山尾志桜里政務調査会長記者会見

2016年5月11日(水)15時02分~15時25分
編集・発行/民進党政務調査会(項目ごとに編集してあります)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=DeOjQd_ZFio


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○オバマ米国大統領の広島訪問決定について

【政調会長】
 私のほうから、まずオバマ大統領の広島訪問について申し上げたいと思います。大統領が、伊勢志摩サミット出席後の5月27日でしょうか、広島を訪問するということで昨日発表がされました。
 原爆を投下したアメリカの最高指導者が被爆地・広島を訪問することは、特に北朝鮮が核の挑発を続ける中で、世界に「核なき世界」の必要性をアピールして、その機運を盛り上げるために極めて重要な機会となると思います。歓迎したいと思います。

○熊本地震発生から1ヵ月に当たって

【政調会長】
 もう1点ですが、熊本を中心とした地震ですが、最初の発生から1ヵ月が経過しようとしています。今もなお余震が続いて、本当に多くの被災者の皆さんが厳しい現実に立ち向かっておられます。
 私も現地に伺いたいと思っておりましたが、明日伺わせていただくことにいたしました。明後日・金曜日には補正予算も閣議決定されると聞いておりますし、明日のタイミングで行かせていただいて、そして被災者の方々にお見舞いを申し上げ、今何に困っているのか、政治はどんな形で寄り添い、支えることができるのか、直接お話をし、伺ってきたいと思っております。


■質疑

○オバマ米国大統領の広島訪問について

【朝日新聞・藤原記者】
 オバマ大統領の広島訪問に関して、現時点で政府は原爆投下に対する謝罪の要求に関しては特に態度を明確にしていないが、人道に対する罪として謝罪を求めることの可否あるいは是非についてはどのようにお考えか。

【政調会長】
 あの戦争でご家族を奪われたご遺族の気持ちを考えた時には、今のご質問は大変深く難しいご質問だと思いますが、それでもなお、原爆を投下したアメリカの大統領が広島平和記念公園で慰霊碑に献花をし、犠牲者の方々に追悼の意を示すということは、それ自体で日米関係の歴史に非常に重たい意味を持つというふうに前向きに考えたいと思います。

○災害時の窃盗犯罪厳罰化の議論について

【読売新聞・上村記者】
 自民党政調のほうで、震災時の被災地での窃盗等について刑を加重する法案の検討を始めたようだ。政調会長として、被災地での窃盗に刑を加重するという案についての是非と、検討する考えがあるかどうか伺いたい。

【政調会長】
 まず、そういった災害で苦しんでいる環境に乗じて、窃盗を含めて犯罪を犯すというのは言語道断だと思います。
 一方で、災害に乗じた犯罪は窃盗だけではありません。女性の立場からすると、わいせつのような事犯もゼロではないでしょうし、あるいは詐欺だとか、そういった災害に乗じた犯罪というのは窃盗だけでなく幾つか考えられるわけです。
 また一方で、窃盗という犯罪類型の中にも、「災害に乗じた」ということだけではなくて、さらに別の事情で非常に卑劣な事案というのも、私も元職で多々見てまいりました。そういう中で、それに加えて、今の窃盗罪の法定刑の中で、こういったとりわけ重たい形態の犯罪を処罰し切れていないのかどうかということも精緻に議論する必要があると思いますし、その点は少し冷静に検討したほうがいいと思います。

○核燃料サイクル政策について

【共同通信・光山記者】
 今日の参院本会議で核燃料の再処理に関する積立金の法案(再処理等拠出金法案)が可決されたが、その中で民進党所属の11人の議員が欠席した。うち5人は元維新の党所属の小野次郎さん等が含まれている。まず採決に欠席したことについて政調会長としてどう思われるかということと、あとこの法案の対応については代表・政調会長・担当ネクスト大臣に一任になっていたと思うが、この間どういう議論をされて今日のような結果につながったのか、そこを伺いたい。

【政調会長】
 欠席されたということであれば理由があったのでしょうし、必要な手続をとっておられるのであろうというふうには思います。
 この法案に対する民進党の考え方を決定するに当たっては、おっしゃったとおり、最終的には一任をいただきました。そしてその中で、私達は2030年代に原発をゼロにするという揺るぎない方針も確認いたしましたし、そうであっても解決しなければならない核燃料サイクルの問題に、しっかりと調査会をつくって私どもなりに議論を深めていこうということで、先般、細野豪志議員に会長を受けていただいて、その会も発足が決まっております。そういった中でしっかりとやるべき議論を民進党の中で進めて、一番大きな目標である「2030年代原発ゼロ」に向けてブレることなく一歩ずつ足を前に進めていくことが大切かと思っています。

