山尾志桜里政務調査会長記者会見

2016年4月27日(水)15時00分~15時31分
編集・発行/民進党政策調査会(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=_SU1BvtO9RE


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○衆議院補欠選挙の結果について

【政調会長】
 私からは、冒頭4点お伝えしたいと思います。
 まず1点目ですが、補選の結果について、私なりにということでコメントさせていただきます。
 京都3区は自民党が不戦敗、そしておおさか維新が関西での存在感を示すことに失敗した中で、我が党の泉健太候補が野党第一党としてすばらしい結果をつくってくれたということで、大変に喜ばしいと思っています。
 北海道5区、私も複数回応援に入らせていただきましたが、池田まきさん、善戦及ばず惜敗されました。ただ、やはり野党と市民が連携することは、今の政権にとっては脅威なのだということは明確になったと、私自身は思っております。

○熊本地震に対応する補正予算の編成について

【政調会長】
 2点目ですが、熊本地震に関する補正予算についてご報告いたします。我が党の岡田克也代表が記者団の皆さんに「補正予算が必要ならば協力したい」と申し上げていまして、党としては補正予算の速やかな成立に、熊本地震(の対応)においては協力することはやぶさかではないと。
 ただ、やはり気をつけなければいけないのは、当初予算に盛り込めなかった事業を潜りこませるだとか、あるいは、あってはならないことですが、選挙対策のために活用するとか、そういう不適切な形で歳出が膨張しないようにということは、私達しっかりとチェックをきかせていかなければいけないなと思っております。
 そして昨日、岡田代表と安倍総理と山口公明党代表と、この補正予算について話し合いをしたと聞いておりますが、その具体的な内容については明日、政調の代理同士で我がほうからは提案をさせていただくことになったようです。
 明日、与党政調のほうに申し入れをさせていただくことになりますが、その中では、幾つかこの場で申し上げますと、一つが被災地の高速道路についての無料化の実施。
 二つ目が被災者生活再建支援制度ですが、支援金の額300万円から500万円への引き上げ。あるいは、対象範囲についても「大規模半壊」から「半壊」までの拡大。
 そしてまた私自身、現場に女性職員が少ないのではないかということを、東日本大震災の時も声を聞いておりましたので、国が女性職員を率先して派遣するとともに、地方公共団体等が女性職員を派遣した場合の支援というものをしっかりすることによって、やはり被災者の、とりわけ女性やお子さんが上げにくい声をしっかりと酌み取る工夫が必要なのではないかということでご提案をさせていただきたいと思っております。  詳しくは明日以降の代理同士の提案協議の中で、また直接お伝えを申し上げることになるのではないかと思います。

○待機児童対策について

【政調会長】
 3点目ですが、待機児童の関係です。安倍総理が昨日、「一億総活躍国民会議」の中で、私はちょっとびっくりしたのですが、保育士の給与水準を女性の全産業平均と比較して基準にしたということを報道で伺いました。
 二重の意味で、かなり感覚がずれているなぁと感じました。保育士は女性の職業なのでしょうか。まさに男女の性差による職業の固定化から安倍総理は感覚が逃れられていないのか、と率直に思ったのと、こういった形で女性の平均を一つの物差しにするということは、今大きな課題となっている男女の賃金格差そのものを是認するような方向性に導くのではないかという危惧も感じております。
 私ども、保育士さんの給与を1ヵ月5万円アップする法案を出していますが、今現在をもってしても与党はこの法案に審議拒否の姿勢を続けていると国対から聞いております。今国会も残りそう長くないですし、この問題に本気で取り組むならば、私たちの法案を、与党の皆さんも対案があるのでしょうから、まさに委員会という最も適切な協議のテーブルに着いて議論に応じていただきたいと思っています。

○分散型エネルギー社会推進のための議員立法4法案の提出について

【政調会長】
 4点目、これは告知なのですが、明日、エネルギー4法案(1)分散型エネルギー利用の促進に関する法律案(2)熱エネルギー利用促進法案(3)公共施設省エネ・再エネ義務化法案(4)エネルギー協同組合法案)の提出をいたします。10時15分に衆議院の事務総長方へ、私も同席をさせていただいて提出したいと思っております。
 エネルギーの地産地消を進めたり、エネルギー協同組合をつくれたり、あるいは廃熱利用などなど、この国にとって大事な法案だと私達は思っておりますので、明日の提出ということでこの場で告知をさせていただきたいと思います。


