岡田克也代表記者会見

2016年6月24日(金)16時31分~16時53分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=xsmwYMrQVYA


PDF「20160624岡田代表会見配布資料(「英国のEU離脱について(談話)」」20160624岡田代表会見配布資料(「英国のEU離脱について(談話)」


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○「EU離脱」英国の国民投票結果について(配布資料「談話」添付)

【代表】
 私からは冒頭2点。
 第1点は、既に談話をお配りしております、英国のEU離脱についてです。
 先ほどテレビを見ておりましたらキャメロン首相の辞意ということも報道されております。EU離脱が確実になったことは非常に残念な事態だと考えております。これから世界経済に及ぼす影響、そして経済だけではなくて、EUの統一というものがこれを機にどうなるのか。大変深刻な問題であると認識しております。
 もう既に、一時的に為替や株式市場が大きく動いておりますが、それはそれとしてしっかり対応することが必要ですが、やはり重要なのは中長期的な対応であります。
 私、以前から、安倍政権のもとでこの3年6ヵ月、基本的にアベノミクス「3本の矢」という位置づけがされておりますが、基本は金融緩和ということも一助となって、それが全てではないのですが、一助となって円安・株高。それによって輸出関連企業の利益が大きく増え、株式も上昇したと。それが税収などにもはね返ってきたという、これがアベノミクスの実質的な姿だったと考えております。
 しかし、この金融緩和とか財政出動という一時的なカンフル剤に頼って、構造改革が先送りされてきた。あるいは、2度にわたって消費税の引き上げも先送りされた。つまり基本的に重要な問題は(対策が)何らなされないまま、3年半がたったということだと思います。
 その牽引車であった円安・株高が逆回転し出した。今回のこのEU離脱の問題も、さらにそれに拍車をかける。しばらく円高になる可能性が極めて高い。そういう中で、「アベノミクスの宴(うたげ)は終わった」と考えております。
 気がかりなのは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用する国民の年金資金であります。我々が強く反対する中で、株式の運用比率を2倍に引き上げたわけであります。既に5兆円程度の損失が出ていると言われる中で、今回のこの株の動きの中で、場合によっては年金(支給額)の引き下げにもつながりかねないような事態になるのではないかと、強く懸念しています。ここはもう一度、我々の忠告を受け入れて、株式の運用割合を元に戻すという決断が必要だと考えております。リスクの高い株式に年金の積立金(運用)を多く依存するということは完全に間違っていると改めて申し上げておきたい。
 いずれにしても、今なすべき当面の対応ということがありますが、やはり重要なことは中長期的にしっかりとした経済成長、持続的経済成長の道筋を描くことであって、それは「分配と成長の両立」。一時的に、膨らまし粉のように財政や金融で膨らませて、そのうち何かいいことがあると、こういう政策ではなくて、きちんと分配と成長を両立させる、そういう政策。「人への投資」や「所得の再分配」や、あるいは「働き方の革命」、そういったことを進める中で、安心して生活できる、将来の不安が少ない社会をつくっていく。そのことを改めて強調しておきたいと思います。

○選挙期間中の党首討論会について

【代表】
 もう1点は党首討論です。
 今日のTBSで、予定されている党首討論は終わりということです。しかし、それは到底許されないことで、選挙戦、まだ始まったばかりです。いろいろなことがこれからも起こり得る。そして議論していく中で論点も次第に煮詰まってくる。にもかかわらず、テレビでの党首討論が、自民党の申し入れによってこれから最後の2週間ないということは全く容認できないことです。
 先般の「報道ステーション」で、テレビ朝日のほうからは、ぜひそういうことを考えたいというお話が番組の中でありました。ぜひこれは安倍総理にも応じてもらわなければならないと思いますし、他のテレビ局も、結局、国民に対して判断の材料をしっかり提供する、それがメディアの責任だと思っておりますので、党首討論の第2弾をぜひ考えていただきたい。
 最後の2週間、一度も党首討論がないということは今までありませんし、極めて異常なことだと重ねて申し上げておきたい。


■質疑

○「EU離脱」英国の国民投票結果について

【朝日新聞・中﨑記者】
 世界経済の影響を受けて、「アベノミクスの宴は終わった」ということだが、「アベノミクスの信を問う」と政権側は今回の参院選を位置づけているが、参院選に与える影響はどのようにお考えになるか。

【代表】
 与える影響はこれから現実の問題として出てくるので、今、私が予想屋みたいに言うつもりはありません。

【読売新聞・中田記者】
 今日も安倍総理と菅官房長官が遊説のために地方に行っている。他の関係閣僚も、麻生財務大臣は東京にいたが、例えば外務大臣も東京にいないという事態になっている。安全保障上の危機管理とはちょっと話が違うが、こうした経済的な、株とか為替に大きな影響が出る局面、しかも今回は国民投票が行われることが事前にわかっていたわけだが、そういう中で官邸が不在になっていたことについてお考えを伺いたい。

