野田佳彦幹事長記者会見

2016年10月24日(月)15時02分~15時42分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=zwe2ovQupds


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○衆議院東京10区・福岡6区補欠選挙の結果について

【幹事長】
 昨日、東京10区と福岡6区の衆議院補欠選挙の結果が出ました。私ども、東京10区には鈴木庸介さん、そして福岡6区では新井富美子さん、それぞれ地元生まれ・地元育ちという、地元の候補者を立てて、民進党公認候補一本に絞って、他の野党の「できる限りの協力」をいただいて戦いました。
 もとより大変厳しい選挙であるという状況でありましたが、それぞれの候補者と陣営には頑張っていただきましたが、残念ながら結果的には二つの選挙で敗北を喫しました。その結果は厳粛に受け止めなければいけないと思っております。
 2人の候補にご支援をいただいた東京10区の有権者の皆さん、そして福岡6区の有権者の皆さん、応援していただいた皆さんに心から感謝するとともに、今回の選挙の結果、得た課題、そして成果、そういうものをしっかり執行部の中で踏まえて分析して、次の選挙につなげていくようにしていきたいと思います。


■質疑

○衆議院東京10区・福岡6区補欠選挙の結果について

【朝日新聞・松井記者】
 冒頭おっしゃったとおり、二つの補欠選挙の結果が出たが、それぞれ民進党公認一本で戦う、他の野党からの推薦は受けないという方針で民進党として臨んだ。結果がこういう形になったことを踏まえて、今回の方針をどう総括されているか伺いたい。

【幹事長】
 例えば東京10区で言いますと、2年前の総選挙と比べて投票率は19%下がっています。投票率が下がるということは、それぞれの票数も減る傾向に出ると思うのです。19%だと20%近いということですが。
 自民党は前回・2年前は小池さん、そして今回は若狭さんですが、やはり1万8000票ぐらい減っています。9万票台から7万票台に減っています。
 一方で鈴木庸介さんは、前回江端貴子さんが4万4000票、今回4万7000票と、民進党公認候補は増えているのです。候補者を一本にしたからそういう結果になったのだろうと思いますので、一定の効果はあったのだろうと思います。
 その上で、「できる限りの協力」のあり方をどうするかなどを含めて課題も残ったと思いますので、そこはよく分析していきたいと思います。

【朝日新聞・松井記者】
 他の野党からは、推薦を出したい、もっと協力関係を深めたいという希望も寄せられていたが、あえて民進党の公認一本にしたことで、逆にもっと増やせる票を増やせなかったのではないかという声も上がっている。そういった他の野党からの指摘についてはどのように受け止めるか。

【幹事長】
 他の野党からそういうご意見が出ているということは報道では承知しています。そういうことも踏まえて、これからの衆議院選挙をどう戦うか。「できる限りの協力を行う」ということが前執行部で交わされた合意であり、そしてそのことを私どもは基本的には踏襲しているわけですから、「できる限りの協力」、次はどういう戦いをするかということはよく検討させていただきたいと思います。

【フリーランス・安積記者】
 19%ほど投票率が下がったが、鈴木候補の得票数が2年前の江端さんとあまり変わらなかったというか、4万票台ということでほぼ横ばいだ。ただ、今回、共産党が候補を出していない。前回、共産党は候補を出していて、大体2万から3万未満ぐらい取っている。地元に入ると共産党は非常に票的には協力的で、途中でおろした岸さんも朝から鈴木さんのビラ配りをしていて、共産がかなり入ったと聞いているが、そういう意味では江端さんの4万票が減ったと評価できると思う。これについてはどうお考えか。

【幹事長】
 民進党公認候補、前回は江端さんが4万4000票、今回は鈴木さんが4万7000票、3000票増えたと申し上げました。それは先ほども申し上げたとおり、候補者の一本化をすることが、低投票率の中でも、野党の候補者として戦った候補者が票数を伸ばすことができた原因だと思います。「できる限りの協力」の中で、各党が今おっしゃったような具体例も含めてご支援をいただいたということだと理解しています。
 ただ、前回の2年前は共産党系の候補者が3万取っています。それに合わせると、普通は4万4000と3万を合わせると7万なのです。7万までは、もちろん投票率が低いから届いてはいない。いわゆる程度問題としてどれくらいがよかったかということはよく分析しなければなりませんが、数字の上ではそういうことが表れていると思います。

