江田憲司代表代行記者会見

2016年10月26日(水)14時01分~14時29分
編集・発行/民進党役員室(項目ごとに編集しました)

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://www.youtube.com/watch?v=UzCR6MLDDKw


■冒頭発言 ■質疑

■冒頭発言

○ムダ遣い解消PT「ダレノ(誰の)ミクスプロジェクト」について(配布資料添付)

【代表代行】
 先週発信いたしました「ダレノ(誰の)ミクスプロジェクト」、アベノミクスは一体誰のため、と。税金のムダ遣い解消プロジェクトについて、広く国民からムダ遣い案件を募るという趣旨で、本日から民進党のホームページのフロントページに「目安箱」と称して窓口を設けましたので、全国津々浦々からご意見を募った上で、しっかり我々としても精査をして、ムダ遣い解消、具体的な成果を出してまいりたいと思います。
 第2回の会合はこの会見の直後、14時45分から衆議院第二議員会館4階で行います。本日は、こういった行政事業レビューの先駆者というか、実績を出している方ということで玉木雄一郎議員と、構想日本からディレクターの方を招いて、具体的にレビュー、精査をしていく手法等々についてお互い共有をしてまいりたいと思っております。


■質疑

○「ダレノ(誰の)ミクスプロジェクト」について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 江田さんの「ムダ撲」というか、「ダレノミクスプロジェクト」が始まるが、この「目安箱」は800字とかでもらった情報を、ただもらってしまうだけということなのか。現場に行くとかいう話だが、もうちょっと何か双方向で、それを公表したりとか。これだけだと、どれだけ情報が来るのかなという感じもするが。

【代表代行】
 もちろん、いただいた文章で、当然信憑性の書類審査をした上で、「ここにムダあり」となれば、我々が出向いて現地調査をすることも含めて、徹底的に精査していきたいと思います。
 来月、秋の行政事業レビューが政府で行われますが、これは簡単に言えば身内のお手盛りチェックでしかない。先週の会議では、行政事業レビュー、執行率が低い事業、あるいは基金シートを、それぞれの議員に全て分担をさせました。そうしたものに基づいて、かつこういった国民からのご意見も踏まえて、それぞれの担当分野の主査、国会議員が徹底的に精査する。そういう手法ですから、こういった(「目安箱」に投稿される)意見は、決してムダにすることなく、しっかりと精査の作業に取り入れていきたいと思います。そのための「目安箱」で、本気です。

○原発・エネルギー政策について

【朝日新聞・蔭西記者】
 今日から脱原発の工程表の議論で調査会が始まるが、これは自公政権との対立軸になり得るのかどうかということと、なるのであれば、ぜひとも盛り込まれるべき必要な要素は何だと考えるか伺いたい。

【代表代行】
 もちろん、安倍政権との対立軸として、我が党の基本政策でございます「2030年代原発(稼働)ゼロ」、そして原発再稼働は原子力規制委員会の安全基準に適合しているだけではなくて、国が責任を持つ実効性ある避難計画の策定と、核の廃棄物、ゴミですね、その最終処分場のプロセスが開始されていることが前提だというのは、これは民主党・維新が合併する時の基本政策合意でございます。
 特に、この「2030年代原発(稼働)ゼロ」に向けての具体的な工程表づくりは、蓮舫代表が代表選で公約したこともあり、かつ我が党の基本政策でもございますので、鹿児島県知事選、あるいは新潟県知事選、あるいは私の地元の神奈川で真山勇一候補が当選した一つの大きな要因であります原発政策について、新党になりましたので、玄葉光一郎さんをヘッドとするエネルギー環境調査会で、国民にもわかりやすい具体的な工程表づくりをしっかり進めていただきたいと思っております。
 その中身については、予断なく、幅広く多角的に検討していただければいいのですが、もちろん新エネ・省エネの促進もございます。それが達成される前のつなぎ電源としての、例えばLNG、天然ガスのコンバインドサイクル発電等の活用の問題もございます。さらに言えば、電力の再編・自由化の中での電力会社の行く末というか、いずれにせよ、これは電力会社に限らずどの会社であれ、時代の要請に応じて経営の多角化をしていくのは当然の企業のビジョンになり得ることでございますので、こういった「2030年代原発(稼働)ゼロ」を進めていくに当たっての電力会社の社員の皆さんの不安を払拭するためにも、その雇用の安定・維持ということについての兼ね合いも、工程表の中でしっかり検討していかなければいかんと思います。
 いずれにせよ、安倍自民党政権は、口では直接的には言いませんが原発推進。その証拠に、政府の「エネルギー基本計画」では、原発を基幹的な電源とすると。基幹的な電源というのは、ベースロードとして原発を活用するということでございますから、口先では「脱原発依存」と言いながら、実際は原発推進。再稼働も、「世界最高水準の安全基準だ」とうそぶきながら、それに適合したらどんどん動かしていくんだという立場でございますので、この点ははっきりとした自公政権との対立軸になり得ると私は考えております。

