長妻昭代表代行記者会見

2016年4月21日(木)14時02分~14時26分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=Lwcxjfi3B6c


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○熊本地震について

【代表代行】
 まずは熊本地震について。いわゆるエコノミークラス症候群と言われております、車の中などに避難されている方々についても大変厳しい状態になっているということで、我々も昨日、震災対応について民進党としての考え方(平成28年熊本地震災害に関する緊急申し入れ)を安倍総理に岡田克也代表から要請をいたしました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りして、ご遺族の皆様にお悔やみを申し上げ、そして被災者の方々に心よりお見舞いを申し上げます。
 今日は九州地方で強い雨が降っておりまして、熊本市などに避難指示が出されております。十分注意をいただき、そして政府としてもそれを踏まえた対策を打っていただきたいと考えております。捜索・救命活動に万全を期していただきたい。そして被災者の生活支援にも万全を期していただきたい。余震もおさまっておりません。大変心配しております。
 また、政府の現地対策本部長の方の言動についてもいろいろ報じられており、国会でも議論になっているようでございますが、こういう緊急時でありますので、政府も適切に対応していただきたい。特に現地の意向を踏まえた対応をしていただきたいということも申し上げたいと思います。

○マニフェスト企画委員会の取り組みについて

【代表代行】
 そして私は今、マニフェスト企画委員会ということで、マニフェストの骨子を取りまとめているところです。
 例年の参議院選挙に比べると取り組みが早いですが、これはダブル選挙を想定して進めています。政府の中からはダブル選挙について報道等で聞こえてまいりますが、私としてはダブル選挙を政府が打つ・打たない、解散をする・しないというのは、同日選挙というのは五分五分であると。いまだに五分五分であると私は認識・理解をしておりますので、きちっと急ピッチでマニフェストを作るということはそのまま続けていきたいと思います。

○衆議院北海道5区・京都3区補欠選挙について

【代表代行】
 そしてこれは言うまでもなく、補欠選挙が今度の日曜日。期日前投票の出口調査も始まっているようですが、逆転されたり、こっちが勝っていたりと、相当デッドヒートの状況であると私は理解しております。何としても、特に北海道について、勝利をしていかなければならないと考えております。
 今日も岡田代表が現地に行かれるということであり、総力を挙げて取り組んでいきたいと思います。


■質疑

○熊本地震の対応について

【毎日新聞・野口記者】
 熊本地震の発生からちょうど1週間たつが、この1週間の国会を振り返って、TPPの委員会ではやりとりがあったが、災害特別委員会などは開かれずに、本格的な国会で「どうするべきか」という議論がされていないと思う。その辺について長妻代行はどのように現状を捉えているか。

【代表代行】
 優先順位というところで、それぞれの理事たちが議論をされているのだと思います。やはり1週間は人命救助、そして関連死を防いでいくことが喫緊の課題だと、理解をしておりますので、そういうところに与野党協力していっているのではないか。
 ただ、そういう話の筋の中で非常に不思議に映ったのが、TPPについてです。これは聞くところによると官邸からの強い意向で特別委員会が開かれたと聞いております。そこでも(熊本地震への対応等について)一定の議論はなされたと思いますが、やはりもう少し時間がたってから、検証ができるような段階で国会で議論することも必要ではないかと思います。
 そういう意味では、繰り返しですが、昨日、我々の(平成28年熊本地震災害)対策本部で取りまとめた提言を政府に渡しておりますので、今、現在進行中の事態を踏まえた国会対応がなされているのではないかと考えています。

【毎日新聞・野口記者】
 震災の関連で、国会の関与というか、今後どうやって震災対応に政府だけではなく関わっていくかという問題で、東日本大震災の時は与野党協議会みたいなものをつくって、野党の意見もしっかり政府に届けていく枠組みをつくったりしていたが、今回もそういうことを求めるのか、もしくは普通に災害特別委員会の開催を求めて国会の表の場でしっかりと対応を、今後、民進党としてやっていくのか。どういったお考えか伺いたい。

【代表代行】
 我々与党の時に与野党の協議会もつくりました。与党も野党に対して相当積極的に呼びかけた。
 そもそも安倍内閣になって与野党会談が、今回は会談ではないですが、ちゃんと官邸で会うというのはおそらく初めてではないかと思います。与野党、特に与党が野党第一党の党首とのコミュニケーションを相当欠いたままでずっと推移してきております。
 もちろん与党からそういう呼びかけがあれば我々も検討するわけでありますが、まずは我々としては、この5ページにわたる申し入れを昨日いたしまして、それについて的確にやっていただくということができなければ、さらに申し入れを継続していく。
 繰り返しですが、政府からそういう呼びかけなり協力要請があれば、それは我々検討していきたいと思います。

