枝野幸男幹事長記者会見

2016年7月12日(火)16時45分~17時20分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=S7r2-XmF1pk


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○参議院選挙終了後の対応について

【幹事長】
 今日は党の常任幹事会があり、今、鳥越俊太郎さんの件を含めた4野党幹事長・書記局長会談がありました。
 参議院選挙の結果については、当日の夜の番組等でもお話ししましたし、その後、代表も会見をしておりますので、改めて私からつけ加える必要はないかなと思います。
 ただ、大変頑張っていただいたのに惜敗された皆さんの今後について、玄葉光一郎選対委員長を中心に、既にいろいろと、できるところから順次対応をし始めているところです。
 それから選挙の総括については、まだ確定させていませんが、各都道府県連で8月1日までに総括していただいて報告していただき、それを踏まえながら、それまでに本部ベースでもたたき台をつくって、国会が(8月)1日の週と聞いておりますので、そこで整理ができればと思います。

○東京都知事選挙 鳥越俊太郎氏が野党4党統一候補で出馬

【幹事長】
 都知事選挙についてでございます。先ほど4野党幹事長・書記局長会談のところで申し上げましたとおり、民進党として鳥越俊太郎さんを全面的に、全力を挙げて応援するということで決めさせていただきました。
 推薦とか支持とか、そういう形式については常任幹事会で、代表と、私と、都連会長が本部の常任幹事でもございますので、3人にご一任をいただくということでご了解をいただいています。最終的に鳥越さんの出馬が確定してからまだ24時間たっておりませんので、立候補の手続書類に始まってポスター、選挙公報その他、大車輪でやっておりますので、形式よりも実態として選挙をきちっと走らせて、何とか勝ち抜くということでやっておりますので、いつ形式をどうするかということについてはまだ決めておりません。
 この都知事選挙の候補者擁立については、この間、松原仁都連会長を中心に都連が大変なご努力をいただいたと感謝しております。
 いろいろな意見・立場のある中で、一つは選挙中から申し上げてまいりましたが、自公両党が推した知事が2代にわたって金銭スキャンダルで辞めた、この自公中心の都政を刷新するという観点では、野党4党プラスアルファの構造で都政を刷新するのが、知事選をどう戦うかということを含めて、これが一番望ましい姿であると。
 それから、国政と都政は違うと言いながら、ほぼ同時期に並行して進む参議院選挙の1人区で野党4党でやっているということがありますので、特段それと食い違う地元事情がなければ、その枠組みを大事にしていきたいということの中で、松原会長が、その枠でやっていくという基本線で都連内を主導していただいて、ここまで持ってきてくださいました。
 昨日は、都連が古賀茂明さんに出馬要請をすると、その後に鳥越さんの話ということになって、都連には結果的に大変ご迷惑をおかけすることになって申しわけなく思っております。もちろん古賀さんにも大変申しわけなく思っております。鳥越さんの出馬の意欲の表明が昨日のことでございましたので、それに先立っては、古賀さんで何とか4党まとめる方向で頑張らざるを得ないかなということで、私のほうも了解をして都連として動いたわけでありますが、その直後に鳥越さんから強い意思を示されて、古賀さん自身も「鳥越さんが出るなら」ということでご理解をいただけたということで、若干、昨日は私だけではなく幹部、いろいろなところで手順・段取りを踏むのに忙しかったわけでありますが、そういった経緯にもかかわらず古賀さんは気持ちよく鳥越さんを応援していただけると。都連としても、「そういうことであるならば、一度要請した経緯はあるけれども、本部の判断に従う」と言っていただきましたので、そうした意味では松原都連会長の大局的見地の判断に感謝する次第であります。
 選挙は候補者を擁立するのが目的ではありません。大変忙しい、時間のない中での準備になりますが、とはいえ、本人の持っている力、候補者の力が強いですから、何とか勝ち抜くために我々も重要な役割・責任を果たしていきたい。


■質疑

○東京都知事選挙について

【NHK・喜久山記者】
 都知事選の関連で、これまでも民進党からいろいろな候補者の名前が出ていたが、鳥越さんは、古賀さんも含めて他の候補者とどこが違って、何が強みだと党として判断して、今回支援することにしたのか。

【幹事長】
 従来の、自公による2代の都政に対して、これではいけないということを明確に示す姿勢が、もちろんいろいろ名前が挙がった方の中にもそういう明確な姿勢の方は少なからずいらっしゃいましたが、非常に多くの都民の皆さんに既に理解をいただいている方ではないだろうかということ。
 それからジャーナリストとして大変長い経験と、それに基づく見識をお持ちであるということから、都政についてしっかりと運営していける力をお持ちではないだろうかということ。
 同時に、大変長いキャリアをお持ちの方でございますので、いろいろな経緯の中で、幅広い皆さんとのネットワークがあると。「よく存じ上げていて、都知事にふさわしい方なので、この方ならばぜひ推したい」という方が、スタートの時点で非常に幅広くいらっしゃる。それだけの力がある方だと。
 こういったことの総合的な判断です。

