枝野幸男幹事長記者会見

2016年5月10日(火)16時01分~16時20分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=RtWeCOu2vSI


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○熊本地震発生から1ヵ月に当たって

【幹事長】
 私から2点申し上げます。
 1点は、熊本の地震についてです。地震の発生から1ヵ月近くが経過いたしました。いまだ多くの被災者の皆さんが厳しい生活に直面しておられます。役場の庁舎が被災したことや人手不足から、仮設住宅への入居や支援金支給に必要な罹災証明書発行が遅れているなど問題もあり、政府においては一層の支援を進めていただきたいと、野党としても強く求めてまいります。
 この連休中にも、それぞれ自己完結で被災地に入り、状況を調べてきたり、あるいはボランティア活動を行ってくれた仲間が多々おります。そうした仲間の何人かからも昨日・今日と話を聞かせていただいておりますので、こうした報告やそこからの意見を今週中にも集約して、さらにこれを来週の補正予算の審議を含めて政府・与党に求めてまいりたいと思います。

○民進党ロゴマーク最終候補4作品を発表

【幹事長】
 もう1点はロゴマークについて。
 民進党の新しいロゴマークを先月、公募いたしました。全国から3676件の応募をいただきました。応募(作品)のレベルは非常に高いものでして、一方で、いいかげんなたぐいのものは極めて少なかった。多くの皆さんに真摯に応募いただいたことに感謝を申し上げます。
 この間、ロゴマーク選考委員会において、専門家の皆さんの意見を伺いながら絞り込みを行いました。大変困難な作業でしたが、最終候補として4案に絞り込み、本日の昼、党のホームページ(https://www.dp-koubo.jp/index.html)で公表いたしました。最終選考は党内投票で行うことといたしておりますが、それに先立って、ホームページを通じて一般の国民の皆さんからもご意見をちょうだいしたいと、既にホームページにアップしました。
 (HPの掲載には)二つの意味があり、一般の皆さん、どれがいいと思っていただけるのかというご意見を承りたいのと、それからこの(最終候補作品の)四案については、専門家の皆さんにご協力をいただいて、著作権等についてのチェックをかけております。とはいっても、こういう時代でございますので、専門家の皆さんもチェックし切れなかった部分が万が一にもあれば、お気づきのことがあれば、決める前にお知らせをいただければありがたいという趣旨を含めて、一般の皆さんからご意見を募っているところです。
 そうした皆さんの意見を踏まえつつ、最終的には党内投票で決めるという手続まで決めました。国会議員と内定候補者に1人当たり1ポイント、それから47都道府県連に対して1県当たり2ポイントで投票していただく。公認内定候補者と都道府県連の皆さんにはファックスで15日の日曜日までに投票していただきます。国会議員については、そうした声を踏まえた上で、来週の月、火、水には最終決定できるかなというような段取りで最終的な調整をいたしております。今月中旬にはということで、20日より前には最終決定ができるのではないかと思います。


■質疑

○民進党ロゴマークについて

【朝日新聞・高橋記者】
 ロゴマークの最終的な発表の方法は、改めて幹事長なり代表なりが会見されるような段取りなのか。イメージを伺いたい。

【幹事長】
 最終的なというよりも、ロゴマーク選考委員会で投票結果に基づいて内定するのが事実上の決定だと思います。そこで赤松広隆さん、江田憲司さん等から報告していただくというのが事実上の発表になるのではないかなと思います。

【共同通信・比嘉記者】
 細かい話で恐縮だが、国会議員は一斉に会場に集まって投票して、そこで発表とか、そういう形になるのか。

【幹事長】
 来週の月・火・水、予算委員会・党首討論等もあります。逆に本会議もあるようですので、代議士会・参議院総会等では地方からの投票結果とか一般の皆さんの声とかのご報告はした上で、投票の仕方は集まって一斉にやるとかいうことではなく、ということで今、最終調整をしています。

【朝日新聞・高橋記者】
 最終的な決定は単純にポイントなのか、先ほどおっしゃったように専門家の方から指摘があったらそれも考慮するのか、どういうふうに理解すればよろしいか。

