大串博志政務調査会長記者会見

2016年10月25日(火)11時31分~11時45分
編集・発行/民進党政務調査会

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=0JKsDp3sBzE


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○南スーダンPKO「駆けつけ警護」新任務付与について

【政調会長】
 まず冒頭に私のほうから幾つか申し上げたいと思います。
 今日の閣議で南スーダンPKO、5ヵ月間の延長が決定されています。「駆けつけ警護」新任務の付与に関してはどこかで判断されるのではないかと言われており、昨日の報道にもありましたように、新任務に向けた訓練が行われている姿が公開されたりしていました。
 ただ、私達としては、今の段階で南スーダンの状況を見ると、南スーダンとスーダンとの間での紛争状況は停止しているというのはあると思います。そういう意味で、国際的な紛争当事者は存在しないという状況はあると思います。一方で南スーダンの中を見ると、大統領派と前副大統領派の間の衝突というのは相変わらず続いていると見ざるを得ないと思うのです。報道でも繰り返し民間人を含む犠牲者が出ていることを聞きますし、国連スタッフにおいても活動がなかなか難しいというような状況も出ていると聞いています。状況は非常に不安定だと見ています。
 そういう意味でPKO5原則、稲田防衛大臣は今でも「PKO5原則は守られている」と言いますが、本当に厳格に守られているか、極めて注意深く見ていかなければならない状況だなと思っています。もちろん今、即座にPKO5原則が崩れているというスタンスをとっているわけではないのですが、ただ、「大丈夫です!」と言い切るような状況かというと、このPKO5原則が守られているかということは不断に見ていかなければならない状況なのかなと思っています。
 そういう状況なので、この延長自体を反対とまでは言いませんが、ただ、今、「駆けつけ警護」を含む新任務(付与)が近く行われるのではないかという中において、私達民進党の態度として、今のような現状を前提とすると、この段階で、仮に近い将来「駆けつけ警護」を含む新任務が行われるとすると、ちょっとそれは常識感から言って到底あり得ない話だなと思っていまして、今の段階で私達としては、この現状を踏まえると「駆けつけ警護」新任務を与えることに対しては反対であるということは明確に申し述べさせていただきたいと思います。
 実際いつ政府が判断するのかはまだ不明ではありますが、こういった野党側からの声もあることを踏まえて、政府は非常に慎重に対応をすべきだと思います。冒頭、このことは申し上げさせていただきたいと思います。

○年金制度改革・民主党政権時の考え方について

【政調会長】
 今、年金の問題が、TPPの国会運営に加えて非常に大きな課題として浮上していますが、先週の金曜日の国会質疑あたりでも、あるいは週末の一部の報道でも、「民主党の時に検討していた案も、賃金が下がるとそれに合わせて年金が下がる案ではなかったか」と、こういういわれなき指摘がありました。これに関しては明確に幾つかの論点を述べて、反論しておきたいと思います。
 まず、民主党の時の年金改革案というのは、ご案内のように、最も完成された形では社会保障・税一体改革大綱の中に書かれた制度設計、これが民主党政権として、閣議決定も含めて決めた方向性であります。これが大元にあって、その後、幾つかの試算を党のほうで議論し、それを公表したこともありました。ただ、その試算はあくまでも試算という位置づけであって、党として何かを決めたというものではないので、この点をまず申し上げさせていただきたいということであります。
 2番目に、当時検討していたものは、賃金が下がればそれに応じて年金が下がることを前提としている案では全くありませんでした。このことは明確に申し上げておきたいと思います。この点は、(今の)政府とは全く違う案でありました。これが2点目です。
 3点目に、今大きな問題となっている今回の「年金カット法案」が行われた場合には、特に基礎年金を含めて最低保障機能が大きく毀損されてしまうという論点も、私達のほうから、長妻昭議員を中心に出しています。このことに関しては、私達はむしろ最低保障機能を強める、つまり「最低保障年金」というものを一つの大きな柱として入れていたわけですから、最低保障機能をむしろ強化する方向にあったわけですから、今の「年金カット法案」が抱える問題とは真逆の方向性を目指してきたものと申し上げておきたいと思います。
 最後に、そもそも比べる土壌が全く違う。私達が当時提案した内容は、今申し上げたように、最低保障機能を強めるという意味において、税財源による「最低保障年金」を前提として、それに所得比例部分が乗っかってくる。しかも、その所得比例年金は一元化した形で乗っかってくる、「年金の一元化」です。そういう形のものなので、今政府が前提として走らせている現行年金とは全く異なる内容のものなので、そもそも比べること自体が意味がない。  この4点を申し上げさせていただきたいと思います。