【日本テレビ・古谷記者】
 東京10区では、弊社の出口調査では、票数で言うと民進党の支持者のうち2割弱、あるいは共産の10数%、社民党などに関しては3分の1くらいが若狭さんに投票しているというデータが出ている。もちろん投票率も下がったので単純に投票数で比較すると難しいと思うが、野党4党の支持者である人が自民党候補に流れている現実があると思う。固め切れなかったという評価もできると思うが、それに関してはいかがか。

【幹事長】
 これは、いろいろな数字を見ながら判断しなければいけないと思いますが、残念ながら小池都政の信任投票的な動きになって、それによって投票した有権者もいらっしゃったのではないかなということはやはり感じます。国政でストレートに「自民党候補」対「民進党候補」、あるいはその他の野党から応援していただいている候補という位置づけだけでの戦いではなくなってしまった。国政の課題にもっと有権者に関心を持っていただいて、その土俵の中で戦うということが十分できなかった節はあるだろうと思います。

【読売新聞・藤原記者】
 応援に入った幹事長ご自身も、年金制度改革法案への反対やTPPの内容についての反対であるとか、そういう主張もされたが、結果を見ると野党の主張が受け入れられなかったという見方もできると思うが、その点をどういうふうにお考えかということと、あと今回、野党が二つ、特に民進党候補が負けたことによって、政権側の運営やこれからの国会審議に与える影響についてはどうお考えか。

【幹事長】
 少なくとも「年金カット法案」を含めて年金をお話しする時の有権者の関心の高さというか、手応え感はあったと私は思うのです。特に、話を聞いてくださっている方、さらに少し足を止めてくださる方という、限定した範囲においては、やはり年金の話は十分に聞いていただけるテーマだったと思います。
 それだけ今、国会の中で動いている状況について心配・懸念をされている国民は多いと私は思いますので、選挙結果は結果として受け止めなければなりませんが、有権者の関心としては非常に肌で感じるものがありましたので、これはそれを踏まえて、やはり与党が暴走して勝手に拙速な審議をしたり強引な採決をしないように野党として頑張っていきたいと思います。

【TBS・牧野記者】
 今回、蓮舫代表の初陣ということだったが、厳しい選挙とはいえ2敗となったことで、蓮舫執行部の党運営に対する影響をどのようにお考えか。

【幹事長】
 これはもう、選挙は結果ですので、二つ敗れたということは、先ほど申し上げたとおり、厳粛に受け止めなければいけないと思います。
 一方で衆議院選挙も、これだけ解散を与党が吹かしているわけですから、これは早急に我々も態勢をつくっていかなければいけません。その中で今回の教訓を生かして、次につなげる選挙にしていきたいと思います。

【TBS・牧野記者】
 影響があるかないかについては、どのようにお考えか。

【幹事長】
 わかりません。

【IWJ・安記者】
 今回、民進党の独自候補プラス独自推薦というか、他の野党の推薦を受けずにやったわけだが、それによって得票数が伸びたとお考えになるか。

【幹事長】
 わかりません。野党の候補を一本化したという効果はあったと思います。それは協定も結ばない、推薦もいただかないという形の、シンプルな形の一本化でありましたが、一本化した効果はあったと私は思います。その上で、「できる限りの協力」という形のものをさらに改善する余地があるのかどうかは、今後検討させていただきたいと思います。

【東京新聞・我那覇記者】
 3点伺いたいが、先ほど、有権者に国政の課題に関心を持っていただく戦い方ができなかった、小池都政に対する信任投票だったということをおっしゃっていたが、これは争点設定に党として失敗したとお考えなのか。
 2点目は、冒頭発言の中で執行部として今回の敗戦の責任についてお触れにならなかったが、どうお考えか。
 3点目、今回の結果を受けて、衆院の解散が取り沙汰されているが、何らかの影響が及ぶかどうか、どうお考えか伺いたい。