【幹事長】
 基本的には、議員の皆さん、地方組織にも投票していただくのですから、それに基づいて判断をされるものと思っていますが、それ以外に考慮すべき重大なことが絶対にないとは言わないということだと思います。基本的に決めるのは、4人のロゴマーク選考委員会で決めていただく。ただ、こういうポイントの決め方も、その委員会で基本的には考えて決めていただきましたので、特段の事情がない限りはそれに基づいて決めると理解しています。

【フリーランス・堀田記者】
 先ほどロゴマークの件で「市民」という言葉は一切使わずに「一般の国民」とおっしゃっていたが、「市民」と「一般の国民」はどのように幹事長は区別されているのか伺いたい。

【幹事長】
 今日はあまり意識してしゃべったつもりはないのですが、一般的には「国民」だと思っています。自律した個としての意識を持った国民ということをことさら強調する時は「市民」という言葉を使うというのが、私の頭の中では一般的です。今日、特別意識をして使ったわけではないですが、一般的には「国民」だと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 その(「民進党」のプレートの)字が紺色だ。今までは黒だった。私は「紺がいい」と初めから言っていたが、紺を使うのか。

【幹事長】
 この「民進党」という文字のフォント、形については確定させました。色については実は確定させていません。
 逆に言うと、今回これ(最終候補4作品)の中に、紺で「民進党」と書いてあるのと、黒で「民進党」と書いてあるのに分かれています。これはたぶんデザイナーの皆さんのそれぞれの意識の意味があるのだと思いますが、これでおそらくAに決まれば基本は「民進党」という文字は紺がベース、他のに決まれば黒がベースなのだろうと思います。
 ただし、印刷物とかにする際に、例えばポスターなどの場合にはあえて白抜きのほうが目立ちやすいから、必ず白地に紺にしなければならないとか、白地に黒にしなければならないとかいうことは、かつての民主党においてもこだわりを持たずにやってきています。それから、例えばもともと白黒で印刷すると、黒にしかならないというケースもあります。そこに強いこだわりはありません。
 ただ、党のイメージカラー自体は、今回のシンボルマークを決めるプロセスの中で確定をしようと。それが文字の色に使うかどうかというのは、例えば仮にブルー系・紺系にする場合でも白抜きでやる場合もあるだろうし、白黒だから、あるいは印刷を何色刷りにするかによって黒を使うこともあるし、そういうレベルだと思います。

○安倍政権の賃金政策について

【日本経済新聞・学頭記者】
 賃金に関連して2点伺いたい。9日に3月の実質賃金が発表され、5年半ぶりの高い伸び幅になったが、生活実感は改善しているとは言いがたい状況だ。
 1点目だが、これまでの経済動向も踏まえ、金融緩和でデフレ脱却を図ることで賃金上昇につなげるというアベノミクスが描く道筋についてどう評価するか伺いたい。
 もう1点は、今、安倍政権も同一労働同一賃金、今まで民主党から訴えてきたことの検討に前向きな姿勢を示している。この姿勢について、アベノミクスとの整合性も含めてどう評価するか伺いたい。

【幹事長】
 まず実質賃金の統計そのものについては、これは私、政府にとって悪い数字の時も、1回の数字で何か物事を申し上げたことはこの1年余りないと思います。1回限りの数字を見てもいろいろな特殊要因が経済統計に入りますから、やはり3ヵ月、半年とトレンドで見なければいけない。トレンドで見た時に実質賃金が改善の方向に向かいつつあるという評価ができる状況では残念ながらまだないと思っていますし、だからこそ、生活実感がよくなっていないという思いを多くの皆さんが持っていらっしゃるのは、ある意味当然だろうと思います。
 それから金融緩和で上からつり上げて、実質賃金を上げていって、国民生活を上げていくというのは、これは開発独裁のような発展途上国の成功モデルであって、もちろん日本も戦後復興・高度成長の時代はそういう形で国民生活が向上していったと思いますので、経済の考え方として間違っているわけではないけれども、それはあくまでも途上国型の経済構造を前提にしている。成熟型社会において金融政策で実質賃金を上げられるかというと、日本経済の3分の2を占めている内需を刺激しないと賃金の持続的な上昇にはつながらない。内需を上昇させるには金融政策ではできっこないというのは、もう3年間で結果が出ていると思います。
 それから同一労働同一賃金についてですが、言葉だけが躍ってますが、じゃあ何をするの。同一労働同一賃金というのは、非正規の賃金を正社員と時間単価でいえばそろえる、そこに引き上げるとするものですが、そこのところはおっしゃっていないですよね。むしろ正社員の賃金を非正規並みに下げるというニュアンスがにじみ出ている。同じ言葉を使っても全く逆方向だと指摘しておきたいと思います。

