玉木雄一郎衆院議員は28日午後、衆院TPP特別委員会で、(1)交渉過程の情報公開のあり方(2)TPP協定(英文及び訳文)(3)国会決議との整合性(4)食品安全、特に牛肉・豚肉の成長促進ホルモン剤――について質疑を行った。
2010年に日本が一番多く輸入した農産物が何であるかという玉木議員の質問に、山本農水大臣はそれが冷凍豚肉部分肉であり、また関税撤廃したタリフラインベースで一番目と二番目に多く輸入したものも冷凍豚肉部分肉と冷蔵豚肉部分肉であると答弁した。このことについて玉木議員は、「日本が最も輸入している農産物である豚肉の関税の本体を撤廃している。わが国の農業へ影響の少ないものに限定して関税を撤廃しているという(4月5日の石原大臣の)答弁はうそではないか」と政府答弁の矛盾を指摘した。
また、EUや中国では禁止されている肥育ホルモンの一つであるメレンゲステロールの使用を日本では輸入肉について認めていることについて、何件の検査をしてそれを使用して大丈夫だと言っているのかと質問した。厚生労働省の担当者は「アメリカ産は57件、オーストラリア産は6件実施した」と答弁した。それが何年間の数字で、どれだけのメレンゲステロールを使った肉があるのかという質問に対しては「期間は平成18年4月1日から平成28年2月25日。母数は把握できていない」と答弁した。玉木議員はこの答弁に「驚き。1年間に6件だけで大丈夫だと言い切れるのか。10年間で60件ほどしかやってないから引っかかっていないのではないか。どれだけの対象でどれだけの基準でやっているのか、コーデックスの基準はこれでいいのか。整理して理事会で出して欲しい」と委員長に求めた。
続けて玉木議員は国際基準であるコーデックス規格のうち肥育ホルモン等の規格を決める際に投票で決めていたことを紹介、肥育ホルモンが賛成33対反対29の棄権7、ラクトパミンについては賛成69対反対67のいずれも「薄氷のパワーゲームで決まっている」と指摘し、「決めるのは科学的基準かと思ったら、国際社会の力関係で決まっていて、声の大きい企業の利益を優先することで国民の健康や命が害されることがTPPで深まってしまう」と懸念を示した。