山尾志桜里政務調査会長記者会見

2016年4月20日(水)16時31分~17時04分
編集・発行/民主党政策調査会(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=9vpQZppS6VM


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○「熊本地震災害に関する緊急申し入れ」について

【政調会長】
 まずは熊本地震についてです。報道によると、今現在48人の方の死亡が確認されて、1100人以上が負傷され、今も約9万5000人またはそれ以上の方が避難されているようです。犠牲者の方々には謹んで哀悼の意を表するととともに、自衛隊・消防・警察の皆さんには引き続き被災者の捜索・救助等に全力を尽くしていただきたいと思います。
 また、避難生活が長期化していく中で健康被害が広がって、新たに震災関連死による犠牲者が出ているという報道もございます。医療・救援態勢の強化が緊急の課題になっております。災害対応には与党も野党もありませんので、私どもも本日午後に政府に申し入れに行ってまいりました。しっかりとこれから先も全力を挙げてくださいということをお伝え申し上げてまいりました。
 被災地では、支援物資が避難所や被災者に届き切っていないということが伝わっております。県庁のロビーや市役所や体育館に物資が届いてはいるものの、市町村の職員さんご自身が被災されていたり、避難所での皆さんの安否確認などに忙殺されていて、なかなかニーズ把握にまで手が回っていないこともあると聞いております。政府の現地対策本部の機能や人員を強化して、大規模災害対応のノウハウを持つ内閣府や各省庁の担当者を現地の市町村に早急に派遣するなど早急な対応が望まれておりますし、この点も申し入れをさせていただきました。
 また、避難生活の長期化をにらんでアパートや旅館、ホテルの空き室などの借り上げによる、プライバシーが確保される収容施設の確保、さらには仮設住宅の建設準備なども始めなければならないのではないかと思っております。

○「待機児童解消に向けた緊急提言」について

【政調会長】
 2点目ですが、子どもの貧困、この指標で日本は先進国41ヵ国中34位、下から8番目、こういう報告書がユニセフから14日に報告されました。やはり私どもが考える、日本では格差の拡大が進んでいるという指摘が、外部からの報告でも裏づけられた形ではないかと思います。
 私自身の思いとしては、国としての「希望出生率1.8」という目標を立てることもよいかもしれませんが、やはり今、貧困に苦しんでいる子どもたちや、今、保育所に入れなくて大変な思いをしているご家庭をどのように救うのかということに、もう少し政権与党は注力をしていただきたいと思っています。子どもの貧困に関しても、その貧困率の目標期限や数値を定めるべきだと私はずっと指摘をしてまいりました。
 また政府の(保育の)質を落として量を拡大するという(待機児童問題の)緊急対策に対しては、昨日、NC(次の内閣)で確認していただきましたが、やはり一人ひとりの子どもの安全を考えれば質の確保と量の拡大の両立を追求しなければならないという、私たち民進党の考え方を発表させていただきました。

○「報道の自由度ランキング」日本はさらに後退

【政調会長】
 もう1点。「国境なき記者団」の20日の発表によりますと、2016年の「報道の自由度ランキング」、日本は前年よりもさらに順位を下げまして、61位から72位になったと伝えられております。「多くのメディアが自主規制をし、独立性を欠いている」との指摘があったとも伝えられております。
 私達は「自由」「共生」「未来への責任」を掲げる政党であります。そして国家から国民の自由を守るという「自由」に対する、今の安倍政権の根本的な姿勢に対して危惧感を、私も質問を通じて伝えてまいりました。やはりこの危惧が国際的な外部の目からも裏づけられたことではないかと思いますし、もう少し言えば、やはり質問で、精神的自由の経済的自由に対する優位性を説明できなかった総理をリーダーにしている我が国の評価というものが端的に表れているのかなと、個人的には受け止めております。


■質疑

○川内原発について(1)

【朝日新聞・藤原記者】
 先ほど山尾政調会長も官邸に申し入れに行かれたと思うが、その際のぶら下がりでも出たが、川内原発の一時停止に関して、「一時停止を求める」という文言が直接的には入らなかったことについて、政調会長としてのお考えを伺いたい。