【幹事長】
 一つ目が、争点設定の話。これも先ほど申し上げたとおり、数字で言われた記者さんもいましたが、必ずしもうちの支持者が国政で動いたかどうかというのは、やはりわからない。「自民党公認」対「民進党公認」の戦いというよりも、やはり小池都政の信任的になってしまった。それだけ、知事も相当、相手の候補者(の応援)に入っていましたので、その分、完全に国政の問題で争点化できたかというと、そうではなかった部分があったということは、これは認めざるを得ないのではないかと率直に思います。
 二つ目は責任の話ですね。責任というのは、責任を果たすことだと思います。この補欠選挙で、もともと厳しい選挙ではありましたが、候補者達は頑張ったと思います。だけれども、やはり残念ながら議席に届かなかったこと、その教訓と反省を次の選挙に生かしていきたいと思います。東京10区の鈴木さんはもう翌朝から街頭に立っていると聞いていますが、そういう思いがきちっと通るように、引き続き党としてきちっとサポートし、これまでのことを検証もしながら、もっと有効に後押しができるように考えていくことが責任を果たすことだと思います。
 3点目の、解散への影響は、解散する側がどう判断するかだと思いますが、自民党にとっても判断しにくいのは、要は負けない選挙をやられたわけでしょう。本当は東京10区もいろいろあったはずです、本体自民党と小池さんを担いだグループとの問題。福岡も推薦候補を結局2人出したわけです。そうすると、それを与党側がどう判断するかということだろうと思います。

○連合との関係について

【フリーランス・上出記者】
 安倍政権に批判的な知識人その他ジャーナリストも含めて一番心配しているのが、いろいろなところで連合が野党共闘の足を引っ張っているのではないかと。新潟県知事選では連合が向こうを担ぎ、野党は共産党が立てた候補が勝ったということも含めて、民進党は一体何をやっているのか、腰が引けているのではないかと。この後いろいろ、衆議院選挙もあるが、きちんとやればもっと勝てるのではないかと。連合との関係について、いろいろ複雑な事情はそれなりにわかった上で質問しているが、永田町的な図式ではなく、一般の国民にわかるような形でのご説明をお聞きしたい。

【幹事長】
 連合の皆さんには、私ども、各級選挙で事あるたびに大変ご支援をいただいています。その意味では最も有力な支援団体であると思いますし、民進党の綱領の中でも、「『働く者』の立場に立つ」ということを書いております。もちろん「消費者」「生活者」「納税者」という言葉もありますが、働く人の立場に立ってしっかり政策を実現するということも綱領に書いています。その関係性においては、これからも連合のご意見というのは大事にしていかなければならないと思います。
 一方で、政党でありますので、それぞれの選挙で集票を極大化するという目的がありますし、その都度政治判断する時もあります。その大筋のところはこれからも丁寧なコミュニケーションを図りながら、ご理解いただくように努力をしていきたいと思います。

【フリーランス・上出記者】
 連合そのものの、きちんとした衆議院選挙に向けた選挙方針はこうやるということを決めて、それに従って原則を曲げないでやってしまうのではなくて、その地域の事情とかそういうのも含めてケース・バイ・ケースでやっていくと、そういう理解でよろしいか。

【幹事長】
 政党として選挙を戦っていく方針はこれからもしっかり決めていきますし、それは基本的にケース・バイ・ケースというか、あちこちバラバラな、チグハグということではありません。
 連合との関係というのは従来どおりしっかりと、これまでどおりご支援をいただくようにコミュニケーションを図っていきたいと思います。その上で、どういう戦い方ができるかということは、それぞれの地域差は出てきますが、基本は押さえておかなければいけないと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 連合の神津さんが20日の会見で、新潟に関して、民進党のことを背信行為だと言っていた。その日の夕方5時から池袋で野党4党の幹部が鈴木さんの応援に立ったが、その前日に、志位さんが街宣車に乗るとしたら連合東京は手を引く、という話が出た。野田さんは新潟の件などで連合に説明に行かれたが、その時にそういった話は出たか。

【幹事長】
 週初めに、新潟の知事選挙を受けて連合にご説明に行きました。その時にお約束したのは、どんな形にしろ、連合新潟と民進党県連との関係が円滑にいくようにしっかりと対応していくということを申し上げました。その中で、ちょうど今ご指摘いただいた日には私は新潟に行って、連合新潟の皆さんとのいわゆる「すり合わせ」をさせていただいております。そのご報告は連合の会長にしております。
 ということで、あったかどうかで言うと、連合本部に、そういう新潟の知事選挙を受けた対応についてはお話ししています。

