民進党は11日夕、党代表選挙管理委員会(神本美恵子委員長)主催で全国で行ってきたブロック候補者集会の最終回となる東京・南関東ブロック集会を東京・豊島区内で開いた。約500人の党員・サポーターや自治体議員らが会場を埋め、蓮舫、前原誠司、玉木雄一郎の3候補の訴えに耳を傾けた。集会に先立って池袋駅西口での街頭演説や共同記者会見も行った。
集会では各候補がそれぞれの所信を表明し、続いて各候補が他の2候補に質問した。前原候補は「年金の一元化の実現に向けてどういう考え方に立つか」、玉木候補は「安倍総理に対案がないなどと批判されないようなアベノミクスに代わる民進党の財政政策はどう考えるか」蓮舫候補は「来たる東京都議会議員選挙に向け小池都知事との距離の持ち方と選挙勝利への施策」を質問をし、各候補が考えを表明した。
会場参加者からの質問コーナーでは、「旧民主党時代はバラバラという指摘を受けたが今回の代表選は終わればノーサイドで今後の民進党は一致団結して進むか」「参院選・東京都知事選を見ていてマスコミの自民党と民進党との取り上げ方には不公平感を覚える。こうした報道のあり方をどう見るか」「職業訓練のあり方をどう考えるか」「自治体によって差がある子どもの医療助成をどう考え、どういう制度にしていくべきか」「自民党の憲法草案にある緊急事態条項の危険性をどうとらえるか」「野党共闘のあり方」「女性議員を増やすための方策をどうするか」等、参加者が次々に質問し3候補が答えた。
締めくくりの発言で蓮舫候補は、子育ての不安、教育格差、雇用不安、貧困のために進学をあきらめたり結婚したくても結婚できないなどの不安、老後の不安などが広がる社会のあり方に懸念を示し、「この悪循環が安倍総理のもとで『自己責任』の名のもとに放置されてきたことに怒りさえ覚える」と語った。また、「女性が輝く社会」と銘打って安倍総理が女性政策を打ち出したとき期待したが1年後に「1億総活躍社会」が打ち出されるのと同時に女性政策は鳴りを潜め、育児や介護もハコモノだけは整えるが制度の拡充は先送りされ結局は家庭に負担が求められている安倍政権のやり方を問題視した。「男でも女でも自分らしく生きられる社会を作る政党になりたい。そのトップに立ちたいと強く思う」と述べ支持を訴えた。
前原候補は、先の参院議員選挙で関西以西で当選した議員が4人しかいなかったことに言及し、「今回の民進党代表選挙は最後になる可能性がある。野党第1党の民進党は最後になるかもしれない。安倍さんは自分の思ったときに解散する。そのときにわれわれは焼野原になる可能性がある。それぐらいの危機感を持たなければならない代表選挙だと思っている」「しかし安倍さんに任せていては日本が焼野原になる。勝手に金融緩和をして日銀に400兆円もの公債を買わせて今だけいいという政治を続けている。こんな暴走はわれわれが止めないと誰が止めるのか。民進党は本当にこれが最後のつもりで、皆さんの心を一つにして、私は先頭に立って安倍総理の暴走を止めるために頑張る」と表明した。
玉木候補は「民進党を根っこから変えたいというのが立候補した一番の理由。民進党を変えて作りたい社会とは、人と人が支え合うことが力になる社会だ。私は学生時代、陸上の10種競技の選手だった。リオ・オリンピックで特に感動したのは男子400メートルリレー。日本には9秒台で100メートルを走る選手が1人もいないのにその4人が集まって走って世界2位になった。私たちは素晴らしい先輩や仲間や同僚に支えられ、自治体議員、党員・サポーターの皆さんもいる。その力を足し合わせて、足し合わせた以上の力を出せる民進党に変えていきたい。その民進党がつくる日本社会は人が支え合うことによってものすごい力を発揮する、希望にあふれた日本を作り出す。その先頭に立つ」と訴えた。
集会・街頭演説会開催地の東京10区で10月に実施される衆院補選に立候補予定の鈴木庸介総支部長もマイクを握った。2009年の民主党当時から「この党から出たい」と候補者公募に手を挙げたが最初は選定に外れ、2度目の今回、公認候補となった経緯を語り、「どうしても選んでもらえるよう立教大学の講師になるくらい経済の勉強もしてきた。国土交通省で環境政策の委員になるくらい環境政策も勉強してきた」と振り返った。「私みたいな人間はいっぱいいると思う。この党が大好きな人間。当選するためにいろいろな党から出たりする人もいるが、私は8年間浮気することなく、この党から立候補するために力をつけてきた。穏健な保守、リベラルな政党であるこの党が心の底から好きだ。そして国民の皆さんが求めているのは自信のある、強い政党。これを再び作るために、まずは私が衆院東京10区補選で勝利する。そのために力を尽くす」と力を込めた。