【政調会長】
 この原発の問題は大変重大なことであります。重大なことであるからこそ、やはりしっかり民進党として党内的な議論を踏まえて、一致した党の意見としてこのことは議論を進めていかなければいけないと思っています。
 そして今、党内の一致した見解というのは、政府に申し入れたとおりでありますが、「稼働中の川内原発について、更なる地震が発生した場合の安全性を不安視し、一時停止を求める声もある。こうした不安に応え、川内原発に影響を及ぼす地震が発生した場合に備え、従来の地震等に関する想定が正しいのか否か、本当に想定通りの避難が出来るのか、避難先の受け入れ態勢は十分なのか等を再検証すること。また、それらの情報提供を十分にはかること」。これが今の政府に求めるべきことだというのが我が党の見解であります。

【フリーランス・安積記者】
 ということは、党内においては川内原発の一時停止についての統一的見解はないということか。

【政調会長】
 今申し上げたことが現時点での統一見解です。

【フジテレビ・陶山記者】
 川内原発の一時停止に関して、今後また議論が進むことによって、例えば一時停止を改めて求めるという選択肢はまだあるということか。

【政調会長】
 私どもが求めているとおりの、今申し上げたような内容の情報提供がまず十分になされることが第一だと思います。もちろん、その提供された情報等々をしっかりと検証することも私どもの役割ではないかと思っています。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 聞きにくいことを伺うが、先般の江田憲司代表代行の会見の時の歯切れよさと、この2日ぐらいで何があったのか。結局、労働組合というか、特定の利害関係団体の意向、実際にその親団体が支援を格下げにするようなことをしている、そういう背景でこうなったのかなと。これは私は報道すべき本質だと思うが。間違っているのかもしれないが、そういう特定の労働組合の意向で、この2、3日で、江田さんの会見から随分後退したと。それはそれで事実ならばいいのだが、そこを伺いたい。

【政調会長】
 事実として申し上げることができるのは、私自身はこの件について特定の労働組合から何か特定の働きかけを受けたということは一切ありません。
 そしてまた私が思うのは、やはり私たちは政権をもう一度担おうとしている政党ですので、やはり歯切れのいい発信をすることは大切だと思いますし、私も心がけたいと思っておりますが、やはりそれと同等、またそれ以上に、組織としてしっかりと党内の一致した意見を発信していくことは非常に大事なのではないかと。特に私は政調会長ですので、そういうふうに思っています。

○次期マニフェストについて

【NHK・岡崎記者】
 原発の問題もそうだが、今、党としてマニフェストの策定作業を進めていると思うが、まず1点目は、どういうスケジュール感で今やっていらっしゃるのか、いつまでにどういうことをやりたいのかということが1点。今、意見が割れていると言われている、こういう原発の問題であるとか、消費税とか、あるいはTPP、これはどの程度明確に書き込むか、現状で検討されているのか伺いたい。

【政調会長】
 マニフェストですが、代表の「正直で、エッジのきいたマニフェスト」という、とても代表らしい、非常に難しいけれどもやりがいのあるゴールに向かって、今、鋭意作業を企画委員会を中心に進めております。
 そして、少なくとも参議院選挙の日程は見えているわけですので、そしてまたそれに間に合う発表の期日を想定した時に、当然その中には地方の声をしっかりと取り入れていかなければならないという作業もありますし、もちろん党内の平場の議論もしていかなければなりません。そういうことを前倒しで考えていくと、与えられた時間はそれほど長くない中で、かなり詰めた作業を行っています。
 そしてTPPや、原発等々、エネルギーの政策についても、私ども今の時点できちっと党内で一致したラインがありますので、そこを一つのベースに、マニフェストの中には何をどの程度のボリューム感で書き込んでいくかというのは、これからの議論ではないかと思っています。

○次期衆議院選挙について(1)