【日本テレビ・古谷記者】
 これまでも鳥越さんに対しては何らかのアプローチはしていたと思うが、なかなかウンと言ってくれなかった中で、急遽、昨日になって意欲があると聞いた時に、幹事長は率直にどのように思われたか。

【幹事長】
 ご本人からそういうお話があったということが私のところに報告がありまして、率直に申し上げて、「それはありがたい。大変いい候補者が意思を示していただけた」という気持ちと、結果的に都連にご迷惑をかけたし、古賀さんにもご迷惑をかけているわけで、そうした状況にゴーサインを出しておりましたので、「さあ、どうしようか。それは困ったな」というのが正直なところでございましたが、後者の「困ったな」というのは、あえて言えば内側の話でありますので、これはよりよい都政をつくるという観点で「よかったな」という思いに基づいて、昨日、半日走ったということです。

【日本テレビ・古谷記者】
 先ほど幹事長は鳥越さんを大変評価しているような話があったが、この選挙の勝算は現段階でどのように考えられるか。

【幹事長】
 正直言って候補者の顔ぶれがまだ固まっていないと思いますし、それから具体的な政策をどう掲げて戦っていくのかということは、実はこの間も話をしてきていますが、公示日までにしっかりと決めて、選挙公報等を準備しなければいけませんので、という状況がありますし、それから他の候補者の方がどういったことを訴えて、どういう戦いをするのかまだ見えていません。ただ、十分に勝ち得る候補者であると思っているということです。

【IWJ・安記者】
 知事選なので、国政選挙ではない。反安倍政権ということでの対立軸はわからなくはないが、民進党として東京都の問題としてどういったことを争点化したいのか。あるいは、東京都の問題として、どういった問題を重要な課題だと考えているのか。このあたりを伺いたい。

【幹事長】
 もちろん、選挙で何を重点的にどう訴えるかというのは、これは候補者本人の、議院内閣制ではありませんから、大統領型ですから。
 ですが、私どもとしては、一つは子育て支援。そして老後の安心。保育所や介護、こうした部分の不足というのは、もちろん地方における難しさもありますが、非常に量的な面、質的な面を含めて、東京においては急速に整備していかなければならない大変大きな課題を抱えている。残念ながら国政のベースでは、そうした社会保障的な観点よりも、それ以外のところに安倍政治というのは重点を置いている。これは否定できないだろうと思います。そうしたことの中で、もちろん国政全体を変えていくことも大事ですが、それぞれの地域において、我々の言葉で言えば「人への投資」をしっかりと重視する運営をしていくということが進んでいかないと。逆に言うと、国政を我々が担っていたとしても、なかなか実際の地域における保育所の増設とか、介護施設、介護サービスの増強というのは地方政治がしっかりとやっていただかないといけない。そういう意味で鳥越さんには期待している点が大きいということが一つ。
 二つ目には、やはり貧困の問題です。これは鳥越さんご自身もおっしゃっていたようですが、我々も、格差の拡大が消費を冷え込ませて、当事者にとっての問題に留まらず、日本社会・日本経済全体の大きな課題であると。そうしたことの中で、特に都市における貧困・格差というのは、格差の“上”もそこそこいるだけに、より深刻度が大きい。なおかつ、都市部においては本当に目に見えない形で潜ってしまうという問題もある。この貧困・格差の問題に対して、しっかりと下支えをしていく都政を進めていただく。大きな予算配分は国の仕事ですが、こうした貧困・格差に対する対応も地方が多くの具体的な実務を担っていますので、やはり地方政治がしっかりと進めていただくことを期待しています。
 三つ目は、鳥越さんも「3分の2」の話をしておられたようですが、私はカイケンの「カイ」は破壊の「壊」、「壊憲」だと言っているのですが、表現の自由とか、教育における政治介入を許さないとか、こうしたところ、残念ながら地方によっては、国における「壊憲」の流れに呼応したような非常に強権的な、強圧的な方向にそうした問題が向かっている地域は少なくありません。それに対するアンチテーゼといいますか、違う軸、人権や自由や平和を大事にする行政というか地域づくりを進めていただきたい。そのことについては、そういう意欲がにじみ出ていた出馬会見だったのではないかと期待しています。