■質疑

○衆議院補欠選挙の結果について

【フリーランス・堀田記者】
 北海道5区補選で、脅威だと安倍さんのほうが感じたという発言だが、2014年の総選挙の時に民主党と共産党合わせて6000票差で町村さんが勝ったが、今度和田さんが1万2500票差で勝っている。これでなんで「市民が」と。要するに和田さんに入れた人も市民で、これが何で脅威になっているのか。

【政調会長】
 安倍総理が脅威と感じたかどうか、私は直接はわかりませんが、ただ、前回の総選挙で民主党の公認候補が獲得した得票が9万5000票。共産党が当時、もちろん別々で出していますので、3万票であったと。今回、池田候補は12万3000という票を得たということを考えれば、やはり政権与党にとって野党の候補者が事実上一本化されるということは脅威に感じるのではないかと思います。私自身は、「脅威だ」と感じられているのではないかなと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 2年前の民主も共産も野党だ。それを足したよりも、池田さんは少ない。和田さんは、町村さんが取った票よりも多い。これは和田さんの勝ちだ。和田さんに入れた人も市民なのだから、これは山尾さんの考えは違っていると思う。

【政調会長】
 和田さんの勝ちということを私自身も否定しているわけでは当然ありません。ただ、前回(民主党候補と共産党候補)合わせた得票が12万5000票で、今回ほぼそれに迫る12万3000票というところまで行ったのだというところも含めて、私は今回の戦い方としては間違っていなかったと考えています。

【時事通信・岸本記者】
 票が減ってしまったことはなぜかという分析を、どう政調会長はされているのか伺いたい。

【政調会長】
 やはり無所属候補は、政党の公認候補と比べると随分、本番の選挙戦の戦いの中ではハンディキャップがあるのだなということは、私自身北海道に複数回入って思いましたので、そこら辺をどう乗り越えていくかということは今後の課題ではないかと思っています。

○NHK籾井会長の熊本地震・原発の報道に関する発言について

【朝日新聞・藤原記者】
 熊本地震の関連でNHKの籾井会長が、局内の会議ではあるが、原発の報道に関して政府の公式な発表をベースにした報道をしてくれという発言をしたということだが、この点に関して。先週、山尾会長は「報道の自由度ランキング」で日本が下がったことに触れていたが、これとあわせてどのように受け止めているか伺いたい。

【政調会長】
 その籾井会長の発言がどういった場で、どういった文脈の中で実際になされたのか私も承知しておりませんので、ちょっと個別のことではコメントが難しいなと思いますが、実際に「報道の自由度ランキング」、私達民主党政権の時は10位台ないし20位台だったものが70位よりも下まで沈んでいるわけで、こういった評価の背景にNHKの籾井会長のここ数年の言動が影響があると考えるのが自然ではないでしょうか。

○待機児童対策について

【テレビ朝日・河村記者】
 待機児童問題について、何度か僕も会議に出たが、お母さんたちは「とにかく今すぐ何とかしてほしい」という声がかなり強く、切実な訴えがある。委員会で法案が審議されない状況だが、与野党(の別)はない問題だと思うので、委員会の場などで与党に対して訴える以外に、何か山尾政調会長なりに新しいやり方で、この問題について与党を動かす、政府を動かす、そういうアイデアがあれば伺いたい。

【政調会長】
 委員会の審議というのが、本来立法府としては最も王道の議論の場ですからね。「待機児童の問題を解決しなければならない」と口では言いながら、その法案の審議から、もう(会期の)お尻も見えてきているのに逃げ続けるというのは、全くもって理解できないと私は思っています。
 ただ、じゃあそれ以外にということだと、それこそ、私どもがやったわけではないですが、当事者のお母さん達、保育士さん達が、この国会の中でも2回、皆さん赤ちゃん連れでベビーカーを押して集会を開いて、私も誠心誠意、自民党の方にも「これはやはり与党も野党もないから、当事者の声を聞こう」と、「当事者の皆さんも別に与党を糾弾するつもりはなくて、やはり声を聞いてほしいという思いで訴えているから、聞きに行きましょう」とお誘いも、お願いもしているのだけれども……。公明党はいらっしゃいました。2度とも自民党の方は1人も来ない。
 という中で、この会見を聞いてくださっているかわかりませんが、自民党のほうもこの待機児童に関するチームなり対策本部なりを立ち上げているようですので、団体の皆様から話を聞くのも大事なのですが、私どもが聞いてきたお母さんの声、個人の声を少しお聞きになったらいいのではないですかね。あの声を聞いてくだされば、やはりこれは与党と野党で今国会で解決して、参議院選挙の争点からこんなものは外して、真摯に取り組もうという気持ちになるのではないかと思いますので、ちょっとこの場を借りて呼びかけをしたいと思います。