【共同通信・光山記者】
 地震の話と選挙の話の両方絡むが、今、政権内で熊本と大分の地震について、復旧・復興支援を優先すべきだとして、これまで言われていた同日選を先送りするべきだという話もあるが、政調会長としてこの動きについてどう思われるか伺いたい。

【政調会長】
 もちろん(解散権は)総理の専権事項なので、特に衆議院は常在戦場ですから、しっかり準備を進めてくというのが公式の見解だと思います。
 ただ、私が思いますのは、前回の解散・総選挙も、私はその選挙でこの国会に戻ることができたわけですが、やはりあまりにもその解散権の行使の仕方が、国民の皆さんにちゃんとした争点を提示して「なるほど、そういう理由であれば、これは解散をして我々の意見を聞くべきだな」というふうに思っていただけているのかなということを考えると、私はそこには非常に疑問を持っています。

○次期マニフェストについて

【読売新聞・上村記者】
 マニフェストに関しては、データをあまり書き込み過ぎないほうがいいとか、実現スケジュールを書き込み過ぎないほうがいいという議論が常につきまとうわけだが、政調会長自身はその辺のデータや実現のスケジュールをどこまで表現するか、どのような考えをお持ちか。

【政調会長】
 やはり代表の「エッジのきいた、正直なマニフェスト」というところの「正直な」ということをしっかりと受け止めて、やはりきちっとした財源の裏づけをみんながちゃんと説明できる形のマニフェストを、私は目指したいと思っています。

○川内原発について(2)

【東京新聞・宮尾記者】
 2011年5月6日に当時の民主党政権は浜岡原発を止めるという政治的な判断をした。あの時、浜岡原発は何か法令上の問題があったわけではなくて、当時の原子力規制に関する法令・基準に従って動いていたものを政治の判断で止めた。民主党を概ね引き継いでいる今の民進党に、そういうことを発信することを期待する声があると思うが、今回の提言でそこまで踏み込めなかったのはなぜなのか伺いたい。

【政調会長】
 私は当時の民主党政権の浜岡原発に関する判断は大変正しい政治的判断だったと、当時の一議員として思っています。
 そして今、この問題について、何らかの野党第一党としての判断をするならば、これは誰かが発信するということではなくて、やはり党としてしっかりと手続を踏んで、最終的な一致団結した考えとして発信すべきだと思います。今、少なくともそういう段階ではないと思います。

【東京新聞・宮尾記者】
 そうすると当時の浜岡原発が置かれていた状況と、今回川内原発が置かれていた状況には違いがあるということか。

【政調会長】
 当然、違いはおのおのあると思いますが、やはりその違いも含めた私たちの党なりの責任ある判断をするには、先ほど申し上げたような川内原発のそもそもの想定であるとか、本当に想定どおりの避難ができるのかということ、あるいは避難先の受け入れ態勢が十分なのか、やはりこういったことがしっかりと検証されて情報提供されることがまた大事なのではないかと思っています。繰り返し申し上げますが、やはり野党第一党として責任ある党としての判断をしたいという思いです。

【朝日新聞・藤原記者】
 先ほど岡田代表にも伺ったが、震源域がだんだん南のほうにも広がってきているということもあり、そういう中でやはり原発を停止してほしいという住民の声は確かにあって、今回、党として責任ある申し入れということではあるが、住民の声に応え切れていない部分が出てきてしまっているのではないかという懸念もあるかと思う。今回の申し入れで、原発を一時的に止めてほしいという住民の声をしっかりと受け止め切れたものになっているのかどうか、どのようにお考えか。

【政調会長】
 やはり国民の声とともに進む民進党なんだという思いが私の中には強くありますし、そういった懸念・不安の声をしっかりと受け止められる政党でありたいと思います。そしてまた、その震源地の移動によって、場合によっては今後さらにそういった声が強くなることもあるでしょう。そういう声にしっかりと寄り添いながら、一方で、やはり今申し上げたような政府にしかなかなか把握できない情報の提供も含めて、あわせ考えて党として責任のある判断をしていくべきだということだと思います。