○社会保障と税の一体改革について

【NHK・喜久山記者】
 消費税の関係で伺いたいが、今日、公明党の山口代表が会見で、引き上げは実施すべきだとした上で、その判断の時期については参院選の前にすべきだと。一方で自民党の谷垣幹事長は、先送りの判断は必ずしも参院選の前でなくてもいいのではないかという考えを示している。参院選で消費税の引き上げが争点になるかならないかに関わると思うが、幹事長の考えを伺いたい。

【幹事長】
 マーケットは、引き上げないのを織り込み済みで動いているのではないですか。

【NHK・喜久山記者】
 参院選でこの消費税の引き上げを争点にすべきかどうかは、いかがか。

【幹事長】
 まず、政府がどうされるのか。先送りをされるのか、されないのか。
 先送りをされないのであるのならば、こんな状況で本当に上げられるの?と。あるいは、あんなめちゃくちゃな据え置き税率とか、そんな状況で上げられるの?という話は当然争点になります。
 先送りするというのならば、1年半前の約束はどうなったの?ということが争点になりますよね。
 どちらの側面で争点になるかという違いだけではないですか。

○政治団体「国民怒りの声」の設立について

【産経新聞・松本記者】
 昨日、小林節氏が参議院選挙に向けて政治団体を発足させると表明した。こういった新たな団体ができることによって、反安倍政権票が分散するという見方と、逆に反安倍政権票自体のパイが拡大するという二つの見方があるようだが、幹事長のご所見を伺いたい。

【幹事長】
 政治活動の自由は全ての国民の皆さんに保障されているわけですし、特に小林先生のようなすばらしい知見を有されている方が自ら政治活動に参加されるということは、前向きに受け止めるべきことではないかなと思いますが、昨日会見された団体が今後具体的にどういう形になっていくのか等、まだ事実関係というか状況が十分に把握できていませんので、そうした状況を見きわめながら判断していくことになると思います。

○参院選・衆院選の候補者擁立について

【共同通信・比嘉記者】
 参院選の候補者は、今日午後に佐賀県連の候補者の発表があると思うが、これで32ある1人区がほぼそろったかなと思う。今回の1人区の擁立作業のスピードというか全体の評価と、それから衆院の候補者も現職を合わせて200人を超えてきたと思うが、このスピード感と評価について伺いたい。

【幹事長】
 候補者を決めるというのは、一般論としては早く決まれば決まるほどいいわけで、それは欲を言えば切りがありませんが、途中に新党結成というプロセスを挟みながら、率直に申し上げて、前回の参議院選挙あるいは前回の総選挙の時の逆風を考えれば、参議院選挙の擁立作業については玄葉光一郎選挙対策委員長、大変頑張っていただいたと受け止めております。
 それから総選挙に向けても、「ダブル選挙あり得べし」という状況の中で、現時点で200の候補者をそろえることができましたので、もしダブルになっても政権の選択肢として恥ずかしくない候補者の数をそろえる見通しが立ったと思います。これも欲を言えば切りがないですが、選対委員長のこの間の努力には敬意を表しています。

【共同通信・比嘉記者】
 32の1人区については、野党統一候補あるいはできる限りの協力をということで、かなりご苦労されたと思うが、この32人、まだ32人と言い切れないかもしれないが、見渡しての、2ヵ月後に迫った参院選をどう戦えるかという評価も伺いたい。

【幹事長】
 私の立場からは、全ての1人区で非自民候補が当選できるように頑張る、という以上のことは申し上げることのできる立場ではないと思います。