【日刊スポーツ・中山記者】
 先ほど、準備は急ピッチで進めていると伺ったが、例えばポスターの写真とか、そういうものはある程度準備はされているのか。

【幹事長】
 2週間以上ある長い選挙でもありますので、おそらくポスターを途中で貼りかえる前提で、まず第1弾は既に作業を始めています。何とか告示日に間に合わせたいということで、今、最大限に努力している状況です。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 鳥越さんは、参院選の結果に危機感を覚えたということと、参院選とは逆の判断を国民に求めたいともおっしゃっていて、古賀さんとも一緒に出てきたということは、安倍さんの「この道しかない」、それはノーだというメッセージだったと思う。そういう意味で、この都知事選は鳥越さんが出たことで、やはり国政と二重映しというのか、そういう選挙になると。そこはどうご覧になるのか伺いたい。

【幹事長】
 これは政治家の仕事というよりも、評論家の先生方や学者の先生方が本来分析してお話しになることかなと思うのですが、まさに国がある方向に進んでいる時に、「いや、それとは違う意見がある」ということで地方自治体・地方公共団体がその方向とは違う地方行政をしっかりと行っていくということが国政にも影響を与えていくという、国政と地方の政治のやり取りというのは、この間も戦後政治の中でいろいろと繰り返されてきたと思っています。
 当然、知事に当選しても、できることは地方行政でありますが、先ほど私が申し上げたとおり、例えば教育の現場に対する政治介入の問題とか、それから例えば貧困等に対する姿勢とか、いろいろなところで安倍政治の向かっている方向とは違う地方行政をしっかりと、しかも首都・東京で行っていくということで、国政に対しても反射的な効果はあるだろうということでは、国政の観点からも、特に首都という非常に注目され影響力の大きいところで、先ほど私が申し上げたような「人への投資」や貧困・格差の問題、そして自由や人権を大事にする行政というものを進めていただくことは、国政にとっても大変大きな意味があるんだろうなと。ただ、あくまでもそれは都政の中で進めていくということであると思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 都知事選の候補者について、昨日4時半から都市センターで、松原都連会長や石毛都議を含めて、古賀さんに出てくるようにとお願いをした。それはテレビ朝日だけは古賀茂明がいるのでやらなかったが、ニュースで全部流れた。そうすると一般の都民としては、要請しているのだなということがわかっていると思う。それで今日こんな結果になったが、そうすると枝野さんとか岡田さんは、鳥越さんに前から出てくれるようにとお願いをしてあったのか。

【幹事長】
 鳥越さんには、私が直接はしておりませんが、今回知事選挙になるということになった早い段階で、民進党として「出馬の意向はないか」という話をしたと報告を受けておりますが、その時点ではちょっと可能性はないということで、事実上断念していたという状況です。

【フリーランス・堀田記者】
 それで都連に任せて、松原さんを中心としていろいろな人を人選で、昨日の4時半に都市センターでお願いしたということになったわけですね。
 その後で、その4時半以降に、鳥越さんのほうから、出てもいいよということが枝野さんとか岡田さんにあったのか。

【幹事長】
 あまり細かい時系列を申し上げる種類のものではないと思っていますが、まず、都連に任せてではなくて、都連が古賀さんに要請したのは私も了承、了解をした上でやっております。
 ただ、その後で鳥越さんが出馬の意思を示されたので、ある方に要請をしておいて別の方を推すということは、それは要請をしてもらった、窓口になった松原さんにも、要請をした相手である古賀さんにも大変失礼な話であるので、昨日の夕方以降はその両者に、「こういう経緯で、実は、一度要請をしてもらったし要請を聞いてもらったけれども、ご理解いただけないか」ということを昨日の夜やったと。
 その上で、古賀さんがご了解、ご理解をいただけたので、要請した側としても、つまり都連としても、それは「相手方がそういうことであるならば」ということでご納得いただいたと。こういうことです。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 参議院選の総括とも絡むが、北海道で鉢呂吉雄さん、それから神奈川で真山勇一さんと、70代が大変頑張って、今回、鳥越さんも76歳で、健康不安を押してというか。やはり今の野党の共闘に70代、シニア層がアベノミクスというか安倍政権に対して逆襲というか、野党側にシニアの追い風が少し吹いているという感じがしているのかどうか、その辺はどうご覧になっているか。