○生前退位をめぐる議論について

【読売新聞・佐藤記者】
 天皇陛下の生前退位について伺いたい。今日、民進党のほうでも皇位検討委員会の初会合が開かれると思う。政府は特例法を軸に検討しているとされているが、あらためて民進党としてのスタンスをお聞きしたい。

【代表代行】
 長浜博行さんをヘッドにした検討会で、静かな環境のもとで、陛下のご意向も尊重しながら、多角的に検討していただきたいと思います。予断を持たずに、特別立法という形式もあるし、もっと幅広く、恒久的な皇室典範改正をしてほしいという国民世論の声もございますし、生前退位だけではなくて他の項目も検討すべきだと、さまざまな声がございますので、幅広く多角的な観点で予断を持たず検討を進めていただきたいと思います。
 いずれにせよこの問題は、事柄の性質上、これはやはり「国民の総意に基づく」というのが象徴天皇の憲法の位置づけでございますので、どういう形で生前退位を実現していくかについては与野党の総意であることが望ましいと思っております。安倍官邸・与党自民党のほうでもそういったことは当然思いはお持ちであると思いますので、この問題については本当に静かな環境で、政争に陥ることなく、しっかりと陛下のご意思を尊重して総意で決めていく事柄だろうと思います。

【読売新聞・佐藤記者】
 皇位検討委員会のお話の中で、「他の項目も検討すべきだ」という発言があった。民主党時代・野田内閣の時に女性宮家創設も検討されていたと思うが、女性宮家創設について江田代行はどう考えられているかという点と、皇位検討委員会の中で前向きに検討されていく考えが党としてあるかどうかお聞きしたい。

【代表代行】
 「予断なく」と申し上げた趣旨は、そういう問題も含めて幅広く、多角的に、静かな環境のもとで議論してほしいということなので、タブーなく議論を進めていくということでありますから、そういうものも含めて、今、長浜さんをヘッドとする皇位検討委員会にお任せをしているという状況なので、女性宮家に対する私の個人的な意見は差し控えたいと思います。

○TPP関連法の審議について

【ニッポン放送・後藤記者】
 TPP関連法について伺いたい。今日午前、与党は幹事長レベルでも、今国会会期中での成立を目指すということを話し合ったようだ。あらためてこの受け止めと、民進党として今後、国会・国対だけでなく、代表代行としての考えをお聞きしたい。

【代表代行】
 この問題については初めに出口ありきではなくて、しっかり幅広い観点から十分議論を尽くしていくべきだと思います。
 その意味で、今日、地方の公聴会をやっておりますが、ぜひとも、中央公聴会は必須のプロセスだろう。あるいは、農産関係の5項目だけに注目が集まっていますが、TPPというのは非常に多岐にわたっている問題ですから、そういう事柄に対して、やはり外部の識者の意見を聞く参考人聴取というプロセスも経て、こういった国民の関心の高い、かつ国民生活に多大な影響を及ぼすような協定でございますので、しっかりと審議を尽くしていただきたい。これが我々民進党の基本的なスタンスでございます。