○次期衆議院選挙について(2)

【共同通信・光山記者】
 解散権の行使は(総理の)専権事項ではあるが、現状で復興という意味ではかなり時間がかかると思う。仮に同日選とすると、もう3ヵ月を切っているような状態だと思うが、例えばこの状態で衆議院選を打つということについて、改めて伺いたい。

【政調会長】
 当然、今まだまだ被害が広がり続けている中で衆議院選挙というのは、国民の感覚からすると随分違和感が出てくるのではないかなと今率直に思います。それとあわせて、そもそも同日選ということが永田町の空気の中でかなり濃厚に出てきていた気配があるわけですが、震災がなかったとしても、じゃあその時の大義というのはそもそも何なんだろうということを考えると、いずれにしても大義のある解散にはならないのではないかなと。ましてや今熊本・大分の被害が広がっている中で、この大義ある解散ということにはなかなかなりにくい状況ではないかなと。何よりもまずこの大きな災害にしっかりと対応することが、今一番、政治がやるべきことではないかなと思います。

○川内原発について(3)

【西日本新聞・入江記者】
 先ほど党として責任ある判断をするべきだという話だが、おそらく地元で不安に思っていらっしゃる方は、今、余震が続いている状況の中で、なんで原発が動いているんだというのが一番不安に思っていると思うが、そういったことを考えると、その判断というのは今まさにこのタイミングで早くしないと、結局判断を先送りしたまま、何もしないまま終わってしまう可能性があるのではないかと思うが、その点、この判断のタイミングなどはどう考えていらっしゃるか。

【政調会長】
 繰り返しになってしまいますが、やはり党として責任のある判断をするためにも、私達が今日提言したような情報提供を、しっかりと政権の側にしていただきたいということがまず第一だと思います。

【フリーランス・安積記者】
 党としては代表以下「政権を狙う」ということをずっとおっしゃっている。また先ほど政調会長は「党として責任ある判断」とおっしゃったが、この「責任」の相手というのはどこなのか。国民なのか、川内原発を憂慮している有権者・地元の人達なのか。そのあたりをはっきりしていただきたいと思う。その上で、例えば政府の情報を待っているというよりも、政権を狙う政党としての何かしらのアピールをここでやるべきではないかと一般的に思う。そういう後手後手の態度で、はたして政権を狙う意思があるのかというところで極めて疑問に思うが、そのあたりはいかがか。

【政調会長】
 この震災と、そしてこの震災をきっかけとした原発への不安というものは、大変申しわけないですが、政党のアピールに使うような事柄ではないと私は正直に思っています。

○米軍機・オスプレイによる物資輸送について

【朝日新聞・藤原記者】
 オスプレイの物資輸送について、安全性について地元の方から不安視する声もあり、また米軍の支援との関係で、これは政治利用ではないかという声も出ているが、この辺について民進党の見解を伺いたい。

【政調会長】
 今、被害が広がっている中で、さまざまな救援が必要とされている現在進行形の状態ですので、そのこと自体の受け止めや評価について、党として何か判断してコメントする段ではないのだと思います。

○原子力規制委員会について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 川内についてどうするかという判断といっても、専門的な知識も技術的な知見もないわけで、結局NRA(原子力規制委員会)を信じるかどうか。この組織自体は3.11後に民主党の発議で第3条委員会としてできて、トップの田中さんは細野豪志さんが人選した方だ。結局、規制委員会に対しての民進党のスタンスが問われている気もするが、それは多とするのか。結局、NRAが大丈夫だと言っても、住民がだめだと言うことは、これは信に値する組織として未成熟なのだろうと思うが、その点などはマニフェストで規制委員会の問題に向き合うお考えがあるか伺いたい。

【政調会長】
 マニフェストにエネルギー政策をどういったふうにご提示するかということは、私は大変大事な問題だと思っていますので、今のような切り口も、やはりこのことに向き合っている国民の大事な声だと思いますので、しっかり受け止めて、マニフェストの作成に臨みたいと思います。