【フリーランス・堀田記者】
 木曜日・20日の午後5時から池袋の西口で、そこに志位さんが来た。その前に水曜日の夜の段階で、共産党の志位さんが登るようであれば連合東京は手を引く、という話があったが、それはご存じか。その話は神津さんとされたか。

【幹事長】
 神津さんからそういうお話は聞いていません。その事前にお会いした段階でそういう話は聞いていません。
 どういう対応をするかということは、それぞれの地域の陣営で、4党の共同のマイクを持つような場面にどう対応するかは、それぞれの地域の陣営で判断することにしていました。
 したがって、福岡はその前の19日に、市民集会の部分には我が党の公認候補者がごあいさつしていく、その後、時間の問題等がありますので、2部構成の第2部では失礼させていただく、というような段取りだったと市民団体には申し上げていたと思いますが、2部構成の第2部のほうにも壇上に上がりましたが、そういう形で市民集会には出る方向だった。これは福岡県連というか、福岡の選対の判断であります。
 一方で、東京の場合は独自の活動をずっとやらせていただくということでありましたので、4党の集会というのはもともと安保関連の、いわゆる1年、一つの節目であるということで企画された集会だと聞いています。それに対して党の代表者は送るということ。候補者については、その陣営の判断にお任せをいたしました。

【フリーランス・堀田記者】
 連合との関係だが、非正規やら何やらのことについて、連合というのがある意味でブルジョア的な労働組合、とやられている。民進党の最大の後援団体とこれからどのようにつき合っていき、話をするのか。例えば日教組などは、私が福田委員長とつき合っていた時は非常に真面目な団体だったと思っているが。

【幹事長】
 真面目な団体だと思います。したがって、これからおつき合いの仕方が変わるということではありません。個別のいろいろな事案というのは、それはそれぞれがきちっと説明責任を果たすべきことであり、党と組織との関係性・信頼性は決して変わることはないと私は思います。

○野党連携について

【産経新聞・清宮記者】
 今回の補選の結果を踏まえた次の衆院選の対応について伺いたい。今回、民進党は他の野党と政策協定を結ばずに、推薦も受け付けなかったということで、二つの選挙区で敗北した。共産党は、今回に限っての特別な対応だということで、次の衆院選では相互に推薦することが必要だということもおっしゃっている。今回の結果を踏まえて、共産党との関係について、幹事長としてどのようにお考えか伺いたい。

【幹事長】
 報道でしかわかりませんが、志位委員長や小池書記局長がそういうご発言をされているということは承知しています。これは党としての一つのご意見だと思います。「できる限りの協力」を衆議院選挙でどうするかということは、これからの協議とさせていただきたいと思います。

【フリーランス・横田記者】
 東京10区補選の池袋での街宣の件だが、候補者本人が不在になったのは執行部からも指示があったと関係者から聞いているが、あくまで都連独自の判断だったのか確認したいのと、仮にそうだとしてもこれは野党共闘に消極的だと水を差す、せっかく4野党の幹部がそろっているのに候補者本人が不在だと白けてしまう。事実上の野党共闘で新潟県知事選を勝った勢いを引き継ぐのであれば、東京都連がそういう判断をしても、なぜ野田幹事長・執行部がリーダーシップをとって「参加するべきだ」と言わなかったのか、理由を伺いたい。

【幹事長】
 これは先ほどの質問にも申し上げましたとおり、出るか出ないか、候補者を出すか出さないかは、それぞれの陣営の判断です。東京の場合は、判断をしていいよ、という指示をしています。出るか出ないか、それをお決めになったのは地元の陣営だと思います。福岡については、一部のところに出るということは私も承知をしていました。それ以上の指示ではありません。
 それから、新潟のように野党連携すべきではなかったのかというご意見ですね。野党連携がどれくらい効果があるのかということは、これからそのやり方についてはよく検証していかなければなりませんが、東京は小池都知事のまさに影響力の強かった選挙だったと思います。福岡は、鳩山ブランドの強かった選挙だと思います。同じように、新潟は泉田さんの県政の路線を継承しようという、そういう政治力学が強かったところだと思いますので、単に野党連携がよかったか悪かったかということだけではなくて、それぞれの政治風土とか地域性があるのではないかとも、一方で思います。