○自民党総裁任期の延長論について

【日本経済新聞・学頭記者】
 自民党の総裁任期の延長が、2期6年から3期9年にほぼ固まった状態だが、受け止めをお願いしたい。

【代表代行】
 他党のことですから、コメントする立場にないということに尽きます。
 ただ、一般論として言えば、我が党も含めて政権を狙おうかという政党が、日本国憲法で位置づけられていない政党の都合で、憲法上しっかりと位置づけられている総理大臣の任期を決め、政党の都合で総理がかわるというようなことは変則だと私は思います。ご承知のように先進諸国の中でも、そういった任期を政党の都合で切っている例はほとんどないと思います。自民党がどうされるかということは我々はコメントする立場ではございませんが、我が民進党としても、こういった本来憲法上に位置づけられていない政党の都合で、そこの党首がかわるからと、尻尾が胴体を振り回すように、憲法上しっかりと位置づけられた総理大臣の首がすげかえられる事態というのは、やはりおかしいと思います。
 我が党も春先に結党されたばかりで、しっかりと規約ももう決めておりますから、すぐさまということではありませんが、我が党の課題としても一つ念頭に置いておくべき課題ではないかと私は思います。

【東京新聞・我那覇記者】
 他党のことだからコメントすることはないという話だったが、特に異論もなく今日決まったが、賛否も当然ある中でこういう議論のあり方はどうお感じになるか。

【代表代行】
 20年近く前、自民党政権を官邸の隅で支えてきた者の実感として言えば、よくぞこんな世紀の大事業が異論もなく決まったなと。
 一時は、このために総選挙をやるのではないかと私自身思っていたくらいです。この総裁任期延長をかち取るために解散をして、その勝利を受けて、1月の党大会あたりで改正するのではないかと思っていたくらいですから、隔世の感があります。

○衆議院選挙制度改革「0増6減」について

【産経新聞・山本記者】
 今日、14時半だが、国勢調査の確定値が「0増6減」、青森や岩手、三重、比較的自民党が強いところの議席が減るという案が確定する。国勢調査の数字に基づいて「0増6減」と言っていた中で、今日の14時半に総務省が発表する数字で、「0増6減」の議席数が1議席ずつ減る6県が確定する。

【代表代行】
 要は、想定どおり決まるということですね。

【産経新聞・山本記者】
 そうです。それについての受け止めを。

【代表代行】
 想定どおりに決まることの受け止め。それは、そうだと受け止めるしかないですね。

○野党連携について

【テレビ朝日・白川記者】
 野党共闘について伺いたい。新潟県知事選で蓮舫代表や江田代行ら幹部が入ったことについては、連合などからは快く思っていない声が上がっている。一方で日曜日に投開票された補欠選挙の対応をめぐっては、今度は共産党のほうから、民進党の連携の仕方が不十分だというような意見が出ている。今後の野党共闘、どうあるべきかについてあらためて伺いたい。

【代表代行】
 「野党共闘」というか「野党連携」ですが。これは何度も繰り返しますが、政治理念や基本政策が一致しない政党とは政権は組まないという大原則のもとに、幹事長・書記局長会談で合意している「衆院選でも『できる限りの協力』」という、この「できる限りの協力」について、何がどこまでできるのかということを今後、幹事長・書記局長ベースで検討されていくのだろうと思います。今、特段、何か具体的にあるわけではありませんから。
 ただ、何度も申し上げるように、参議院選挙で1人区を中心に連携したから、じゃあ衆院選も当然そうなんだというロジックには乗りません、我々は。衆院選というのは参院選と違って政権選択選挙でありますから。
 参議院というのは二院制のもとで一院の暴走をチェックするという大きな憲法上の要請もございますので、私も、岡田克也前代表もここでるる述べてきたように、安倍政権の暴走、すなわちあの違憲の安保法制を強行する等々の暴走にストップをかけるという意味では大義があったということで、1人区を中心に進めてまいりました。しかし、ご承知のように、3人区、4人区、複数区で共産党と共闘を進めたことはございません。現に神奈川では共産党さんとも戦っているわけです。その意味での、その範囲での野党連携を進めてきたということであります。
 そういうことを前提にして、今後衆院選でもどういう協力のあり方があるのか、何をどこまでやるのかということは、今現在、我が党として「こうなんだ」ということはありませんから、その内容については今後、幹事長・書記局長ベースで、他の野党のご意見も伺いながら、党内の意見も伺いながら決めていくということではないでしょうか。

【朝日新聞・蔭西記者】
 共産党などは、民進党が脱原発の工程表に踏み出していることなどを踏まえ、原発政策を衆院選で共通政策にできるのではないかという期待があるようだが、次期衆院選では野党共闘の中での共通政策に脱原発の話は盛り込まれていくと考えられるかどうか伺いたい。