○TPP承認案の審議について

【政調会長】
 若干付言させていただきますと、TPPに関して、昨日から今日にかけての極めて強硬な与党の運営は遺憾であります。
 補欠選挙の結果が出て、これに関しては私達も厳粛に受け止めていかなければならないと思いますが、この補欠選挙の後、与党の皆さんは「この選挙結果を受けて、引き続き謙虚に国会運営等をやっていかなければならない」ということを、口をそろえておっしゃっていました。
 その舌の根も乾かないうちに、昨日の夕刻に、今日の参考人質疑を与党だけで決めるというようなやり方をしているのは、全く理解できないところであります。こういった点に関して、さらにTPPに関して国会で議論が深まることを私達としては強く求めていきたいと思っています。


■質疑

○原発・エネルギー政策について

【共同通信・野見山記者】
 原発政策についての党内議論について伺いたい。エネルギー環境調査会等で、いつ頃からどういうスケジュール感で進めていく予定か。明日、エネルギー環境調査会が一応セットされているが、いつからになるか。

【政調会長】
 エネルギー環境調査会に関しては玄葉光一郎会長のもとで、明日、新体制でのキックオフをしていただこうと思っています。
 この間も申し上げましたように、まず、これまでの党内議論のあり方を一回きちんとレビューしていただいて、ここまでの議論の進捗を――党内まだなかなか、工程表が、かなり議論が進んでいることも含めて、あまりまだ十分に共有されていないこともあるので、しっかりその共有も含めてこれまでの議論の到達点を確認するところから始めていただきたいと思っています。これを踏まえて、さらに私達のエネルギー政策を深めてもらう方向で議論していただきたいと思っています。
 何がしかの議論の方向性なり区切りなりについて、今、予断を持っているわけではありません。

【共同通信・野見山記者】
 新潟県知事選の結果を受けて、脱原発の方向により踏み込むべきだという意見も党内にあるが、今後の議論によってはこれまでの党の方向性にまた変化が出てくる可能性もあるか。

【政調会長】
 私達は民主党(政権)の時に「革新的エネルギー・環境戦略」を決めて、維新の党の皆さんと合併する時にも、それぞれ基本的政策合意等々を決める中で、この「革新的エネルギー・環境戦略」のあり方は党の考え方として継承し、工程表をつくっていくという形にしています。それは非常に大きな決定としてありますので、それを前提にさらに深めていくということはあると思いますが、それ以外の方向性に関して、今、何か予断を持っているわけではありません。

○年金制度改革・民主党政権時の考え方について

【東京新聞・我那覇記者】
 先ほどおっしゃった年金の法案で、当時民主党が出したものというのは、その先の年金がどういうふうに給付額が推移するのかという試算は当時出されていたのか。今回、与党に対して、試算をやる前にそもそも前提となる土台が情報開示されていないと政調会長初め御党は指摘されていると思うが、お聞きしたい。

【政調会長】
 民主党が政権を手放した年の2月に、当時の社会保障・税一体改革調査会のもとで、一定の試算ということで公表し、さらにその年の9月に、最新の経済状況を加えて改定したものということで、あらためて試算を出しています。2回出しています。
 その位置づけは何だったかというと、党の社会保障・税一体改革調査会というのがあって、その中で担当している者が、先ほど申し上げた社会保障・税一体改革大綱の中で決められている年金改革の形を、いろいろな与件を、当時まだ集まっていない与件の数字もあったので全体のカチッとした数字がベースになっているわけではないけれども、いろいろな与件の数字をある程度推計しながら、ザクッとした試算をしてみるとこういった形になります、というものを示したのが当時です。
 位置づけとして、先ほど申し上げたように、党として決めている年金改革の形は社会保障・税一体改革大綱の中に書かれている数ページの書きぶり、これが全部であって、その試算は一参考、あくまでも試算という位置づけのものであって、何かその試算に書かれていることをもって決めたわけではありません。念のためにそこは言っておきます。