○原発・エネルギー政策について

【IWJ・安記者】
 新潟県知事選で連合新潟の事務局長に取材したが、連合新潟が何票あるのかと聞いたら、組合員全体で11万人だが実際に推薦を出したところに入れるのは5万ぐらいかな、とおっしゃっていた。連合全体の組合員は680万で、その連合が「この人を推薦だ」と言って、その人に入れるのは、この新潟の事例がそのまま敷衍(ふえん)できるかわからないが、大体340万人とか350万人と計算できる。例えば「脱原発だ」と言ったとして、連合は消極的に、民進党を応援しないかもしれない。こうなった時に連合から逃げる得票数と、世論が「よし、それなら」と新しく得られる得票数と、幾らずつあるか、こういった計算はされているのか。

【幹事長】
 していません。

【IWJ・安記者】
 していないということだが、即時原発停止と言った時に得られる新しい世論、得票数は340万以下だと見積もるか。

【幹事長】
 わかりません。何を根拠にそうおっしゃるか、わかりません。

【フリーランス・横田記者】
 先ほど泉田知事ブランドが新潟県知事選の勝因だったのではないかとおっしゃったが、それはかみ砕いて言えば、原発再稼働を進めようとする東電や安倍政権に対する県民の民意の反映だったと思う。それを民進党として全国展開して、次期総選挙の旗印にして、自公政権と対峙するという考えはないか。

【幹事長】
 争点を何にするかということは、確かに大事な議論だとは思うのです。争点が明確になった時に、これまで応援していただいている連合の皆さんにも一層力を入れて応援をしていただく、あるいは「できる限りの協力」をいただく野党の皆さんの協力もしていただく、そういう争点は何になるかということは大事なテーマだと思います。ただ、新潟で起こったことをそのまま全国普遍的に適用するということは、必ずしもありません。その争点は何かということは、これからじっくり考えていきたいと思います。

【フリーランス・横田記者】
 連合と話した時に、連合の立場としても、原発再稼働に反対しなくて雇用を守る政策を民進党が打ち出せば乗ってくるのではないかと思うが、そういう突っ込んだ話をされたかどうか伺いたい。

【幹事長】
 その件で連合と話したことがあるかということですが、話していません。

【フリーランス・上出記者】
 原発再稼働について。つい最近、小泉元首相が共同通信のインタビューに答えて、原発ゼロを争点にしたら野党は勝つ、野党がだらしないから与党は楽だ、野党が原発ゼロと言い出したら自民党の中からもゴタゴタが出てくるのではないか、ということを言っている。メディアの中には、残念ながらこれは自民にとっても民進党にとってもアキレス腱だ、連合・電力総連に背けないのが今の執行部ではないかというような指摘があるが、これについてどのようなご所見をお持ちか。

【幹事長】
 どなたがどういう意見を述べようと、それは自由です。かといって、それを真に受けないからといって、どこかの団体に我々が気兼ねをしていると、そういうこともありません。
 2030年代に(原発稼働)ゼロを目指すという基本的な方針を決めました。その上で、再稼働についても、40年で廃炉、新設は認めていかないということ、それから原子力規制委員会で厳しく安全性をチェックすること、あるいは、その上で避難計画をしっかりつくっていくこと、などなど、私どもも再稼働ありきではありません。ありきではないけれども、今申し上げた枠組みの中で、個別の対応をしていくということでありますので、その基本的な線は変わっていません。
 小泉さんが何を言おうと、あるいは応援する団体がどうということではありませんので、党としてそういう考え方をこれまで決めてきているということであります。

○次期総選挙について

【NHK・山枡記者】
 今日、幹事長の「かわら版」で、衆議院解散に関しても触れ、区割りや生前退位の検討等を挙げて「この時期の解散・総選挙は極めて疑問です」と指摘し、もう一つ、12月の日露首脳会談について、歯舞・色丹の2島返還は「この程度の政治決断なら、歴代政権はとっくにやっています」という、この二つのことを指摘されている。あらためて、その二つの発言に関する真意を伺いたい。