【代表代行】
 ちょっと意味がわからないですね、「共通政策」とは何ぞやと。
 衆議院選挙は政権選択選挙ですから、政権を組むに当たっての共通政策ということであるならば、違うと思うのです。申しわけないですが、共産党と我々は政治理念も基本政策も異なっていると思っておりまして、そういう意味での「共通政策」はありません。
 ですから、やはり意見を伺ってみる必要があると思うのです。いずれ幹事長・書記局長会談がこの件でも開かれるのでしょうから、そこで虚心坦懐に、共産党さんほかの野党の皆さんのご意見を伺ってから、ということになります。
 その「共通政策」という意味が、どこまで共通なんですか。一致するものだけを挙げていいという話ですか、他は違っても。どういうことか、僕は意味がわからないので。
 ただ、この原発の工程表の問題は、何も野党共闘や連携を意識してやっているわけではなくて、我が党の基本政策をもっとブラッシュアップする、国民にわかりやすく、アピールしやすいようにする一環として問題提起をさせていただいて、それを受けての話。それが結果的に野党連携や共闘を促す効果は出てくるかもしれませんが、今回の原発の「2030年代ゼロ」の工程表づくりというのは、そういうことを意識してやっているわけではございません。

○地方組織の立て直しについて

【産経新聞・山本記者】
 先日、島根に行かれたと思う。地方組織の立て直しだが、現状、江田さんから見て民進党が抱えている地方組織の問題点や、真っ先に解消しなければならない課題など、そのあたりを伺いたい。

【代表代行】
 まだ島根に行って意見交換しただけなので、大それたことを言うような現状認識もございません、正直に言うと。
 ただ、やはり行ってよかったと思うのは、島根の連合の皆さんとも1時間半くらい政策ごとに意見交換をしましたし、現地の島根県連の会長・幹事長ほか地方議員の皆さんとも意見交換をして、地方の実情、苦労している点とか、連合との関係、実態、選挙区事情等々は把握できましたので、地道にこういうことは進めてまいりたいと思います。
 たしか来週、四国ブロックの地方議員が20数名集まる会で同じように四国全体、四国は特にうちの党勢が弱いところでございますので、四国をどうしていくかという話を、来週末になると思いますが、行ってやってくるつもりでございます。
 こういったことを地道に、時間をかけて、一県一県訪ねて話し合いをしないと。しかも「問題点」と言われても都道府県によって実情が違うので、ちょっと今皆さんの前で「これは、こうなんだ」と言えるような自信も認識もまだございません。

○浅尾議員の自民党会派入りについて

【「FACTA」・宮嶋記者】
 浅尾さんが自民党の会派入りをした。渡辺さんは日本維新だ。「みんなの党」の創設に当たられた江田さんとしては、今から思うとどうお感じになっているかお聞きしたい。

【代表代行】
 政治家の出処進退というか身の振り方というのは、やはり政治家個人が決すべきだということですので、今回の浅尾さんのご決断もそういうことなのでしょうが、ご指摘のように「みんなの党」、2009年・政権交代直前に結党した「みんなの党」の立場からすると、よもや自民党に入られることはないと思っていたのですが、大変残念でなりません。
 私もいろいろ言われるのですが、「離合集散だ」と言われますが、私が一本筋を通してきたのは、やはり自民党に対抗するライバル政党づくり、政権交代可能な選択肢として認めていただけるような政党づくりということでは一貫してきたわけです。正直、「なんで民進党なんか結成して、江田さんがいるんだ」みたいな話は地元でも聞かれます。まだまだ結党時の政治的な綱領・基本政策が有権者に知られていないという実情の中ではやむを得ないと思いますが、「みんなの党」というのは「脱官僚」「地域主権」「生活重視」の三本柱で結党しました。その理念や基本政策は全て今の民進党の綱領・基本政策に入っておりますから、私自身、政治家として信念を曲げてきたというつもりは全くございませんが、やはり有権者にはまだまだ「民進党とは何ぞや」というものが伝わっていないので、これは最大の課題ですね。
 そこは努力を一歩一歩積み重ねていかなければいかんと思いますが、安倍自民党政権が隆々としているから安倍自民党に行く人が、浅尾さんに限らず続出しているという現状については、うーん……という感じで見ています。最終的には有権者が審判を下すということだと思います。