【幹事長】
 鳥越さん、かつて大きな病気をされていますが、今そのことについての直接な不安はないということでございます。
 もちろん年齢は、私も40代で参議院選挙の幹事長をやった時と今回では全然違いますので、それはもちろんありますけれども。鉢呂さんが戻ってこられるとか、真山さんが議席を保たれた。我が党、実はそのお二人などが通らないと、逆に年齢構成がいびつだと私は不安に思っていました。というのは、シニアが今回何人もご勇退をされていて、もうちょっとシニアの方が頑張っていただいたほうが党全体としてのバランスがいいと思っていましたので、そういった意味では経験も年齢も重ねておられるお二人が勝たれたのは非常によかったと思っています。
 「シニア層の逆襲」とかなんとかというのは、これは政治の側が何か言う話ではなくて、それこそ社会学者の先生方なのか評論家の先生方なのかが分析される、社会現象のことではないかと思います。

【IWJ・安記者】
 今、鳥越氏以外にも宇都宮さんが立候補を表明しているが、前回の都知事選のある種の教訓として、政権与党に対抗していく野党側、リベラル勢力が、候補者が割れて敗れたということが一つの教訓としてあるかと思う。今後、候補者の、反安倍勢力というか、一本化について民進党として何かお考えというか、期待するところはあるか。

【幹事長】
 先ほど、鳥越さんと一緒に4党の場で申し上げましたとおり、野党4党として、申しわけないけれども宇都宮さんではない方を4党で一致して推すことについては、昨日2度にわたってご報告申し上げて、そして立候補の自由は皆さんそれぞれあるわけですから、できれば協力していただきたいということを申し上げました。
 ただ、立候補の自由はあるわけですから、特に政党が政党以外の方に何か申し上げるというよりは、今の全体構造を大局的な見地でご判断をいただければありがたいなと、期待をしているという状況です。

【フリーランス・堀田記者】
 宇都宮さんが今後どのように出てくるかはわからないが、宇都宮さんは昨日正式に立候補声明をしたわけで、宇都宮さんからアプローチがない以上、こちらからやるのは非常におこがましい感じを与えるが、そういったことについてはどうか。

【幹事長】
 まず、私、申しましたとおり、これは私どもが一本化を無理強いするというような話ではない。ただ大局的見地からご判断をいただけるとありがたいと期待をしていると、こういうことです。
 ただ、先に立候補表明したからとかいう後先論はちょっと別で、じゃあ例えば野党4党でやっていこうという話がありましたが、民進党が、とても共産党が乗れないような候補者を出馬表明させて「これでやってください」という話になるかといえば、これはならないわけなので。この間4党は、4党で一致して推せる方はどなたかと、いろいろな名前が浮上する中で、お互いに譲り合って努力してきたというのが4党の間の話であるということなので、後先論はちょっと違うと思いますが、4党でこれで行くんだからといって、どなたかに何か無理強いをする話ではない。あくまでも期待するということです。

【フリーランス・西中記者】
 じゃあなぜ宇都宮さんではだめなのかということを、説明をお願いしたい。

【幹事長】
 どなたがよくて、どなたがだめというのは、この間、我が党からいろいろな名前が挙がってきた方について一々、各党ともコメントはしていません。トータルで、4党で一致して推せる方はどなたかということの中で、その中に宇都宮さんが入っていなかったということです。

【フリーランス・西中記者】
 今回の参議院選挙で、沖縄では伊波洋一さんが大勝した。それから原発の問題で言えば、鹿児島県知事選で原発再稼働に非常に慎重な方が知事に当選した。そういうことで言うと、都知事選でも、これは地方自治体と深い関係があると思うが、米軍基地や、原発(電力)の消費地である東京都で、知事選でそのことを争点にすべきだという考えはあるか。

【幹事長】
 まず、これは先ほど申しましたが、議院内閣制ではないので、大統領型の首長選挙なので、政党が何か公約を示すとかいう話ではない。ただ、鳥越さんは野党4党の各党の政策をご理解いただいて、それぞれが応援できるような範囲の中で、具体的な政策を作られてお示しされるのではないかなと期待しています。

○憲法をめぐる議論について

【朝日新聞・高橋記者】
 憲法について、安倍総理は憲法審査会で議論を進めたいというスタンスだが、改めて民進党の考えと、一方で与党側は一定の数を確保しているので議論を強引に、と表現したらいいかわからないが、進めてくる可能性もある。それについてはどのようにお考えか。

【幹事長】
 私どもは、憲法の議論はやりましょうと言っています。立憲主義とは何か、憲法とは何か、まずその点についての共通認識ができていないので、その共通認識がないままに他の議論はできっこない。これは当然ですよね、ということを申し上げていきます。

【朝日新聞・高橋記者】
 憲法についての考え方は党内でもいろいろな意見があるかと思う。立憲主義の破壊ではないとおっしゃっている方もいて、その場合、与党側は民進党の中の改憲に意欲的な人達を巻き込んで、という議論も出てくるかと思うが、それについてどう思うか。また、その姿勢が代表選の争点になるとお考えになるか。