【幹事長】
 書いてあるそれ以上でもそれ以下でもありませんが、解散は総理が決めることですから、私どもはいつでも受けて立つ準備をするということに尽きます。「常在戦場」ですから、もし解散になれば、それはもう準備をしっかり、怠りなくやって臨むということであるという大前提の上で、「かわら版」に書いているような、例えば司法の判断を受けて「一票の格差」を是正するという途中段階において、わずか2年でやってしまうということは、本当にいいのだろうか、理不尽ではないかなという思いと、せっかく有識者会議ができて皇位継承をめぐる議論についても静かな議論が始まった時に、それはもし解散になると争点化される可能性があるということで、静かな議論にならなくなるという懸念を持ちました。国益を考えた時に本当にそれでいいのかといった時に、このタイミングの解散というのは理不尽に思うのです。
 ただ、理不尽でも、やらなければいけない時はやりますが、その率直な思いは書かせていただいたということで、その上で大義名分としてはたしてどういう名分があるのかという時に、巷間言われている「日露首脳会談で北方4島の帰属の問題(で信を問う)」と言うならば、これも巷間言われている2島のみ返還というのだったら、それには大義がないのではないかということが、いわゆる「かわら版」で書いてある、それ以上でもそれ以下でもありません。

【千葉日報・石井記者】
 解散について、いつでもできる準備をするということだが、そうした中で、千葉13区などはそうだが、共産党の現職国会議員と民進党の公認の方が同時にいるような選挙区、こういうところをどのように調整していくお考えか。

【幹事長】
 これからです。今、個別の選挙区の話を具体的に言う段階ではありません。今はなるべく10月いっぱいまでに全国の選挙区の総点検をして、民進党公認候補をまさに上乗せできるところを一生懸命やろうとしているところであって、その先のことはまだ具体的に言える段階ではありません。

【TBS・牧野記者】
 次期衆議院選挙で蓮舫代表が比例代表の東京ブロックから単独で出馬して、比例登載名簿1位になるというようなことが取り沙汰されているが、そのことに関する事実関係を伺いたい。

【幹事長】
 まず、事実ではありません。「取り沙汰されている」と言っても、執行部の中でどうするかということをまだ決めていませんし、決めていないことを誰かと、諮るということを誰かと相談するということはありません。
 ただ、これは代表選挙のころからも、参議院議員から衆議院に出たほうが党の代表にふさわしいという議論がありました。そのことについては覚悟を持って臨むということを代表もおっしゃっていますので、そのご意見を踏まえながら、可能性をどう探るかということがこれからの段階ですが、比例だとかどこの選挙区だとかいうことを決め打ちしてはいませんし、それをどなたかと協議して相談するという事実はありません。

【TBS・牧野記者】
 比例の検討はされているのか

【幹事長】
 決めていないのに、検討はできません。

【朝日新聞・松井記者】
 補選で、特に蓮舫代表のお膝元である東京で負けたということを受けて、蓮舫代表が次期衆院選で党の顔としてはたして大丈夫なのだろうかと不安視する声が党内で出ている。そういった声に対して、幹事長としてはどのようにお答えになるか。

【幹事長】
 負けたことは負けたわけですが、ただ、その負け方の問題をどう考えるかです。もともと厳しい選挙区の中で、鈴木候補、本当によく頑張ったと私は思いますし、次につながる選挙をやったと思います。次につながる、頑張ったその候補者を、次は当選させるようにすることが蓮舫執行部の役割でありますので、その責任を果たしていきたいと思います。

○生前退位をめぐる議論について

【読売新聞・藤原記者】
 天皇陛下の生前退位について伺いたいが、17日の政府の有識者会議の中では、天皇陛下のご高齢を踏まえてスピード感が必要だという意見が出ていた。野田幹事長・民進党は、皇室典範改正を視野に入れた広い議論が必要だというお考えだと思うが、この両方をどのように両立してやっていくべきだとお考えか。

【幹事長】
 両立させなければいけないんです。確かにスピード感も必要だと思うのです。陛下のご高齢等を考えますと、そんなにダラダラ議論して、結論が出ないということではいけないと思います。かといって、大事な議論・論点が出てきたことを、それをすっ飛ばして決めていいということでもないと思うので、そのスピード感と丁寧さをしっかり兼ね備えながらの議論をやっていかなければいけないということに尽きると思います。