【代表】
 北朝鮮のほうは、とりあえず可能性が薄くなったということだと思いますが、ご指摘のように今回のイギリスにおける国民投票はもう予定が決まっていた話です。その時に主要閣僚が、総理や官房長官を含めていないということは、こういう結果にならないとたかをくくっていたか、あるいは能天気だったのか、どちらかしかないと思います。
 やはり国政を司る、国家の責任者として、当然さまざまな大きな事態が予想されるわけです。現に株も非常に下がりましたし、為替も円高に振れたわけですね。さまざまな影響が出てきます。そういう時に無責任に、責任ある立場の人が官邸にいない、東京にいないというのは、私には理解できないことです。

○選挙期間中の党首討論会について

【司会・辻元清美役員室長】
 それでは2点目、テレビでの討論会等について、皆さんいかがでしょうか。

【代表】
 「報道ステーション」は、(再度、党首討論を行うことを)提案されました。あの後(放送終了後)の出来事は、皆さんの多くは目撃されたと思いますが、(終了予定時刻を)1分間が超過して、総理が若い司会者のところに行って、かなり言葉荒く目の前でわめいたというのは、ちょっと私はびっくりしました、「これが総理大臣なのか」と。しかもメディアに対して。本人達はしっかりしていますから、プレッシャーを感じなかったと思いますが、「あのやり方はないよな」と思いました。
 そしてテレ朝、これは総理が出てこないとできないということになるかもしれませんが、ぜひ正式に申し入れをしてもらいたいし、他局も、2週間も(党首討論が)ないというのは、それは本当に罪なことというか、メディアとしての責任をぜひ果たしていただきたいと、重ねてお願いしておきたいと思います。

○年金積立金の運用について

【フリーランス・宮崎記者】
 GPIFに関して、年金支給額の引き下げになりかねない事態ではないかとおっしゃった。年金支給額の下げに言及されたのは私が聞く限り初めてだが、今月さまざまな発信があった中で、代表自身がそれに言及されたのは初めてか。

【代表】
 これは政府の国会答弁に基づいて私は申し上げたわけです。そういうことはあり得る、という答弁だったわけですね。塩崎厚労大臣でしたかね。

【IWJ・ぎぎ記者】
 EU離脱と党首討論に絡めた質問だが、EU離脱で株式市場が大きく動いている中で、先ほどの談話の中にもあったが、株式に投入された国民の年金がどうなっているかというのはとても懸念されることだと思う。問題なのが、毎年政府が7月の頭に公表している年金の損益額を、今年は選挙の後の7月の終わりに公表するという、この事実を知っている国民はあまり多くないと思うが、今夜の党首討論でそれを指摘するつもりはあるか。

【代表】
 何を話すかは私が決めることです。
 ただ、前回の記者クラブでの議論の中で、たしか小沢一郎さんがこの問題を取り上げて質問しています。公表が遅れるのはおかしいじゃないかと。総理はそのことについて全く答えませんでしたね。私は、司会がそのまま放置したのも首を傾げましたが、(安倍総理は)全く関係のないことをお話しになって逃げた。そのことは見ていた方はわかったと思います。

○参院選争点「憲法」について

【フリーランス・宮崎記者】
 NHK「日曜討論」での最後の1分間の総理のあわてふためき方に関して伺いたい。総理は「今回の参院選は消費税の先送りという『新しい判断』をめぐり信を問う。連立与党が改選で過半数61を取れるかどうかの戦いだ」という趣旨のことを言ってきた中で、最後の1分で、司会の島田解説委員が「1月10日に、このスタジオで参議院選挙では憲法改正に前向きな勢力で3分の2を構成するとおっしゃっていた。あの考えは変わったということですか」と。総理は随分あわてられ、「まだ決まっていないんですから。だって何条を変えると決まっていないんですから」と言うシーンが生放送された。
 総理は真意を見透かされてあわてられたのだろうと、憲法の改正・3分の2勢力確保が最大の狙いであること、またおそらく9条であろうと、また単に戦力の不保持ではなくて、侵略戦争ではないが集団的自衛権戦争まで書き込みたいのではないかと、私は見ていてそのくらいまで想像した。「改憲勢力3分の2の確保」が総理の狙いというのは間違いないと思われるか。

【代表】
 私は常に申し上げています。  さきの(国会での)党首討論で、憲法の平和主義の意味を問うたのに対して、「侵略戦争をしないことだ」とおっしゃいました。これは極めて重要なことで、今までの考え方は専守防衛、海外で武力行使しない、これが憲法の平和主義だったはずです。総理は「宮沢総理もこう言っている」とか言われましたが、宮沢総理も、海外で武力行使をしないということが憲法9条の意味であると述べられていたことを思い出します。
 侵略戦争をしなければ構わない。確かに自民党の憲法改正草案には、自衛権の行使を妨げない(「自衛権の発動を妨げるものではない」)と書いてありますから、そういうことになるのかもしれません。ということは、かつてのイラク戦争やアフガン戦争、これは侵略戦争だと総理はお認めにならないと思いますので、そういう戦争があった場合に自衛隊が出ていって武力行使する、米国とともに集団的自衛権の行使で武力行使することがあり得るということを、間接的に総理は認められたのだと思います。ここはぜひ総理と議論してみたいと考えています。