○熊本地震・政府現地対策本部長の交代について

【西日本新聞・入江記者】
 冒頭でお話があった現地対策本部長の言動の関連だが、今日の総務委員会の場でも、現地と政府とのテレビ会議をする場で、避難されている方ではなく、職員やご自身の食料を要請するようなことを(したことを)認め、その上で一連の対応について謝罪されたようだ。テレビ会議の場で自らへの「差し入れ」というか、そういう食料提供を求める行為についてはどのように見ているか伺いたい。

【代表代行】
 私もその前後の文脈とか、その場面、画像を見ておりません。総務委員会の細かいやりとりも聞いておりませんので、実際にどういうことがあったのか、今の時点で私は承知しておりません。
 ただ、事実としてこれだけ短期間で本部長が交代された。しかも政務官が本部長になられたと聞いており、そこら辺は不可解だ。何かがあったのではないかと普通、常識的には考えるわけで、ある意味では、副大臣よりも役職的に下の方が本部長に就く。普通は逆で、この深刻度を認識して、それよりも上の方が本部長に就く。そういうことならばわかるのですが、言葉は悪いですが、身近な人をパッと持ってくるみたいな、そういう人事であるとすると、相当な落ち度を政府も認めたということになるのではないか。
 であれば、やはりもうちょっと責任者の方が、ご本人というよりも担当大臣とか、官房長官も含めて、そういう立場で、一体どういう事実があってそういう交代があったのか(説明していただきたい)。「これは単なる政府の人事です」ということでは済まされないわけで、地元の方とも一定のコミュニケーションをとっている。そこら辺をちゃんとけじめを、公式見解というか出していただかないと、私としてもなかなかコメントしづらい。いずれそういう見解を出してくれることを期待しております。

○川内原発について

【朝日新聞・菊地記者】
 昨日の申し入れには幾つかの項目があったが、その中の川内原発の扱いについて伺いたい。民進党内でも、幹部によっては直ちに予防的に止めるべきだという意見もあるが、昨日の申し入れの文言を見る限りではそこまで強い調子で求めていなかった。長妻さんとしては川内原発についてはどのようにあるべきだとお考えになるか。

【代表代行】
 これは当然、党内で相当議論をいたしまして、その中の民進党としての統一見解ということで、川内原発についても、従来の地震に関する想定が正しいのか否か、これを再検証するべきではないか。今回九州であれだけの地震が起こり、そこで得られる知見は多いと思います。それについて検証をきちっとせよということと、想定どおりの避難ができるのかというようなことについて、これも再検証してくれと。それと3番目としては避難先の受け入れ態勢、十分かどうかこれを再検証してほしいと。大きく3点を相当強く申し上げたところでありまして、その中で情報提供も十分に図っていくというのが我が党の統一見解です。
 我々も、どれだけそれが影響を及ぼすのかということは、政府の中に入ることができない立場でありますので、正確にはなかなか把握できていないというようなこともあり、川内原発についてはそれが我が党の今の統一見解である。
 当然、再稼働する時は我々もコメントを出させていただいたのですが、その時も何しろ、国がきちっと責任を持って避難計画がなされているとは言いがたい中で、再稼働についても我々は否定的な見解を示しました。ですから、その筋として、今申し上げたような統一見解を政府にぶつけているということです。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 いわゆる想定震度は確かなものなのか、あるいは避難計画ができているのか、受け入れ態勢があるのか。この三つをメルクマールで考えたら、さらに川内については免震重要棟もまだないということを考えたら、長妻さんのメルクマールで言えばやはり止めるべきだ、あるいは止めることを考えるべきだという立場なのではないかと伺ったが。もし今の三つのメルクマールを一つの前提とすると、やはり止めることを前提に考えるべきだという結論に民主党が至らないのは、やはり特定の団体などの利害などに左右されているのかなと、論理的には私は思う。長妻さん自身は、先ほどのメルクマールに照らして、やはり川内は止めたほうがいいのではないかとお考えなのだと思うが、お考えを伺いたい。

【代表代行】
 これは先ほど申し上げましたように、個々人はいろいろな考え方があると思いますが、党の中で相当議論をして、統一見解として政府に要請をしています。
 これは当局なり電力会社が、今の三つの観点から、問題が少しでもあると考えれば、ちゅうちょなく停止していただきたいと考えておりますが、我々が情報を全て取れている立場にない中では、これが党の見解として、政府に責任を持った判断をしていただきたいと申し入れている。

○次期マニフェストについて

【時事通信・岸本記者】
 マニフェストについて伺いたいが、政策公募をするという話を伺ったが、その狙いと意図について伺いたい。

【代表代行】
 これは企画・広報担当と幹事長室とで議論されているということで、まだカチッとした計画ではないと思います。私は詳細はわかっておりませんので、幹事長などにお問い合わせいただければと思います。