○政策における争点について

【毎日新聞・松本記者】
 今日、マニフェストの関係で全議員の懇談会もある。今検討中だと思うが、自民党は最近になって、民主党が掲げていた同一労働同一賃金とか最低賃金の引き上げとか、かなり似通った政策を検討するような方針も示しているが、差別化をどうやって図っていくとお考えか。

【政調会長】
 同一労働同一賃金、あるいは奨学金の問題、あるいは待機児童の問題、私達はしっかり中身のあるものをお出ししたいと思っていますし、既に出しているものもありますので、ぜひ皆さんにもその中身のところを見ていただいて、どちらが本物で、どちらが偽物なのか、判断をしていただけるようにしっかり準備したいと思っています。

【共同通信・光山記者】
 政策の話にも関わるが、政調会長に就任されて1ヵ月になるが、これまでよく好対照というか、自民党の稲田政調会長と比較されることが多いと思う。同じ女性で、早い期数で幹部になったという経験があると思うが、そういう意味で山尾政調会長は、カウンターパートというか、自民党の稲田政調会長をどういった位置づけというか、思いで見ているのか伺いたい。
 あるいは今後、参院選に向けて政策論争の場が増えるかと思うが、特に何について政策論議を交わしたいか。そういったものについてお考えがあれば伺いたい。

【政調会長】
 私が自分なりにおもしろいなと思うのは、おっしゃったように、法曹出身であり、女性であり、もちろん稲田先生のほうが私よりもキャリアが多少なりとも長いわけですが、政調会長としては若い期で担わせてもらっている。そういった環境面では類似したところがある一方で、国家観や家族観、女性政策、そういった意味では、今までのところ政策面では相当隔たりもあるのかなと。そういうところをぜひ、稲田会長とは直接政策議論をすることで、違い、政調会長の違いは当然政党の違いを浮かび上がらせるものにもなるのでしょうから、早く直接議論の場を持てたらいいなということを感じております。
 どういったテーマで議論したいかということですが、やはり女性活躍を掲げている政権ですから、本当にどういう目線で稲田さんが女性活躍ということを考えていらっしゃるのかというのは議論したいなと思います。クオータ制も、過去の発言を見ると消極的な発言が多かったようですし、今現在変わっているのか変わっておられないのかということも聞いてみたいなと思います。

○民進党結党から1ヵ月に当たって

【日本経済新聞・宮坂記者】
 今日で民進党の結党大会から1ヵ月になる。この1ヵ月間、補選等もあったが、政調会長から見て、この「民進党」の浸透等に関して、今までの手応えの部分と、まだまだ課題だと思われる部分、それぞれ伺いたい。

【政調会長】
 手応えというほどまではいきませんが、民進党になって1ヵ月、「民主党」と言うとよく「バラバラ」という言葉を付記されましたが、民進党になってそれぞれの議員が、やはり政権を担うには一致団結しなければいけないのだという思いをしっかり固めてスタートできた。この1ヵ月、そういう思いを前提に、採決なども含めて、それなりの行動をとれてきたのかなというような気がしています。
 これから、特に課題というか参議院選挙に向けては、やはり民進党の結党の理念、「自由」「共生」「未来への責任」ということを私なりにわかりやすい言葉で通訳を続けながら、全国歩き回って皆さんの腑に落ちる民進党の骨格というか、輪郭を浮き彫りにしたいなと思っています。

○政策における争点について

【読売新聞・上村記者】
 同一労働同一賃金であったり、奨学金であったり、民進党が民主党の時から掲げてきたものを政権が打ち出している。これを、現与党の手によるものではあるにせよ政策が前進したと評価するのか、それとも争点潰しと評価するのか、そのあたりの認識を伺いたい。

