答弁作業はそういう官邸の秘書官とか大臣秘書官との打ち合わせを局長はやらないので、たぶん実務的に課長とかそういう人たちがやっていたと思う」と官邸とのやり取りは佐川氏以外が関わっていたことを証言した。

佐川宣寿氏

         佐川宣寿氏

 谷氏が田村室長へ森友学園の籠池理事長(当時)からの要望を相談して籠池理事長に対して詳細な回答を行った件について小川会長は、「田村室長は、谷さんからの要望を電話で聞いただけだと明言したのか」と投げかけた。佐川氏は、「そこまで確認していないが、私が室長から聞いたのは電話で受けて電話で答えたというのを聞いた」と答え、小川会長は、「そこまであなたが承知していないなら本人に聞くしかない」と佐川氏以外の国会招致の必要性に触れた。

 小川会長は最後に「冒頭、委員長の質問に対して、『全て私の責任だ』という趣旨の発言があった。これはいわゆる事実として、あなたが責任をもって行ったことということなのか。あなたが理財局長という職責にあったので、その当時の不祥事は全部局長の自分にあるという趣旨か」と質問。佐川氏は、「私が担当局長であったということで、ひとえに責任は私にあるということ」と述べ、直接文書の改ざんに関わったことは明言しなかった。

追及する小川会長