【IWJ・ぎぎ記者】
 憲法改正の関連だが、3分の2議席を取らせない、それを目標に掲げているが、中でも憲法9条の改正に強い危機感を示していると思う。今年1月、岡田代表が国会で安倍総理を追及した緊急事態条項、これも国民の人権を制限できるという、憲法の前提そのものを覆す内容のものだが、民進党として緊急事態条項よりも9条改正をより問題視されている理由を伺いたい。

【代表】
 それは昨年の、「集団的自衛権の限定的な行使」から始まって、一連の流れの中で総理が最も望んでいることだと確信しているからです。

【フリーランス・宮崎記者】
 総理は9条に、集団的自衛権の戦争をできる、と書き込みたいと考えているとお考えか。

【代表】
 「集団的自衛権の戦争」という言葉があるのかどうかわかりませんが、自民党の憲法改正草案は、第1項の規定は自衛権の行使を妨げない(「9条2項 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」)と。その「自衛権」というのは、国連憲章にいう「集団的自衛権」ですね?と私が確認したところ、それに対して「そうだ」と。既にここは明確です。

○参院選・序盤の情勢調査結果について

【毎日新聞・松本記者】
 今日、各社の序盤の情勢調査が出て、「改憲勢力で3分の2をうかがう勢い」というところが多かったが、この点についての受け止めをお願いしたい。

【代表】
 各社それぞれ確信を持って調査されているのだろうと思いますが、後から振り返ると当たらないことが非常に多いので、私は数字についてはコメントいたしません。
 ただ、3分の2ということになると、まさしく憲法改正に手がかかるということでありますので、そのことは国民の皆さんにしっかりと訴えていかなければいけない。まず3分の2を阻止するということを、しっかり訴えていかなければいけないと思っています。

【朝日新聞・中﨑記者】
 情勢調査の中で、民進党の党勢が伸び悩んでいる結果が出ていたところも多かったと思うが、特に複数区で苦戦が見られた。序盤だが、今後、選挙戦を戦う上でテコ入れしていくこととか、あるいは複数区での野党4党の関係性を見直す考えがあるかどうか伺いたい。

【代表】
 ですから調査結果は、例えば前回の総選挙を見てください。非常に精度が低い。それを前提に私がお話しすることはありません。まず3分の2を阻止する。そして与党の過半数、これを打破する。そういった考え方でしっかり戦っていきたいと思います。

【産経新聞・松本記者】
 以前にもこの場で伺ったが、確認も含めて伺いたい。先ほど「3分の2となると憲法改正に手がかかる」という話だったが、3分の2を取らせないというのは、自公に3分の2を取らせないという意味なのか、それとも自公プラス一部の野党も含めた改憲勢力に3分の2を取らせないという意味なのか。そうであるならば、「改憲勢力」の定義とは何なのか伺いたい。

【代表】
 そういう細かい議論にこれは入っていきますので、私はザクッと「3分の2を取らせない」ということを言っているわけです。基本は与党です。しかし、いろいろな、一人ひとり見ていくと、9条の改正に積極的な人も与党以外にもいるかもしれません。おおさか維新の会などは「9条」とは言っていない。そういうことを細かく言っていても仕方がないので、私としてはまず3分の2を取らせないということを申し上げている。

【フリーランス・宮崎記者】
 確認だが、今日の新聞の情勢報道で「改憲4党で3分の2」という表現を使った報道がある。この「改憲4党」という表現に関して、選挙の間はそれで既成事実化してしまうかもしれないが、何か反論というか意見があったら伺いたい。

【代表】
 特にコメントはありません。それぞれ社の事情で、お考えで、やっておられることでしょうから。

○参院選・野党連携について

【IWJ・ぎぎ記者】
 野党共闘に関して、これまで街頭で演説されて、野党共闘に踏み切ったその手応えは今どのように感じておられるか。

【代表】
 もちろんいろいろな演説をしていく中で、我が党の支持者以外の幅広い層が来て、そして候補者の演説を聞いていただいている、そういうことは各方面であることですので、幅が広がったなと思っています。特に若い世代とか、あるいは子どもを連れたお母さん達とか、今日のいわきでもそういう方々にも来ていただいていましたが、非常に心強いことだと思っています。

○東京都知事選挙について

【TBS・牧野記者】
 先日、幹事長・書記局長会談で、「後出しじゃんけん」とかにこだわらずに、候補者を速やかに決めていこうということで一致しているが、その後の検討状況を伺いたい。

【代表】
 都知事の話は、鋭意努力中です。