【政調会長】
 正直、争点潰しを狙っているのかもしれませんが、私達にとっては、やはりこういった国民が今求めている課題が争点としてクローズアップされることを逆に喜ばしく受け止めたいなと思っています。やはりそれらの課題は生活直結の困りごとなので、「やります」と言われたから、じゃあ国民の皆さんが「ありがとう」と言うかというと、ちょっと違って、本当にどのように、いつまでに解決してくれるのか、やはりそれを問われると思います。私達はしっかり、そういったものにできる限り答えていきたいと思っています。そのことを通じて、やはりどちらの答えが本物なのかということを見きわめてもらうチャンスだと思います。

○投票環境向上のための取り組みについて

【日本経済新聞・宮坂記者】
 参院選から共通投票所の設置という話があったが、自治体のレベルで聞くと全然それが検討されていないというか進んでいないという状況が報じられており、見受けられる。この問題は民主党時代に民主党が呼びかけたという経緯もあるが、こういった現状を政調会長としてどうご覧になっているか伺いたい。

【政調会長】
 やはり駅やショッピングセンター、そういった投票しやすい場所で投票できる環境が、それはもちろんできるだけ早く、それが一番早いのは参議院選挙ですが、スタートするのが望ましいし、ありがたいなと思います。
 ただ、これは一概に自治体の責任には当然できないわけで、私たちが法案を成立させてから参議院選挙までやはり相当時間が切迫している中で、ちゃんと二重投票を防ぐためのシステムだとか、予算や人員の確保も本当に大変だろうと思いますので、そういう中でできる限り努力していただければありがたいし、もし次の参議院選挙まで間に合わなくても、その次を見据えて、今回、さまざまな準備をしてもらえればありがたいなと思います。

○日米路線に係る羽田空港国際線発着枠の配分について

【日本経済新聞・宮坂記者】
 羽田の米国便の国際線の発着枠で、全日空が4(2枠増)で日本航空が2(増減なし)ということで、これは民主党政権時代に日航が再建したという経緯を引きずっての判断だと言われている。こういった問題、今でも傾斜をかけている問題について、政調会長としてどのようにご覧になっているか伺いたい。

【政調会長】
 今回の政府の決定ですが、民主党政権時代の2012年8月「日本航空の企業再生の対応について」ということで発した通知がベースになっての判断だとは思っていますので、これからも、ここにあるように競争環境の適切性をしっかりと確保していただきながら、何よりも利用者の安全ということで判断をしていただきたいと思っています。

○民進党結党から1ヵ月に当たって

【北海道新聞・津田記者】
 先ほど会長は、一致団結しなければいけないという思いを前提に、採決などを含めてそれなりの行動がとれてきたとおっしゃったが、一方でその過程で、原発政策関連、核燃サイクルの関連の法案等では部会で反発する声も出た。そういった政策調整の難しさをこの1ヵ月経験されて、どう感想を持たれているか伺いたい。

【政調会長】
 部会で多様な意見が出るというのは、その後、一致団結した行動をとるためには大事な要素だと思います。なので、反発の声とは、私もNC(次の内閣)などで席に座って聞かせていただいていますが、正直そういうふうにはあまり受け止めていません。多様な声がしっかりとした議論をつくっていると感じています。
 ただ、私はいわゆる「発言に重みのある政調会長」にはなれませんので。むしろフットワークの軽い政調会長として、いろいろな方の意見を足を運んで聞かせていただいて、自分の身の丈の中で合意形成を図る、そういう努力を一生懸命していきたいと思っています。

○マニフェストについて

【フリーランス・堀田記者】
 「民進党」という名前をつける時にいろいろネットで評判を聞いて、「立憲民主党」があまり評判がよくなかった結果「民進党」になったと思うが、その時にマニフェストということについて何かやりましたか。というのは、マニフェストというのは2009年の民主党の時が有名だが、これは結果的にマニフェストというのは「有権者に対してうそをつくこと」という日本語になってしまった。ことごとく破られたので、すごく評判が悪い。またマニフェストを作っているということだが、これは参院選のために作っているのか。評判が悪いので、「マニフェスト」という言葉をなくして、例えば「皆様に対する約束」とか「政権公約」とかいったことにできないのでしょうか。

【政調会長】
 「できないのでしょうか」というご質問に答えれば、それは可能なのだと思います。一方で、「マニフェスト」という言葉が悪いのではなくて、どういう言葉であれ、これは自民党もそうだと思いますが、選挙の時に約束した事柄が必ずしも守られないという、そういう政治の姿勢が問題なのではないかと思います。これは言葉を変えたら信用してもらえるようになるのかどうか、そこは私としてはちょっと疑問です。