【幹事長】
 自民党と公明党と、与党を連立で組んでいながら、全然意見が違うことについては、皆さんあまりご指摘にならないのに。我々は、立憲主義の理解については党内共通しています。
 同じような質問をぜひ自民党と公明党に対して、「連立を組んでいるのに、憲法観が違うじゃないですか」ということを聞いてください。そちらのほうがよっぽど違っていると思いますから。

【共同通信・比嘉記者】
 弊社の緊急世論調査で、自公それから改憲勢力と言われる人たちが3分の2の発議の態勢を整えたことに関して、安倍政権下で憲法改正を「しないほうがいい」という人が「したほうがいい」という人を少しだけ上回り、4割以上が「わからない」と戸惑いの声を上げている。この参院選を振り返って、だいぶ憲法改正についても訴えてきたと思うが、民意が「わからない」という不安というか、そういうものを覚えていることについて一言お願いしたい。

【幹事長】
 それは実際に選挙の途中については、なぜ憲法改正が必要で、何をどう変えたいのか、一切お触れにならなかった。ところが選挙が終わった途端に、「公約に書いてあって、それを前提に支持してもらった」というような話では、国民の皆さんは理解のしようがないですよね。我々の考え、意見が違うのだったら、自民党さんは「我々はここをこういう理由で変えたい」と、それを言わなければ、国民の理解が広がるはずがないということです。

【共同通信・比嘉記者】
 昨日のテレビ番組等でも、自民党のほうは、いつも言っていることだとは思うが、「民進党としての考えを示してくれ」という議論に持っていこうとしているように見受けられる。これについて、いつも「今、緊急に変える必要はない」とおっしゃっているが、この点ももう一度お願いしたい。

【幹事長】
 まず自民党自身が実は示していないんですよね。要するに「たたき台」と称して、「こだわらない」というものを出しているので、じゃあ何を、どこをどう、経済や少子・高齢化をほっぽらかしてまでも、横に置いてでもやらなければならないのは、どういう理由で、どの条項なのか、自民党も示していない。
 で、我々としては、あんな改正草案に変えるぐらいだったら今のほうがずっといいと、これが対案だと申し上げているということです。

○野党連携について

【共同通信・比嘉記者】
 弊社の世論調査で、野党共闘について聞いたところ、賛否がきれいに分かれた。ほとんど拮抗している。ただ、選挙結果を見て賛否が拮抗しているところを見ると、野党共闘に期待している人が国民の半分という言い方もできると思うが、この点について伺いたい。

【幹事長】
 それはぜひ調査した皆さんできちっと分析していただいたほうがいいと思うのですが、そもそも、今回自民党や公明党や維新の党に投票した人に聞けば、それは「反対」に決まっているわけで、今回野党の側に投票した人、あるいは投票しなかった人を分母にしないと意味がない世論調査だと思います。

【毎日新聞・朝日記者】
 野党共闘の話だが、参議院選挙で野党共闘をし、都知事選でも野党共闘するとなると、その流れとして衆議院選挙もそういうふうになるのかなと思う。9月の代表選では野党共闘をめぐっても争点になるかと思うが、次期衆議院選に向けて野党共闘はどうお考えか。

【幹事長】
 今回の結果をきちっと分析しないと。「できる限りの協力」と言っているので、「できる限り」というのはどこまでになるのか、それはやはり参議院選挙と衆議院選挙は違う。そのことは逆の意味で、参議院選挙なのだからすべて一致している必要はないと、政権選択選挙ではないということを申し上げてきたので。それは今後の検討課題です。

○参院選の結果がTPP論戦に与える影響について

【北海道新聞・津田記者】
 参院選の結果について伺いたいが、民進党は東北の1人区で5勝1敗、北海道で2議席を獲得した。ここは農業が盛んな地域だが、今後、臨時国会でTPPが焦点になってくるかと思うが、この勝利がTPPの論戦に向けてどのような影響を及ぼすか、お考えがあれば伺いたい。

【幹事長】
 農業の盛んな地域でも大差で負けた地域もあるわけなので、それだけが要因とは言えないと思います。それぞれの地域において、地方議員の方がどれくらいいらっしゃるかとか、いろいろな要素はあると思いますが、TPPが大きな要素であったのは間違いないと思っています。
 我々は明確に、情報公開もできていないし、情報公開ができないということは国会決議をちゃんと守ったのかどうかわからないようなTPPには賛成できないと。この姿勢は自信を持って訴えて、国会の中でも論戦を挑んでいきたいと思っています。