【共同通信・光山記者】
 細野さんに任せたという調査会だが、現状、議論の状況はどうか。まだ協議自体は始まっていないのか。

【政調会長】
 今、会長以下の人事をこれから決めるという段です。

○ヘイトスピーチ対策法案について

【朝日新聞・藤原記者】
 ヘイトスピーチの解消を目指す法案(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案)に関して、明日、参議院で委員会採決され、今後衆議院に送られてくると思うが、この法案に関しては民進党の中からも、その実効性の問題や、「適法に居住するもの」の文言に関して「対象者を限定してしまうのではないか」という懸念の声が出ている。現時点で政調会長としてどのようにこの法案を見ているかということと、今後衆議院に送られた際に党内での議論はどのようになっていく見通しか伺いたい。

【政調会長】
 100点に行き着くまで反対をするのか、50点でも一歩前進と評価して賛成するのかというのは、常に野党第一党の葛藤であります。私も刑事訴訟法の時に同様の悩みにぶち当たりましたが、やはりかなり物足りないところはあります。
 とはいえ、人権の問題というのはなかなか100点を取るのが難しい問題でもありますので、私の一議員としての感覚では、やはり野党第一党でも少しでも物事をよい方向に進めるように努力をして、その痕跡を残しておくことが極めて大事だと思っています。

○核燃料サイクル政策について

【共同通信・光山記者】
 何度か質問させていただいているが、政調会長は中電労組からの政策協議とかも結んでいないという過去があると思うが、核燃料サイクルのあり方について、政調会長ご自身としてはどうあるべきとお考えか、改めて伺いたい。

【政調会長】
 エネルギー政策についてはさまざまなご意見がありますが、どの立場に立っても必ず解決をしなければならない問題だと考えています。そういった意味では、とりわけ党内が一致団結して取り組んでいかなければいけない問題だということであります。

○憲法に関する議論について

【読売新聞・上村記者】
 マニフェストの件だが、憲法について、岡田克也代表は争点化すべきだとおっしゃり、枝野幸男幹事長は争点化すべきでないとおっしゃっている。マニフェストの中で憲法の書きぶりをどのようにするかについて、現時点ではどのようにお考えか。

【政調会長】
 私自身は、政調会長になる前に予算委員会で総理と憲法論議をしまして、精神的自由がなぜ経済的自由に優越するのかという理由を総理が全く答えられなかったことに唖然とした記憶がまだ生々しく残っております。そういう意味では、やはり憲法に無知な総理が、そのままで、その状態のままで憲法を改正しようとしている状況には非常に大きな危機感を持っていますので、そこに歯止めをかけるということは参議院選挙の大きな大義だと思っております。
 ただ一方で、民進党も「未来志向の憲法を国民とともに構想する」ということを大きく掲げていますので、前向きに、今の社会が抱えている問題について、憲法を通じて解決すべき点があるのかどうかということは、これはあまり政争の具にせずに、議論すべきは議論したらいいのではないかというのが私の考えです。

○政治団体「国民怒りの声」の設立について

【時事通信・岸本記者】
 小林節さんが団体を設立したことに対する受け止めと評価を伺いたい。

【政調会長】
 小林節さんは改憲論者でありながら、「立憲主義の危機だ」ということで立ち上がり、全国くまなく歩いてすばらしい活動をされている先生だと存じ上げています。そういった方がついにご自身が政治家として手を挙げようとされていることは非常に希望だなと私自身は率直に感じています。
 なぜならば、そこには――ごめんなさい、期待しているような政局の話ではないのかもしれませんが、「護憲」と「改憲」の壁を取っ払って、本当にこの国のために、憲法のいい議論をしようという道につながるかもしれないという光を少し感じるからです。

【時事通信・岸本記者】
 今後の共闘のあり方、野党共闘に対する影響等をどう見ていらっしゃるか伺いたい。

【政調会長】
 安倍政権・安倍総理の憲法に対する余りに破壊的な考え方に、とにかくストップをかけなければならないという点では一致していると思いますので、その目標を達成するためにどういった形でお互いに戦っていくのがいいのか。「戦い」というのは、互いが戦うという意味ではなく、共通の相手に向かってどういった戦いぶりを展開していくのがいいかということは、これからのことなのではないでしょうか。

○日米安保条約に関するトランプ氏の発言について

【読売新聞・上村記者】
 アメリカ大統領選について、先日、トランプさんが共和党の候補指名を確実な情勢にしたが、トランプさんはこれまで米軍駐留経費の日本の負担増を求めていて、場合によっては米軍の日本からの撤退も言っている。こういう状況で日本の政治がそれにどんな準備をしておくべきだとお考えか伺いたい。抽象的な、想定の話になってしまうが。

【政調会長】
 やはりこういう時だからこそ、日米同盟というのがお互いの国にとって、そしてアジア太平洋地域の利益のために、平和と繁栄のために、極めて重要なものだとそれぞれの国の政治的立場にある人々が相互に確認し合うことは非常に大事だと思っています。
 そして、言わずもがなですが、在日米軍基地が、もちろん日本の利益にもなると同時にアメリカの利益を担っている面もあり、そしてアジア太平洋地域全体の利益を担っている面も十二分にあるのだということも含めて、揺るぎなく確認し合うことが非常に重要になってきていると思います。