【共同通信・浅田記者】
 来週に予定しているマニフェストの骨子は今、企画委員会のほうで検討していると思うが、これはどのような形になるのかということと、先ほど政策公募の話があったが、夏に参院選を控える中で、そうしたものを入れて最終的な形は大体いつぐらいをめどに作成できればとお考えなのか伺いたい。

【代表代行】
 来週、NC、あるいは平場でご意見を聞くことも検討しております。ただ、その時に何かほぼでき上がったようなものをお示しするということではなくて、目次と見出しぐらいと順番、あるいは重点政策をこのぐらいでどうなのかというような、非常に漠とした形でお示しをして、意見を聞く、党内から広くお伺いする、そういう立場です。
 5月、連休明けて、全国の意見も聞きながら、我々は非常識だとは思いますが、6月1日、その少し後ぐらいの解散というのもないとは言えないと私は考えておりますので、解散の後にマニフェストというと相当バタバタして作りづらくなりますから、5月中には相当な形を作り上げるというスケジュール感で取り組まなければならないと考えています。

○次期衆議院選挙について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 解散については総理の権限なので、「五分五分だ」と。受け身だから仕方がないのだろうけれども、これだけの地震が起こって、仮に6月1日だとすれば40日後、その少し後であったとして、解散をすること自体は野党としてはどういう評価になるか。前回は「大義なき」ということをおっしゃっていたが、やはり非常識、理不尽、どういう。解散を行うのは普通あり得ることなのか。

【代表代行】
 解散をする・しないというのは、我々ではコントロールできない。
 仮に解散が6月1日あるいは多少延長しても6月の上旬であるということになると、やはり非常識と言わざるを得ないのではないか。地震の対応ということが相当大きい。TPP委員会が開かれたということを見ても、やはり政府はこの震災をもっと重く受け止めていただかなければならないと考えておりますので、仮に解散があった時は、やはりそれは非常識と言わざるを得ないのではないかと思います。

○「報道の自由度ランキング」における日本の順位のさらなる低下について

【朝日新聞・菊地記者】
 「国境なき記者団」が「報道の自由度ランキング」を発表し、日本は昨年の61位から72位に下がっている。3年連続で下がっており、一時期は上位に位置づけたこともあったが、中位以下になっている。メディアに身を置かれた経験もある長妻さんとしては、今のメディアのこういう位置づけをされている状況をどのようにご覧になっているか。

【代表代行】
 残念です。メディアが萎縮する、報道を自粛するということになると、やはり大きな過ちがその後に待っている。過ち、これはかつて戦前の反省ですが、やはり相当これは深刻に私などは捉えております。
 (権力に対する)批判が昔と今とどのくらい減っているのかは、なかなか数字では表せませんが、私の体感的な、新聞を日々読み、テレビも一定の番組は日々見ている、これまで何十年もそういうことをしてきた。かつてマスコミにもおりましたので。そういったことからすると相当、政府批判というのがなくなっていると。あるいは政府の、特定秘密という名のもとに、情報が何でもかんでも出にくくなっているような感じが進展しているということは強く感じております。
 かつては、例えばテレビで言えば朝は「税金無駄遣い、ほっとけない!」とか「天下り、ほっとけない!」という番組が各局であって、昼は昼でそういう番組があって、夕方は夕方でそういう番組があって、夜は夜でニュースが相当鋭い政府批判をするというようことがあったやに思いますし、野党のテレビ出演、与党と相当激論をするというのも、(今や)ほとんどそういう番組はBS以外ではもうゼロに等しい、「日曜討論」以外なくなってしまったような気がしていまして、非常に残念な状況に今なっているのではないか。
 ただ、これは当然マスコミだけの問題ではなくて、やはり野党の勢力が非常に小さくなってしまった。しかも政権交代の期待がない中で国民の関心が遠のいてしまったと。我々自身も自戒を込めて、「ひょっとすると、これは次、政権交代する可能性があるんじゃないか」と、こういうふうに思わせるような政治状況をつくり上げた時に初めて、マスコミも野党・与党一本勝負みたいな報道や、あるいは新聞も野党が追及した政府の問題点を相当深刻に取り上げるとか、そういうことになると思いますので、これは我々も反省しなければいけない。
 あと与党も、マスコミが自粛・萎縮するような言動も、これは厳に控えるというようなことだと思います。  何か今、一部の意見の中に、マスコミの中立性というのは民進党と自民党を平等に批判する、これが中立性だと。選挙の時は確かにそうかもしれませんが、ただ、普通の時はやはり政権を持っている、政権に就いている、権力がよりあるところをより強く批判するという、これがジャーナリズムだと思いますので、そこら辺の「ジャーナリズムとは何ぞや」というところが今相当希薄になって、ジャーナリストの鬼、そういう(ジャーナリズムの)塊のような方々が多少少なくなっているような気がいたします。